<信念>

pressココロ上




まとめサイトとして一時代を築いた「まとめnaver」が9月をもって終了することが報じられました。僕も「まとめ」を作成していましたが、ほかの人の「まとめ」を見ていますと「そろそろ限界かな」と感じてはいました。

僕も含めて「まとめnaver」を作成していた人は収入目的ですが、実際にある程度の金額を得ていた人はほんの一握りの人だけです。これはネットで収入を得ることを目的としている人に共通することですが、「ネットで収入を得る」のは容易ではありません。

「結局」と言ってしまいますと元も子もありませんが、ネットで収入を得る一番の要因は、自分の記事なりサイトが「どれだけ多くの人の目に留まるか」にかかっています。「naver」に関して言いますと、運営者にどれだけ気に入れるかにかかっています。

つまり、自分の作成した「まとめ」を目立つところに置いてもらえるかで収入が決まるといっても過言ではありません。もちろん運営者からしますと魅力のある「まとめ」の是非で判断することになりますが、やはり人間が判断することですので、作成者とのいろいろなしがらみが関係していても当然です。

このように、「naver」での収入は運営者の判断に左右されますが、これは「naver」に限ったことではありません。どんなに優れた、もしくは魅力のある記事・サイトであろうともほかの人に知られなければ記事やサイトは存在しないのと同じです。

最近それを痛感したのは吉藤オリィさんという方の記事を読んだときです。吉藤オリィさんはロボットで有名な方ですが、少し変わった経歴の持ち主です。それと同時に天才で、しかも社会的意識が高い方です。

吉藤さんは意識的にいろいろなメディアに積極的に出ていますので、ご存じの方も多いかもしれません。「いろいろなメディアに出ている」と書きますと、目立ちたがり屋で承認欲求の強い人を想像しますが、吉藤さんはアクは強いですが、単なる承認欲求の強い青年ではありません。メディアに積極的に出演するのは、活動資金を得るためです。

しかもその「活動」も自分自身のためというよりも、大げさに言いますと「社会的弱者を助けるため」です。現在吉藤さんが力を注いているのは、ALSという難病の方々の社会生活をサポートすることです。

ALSを日本語にしますと「筋萎縮性側索硬化症」ですが、この病気を発症してしまいますと、だんだんと運動能力が落ちていき、最後は寝たきりになってしまいます。吉藤さんは、そうした方でも社会活動ができるようなロボットを開発しています。

吉藤さんがこの活動をする際に直面した難題は、ベンチャー企業に見られるような資金難でした。その資金を少しでも得るために吉藤さんは発明関連の大会に参加したり、いろいろなメディアに取り上げられるように動いています。その根底には「多くの人に知ってもらわなければ存在しないのと同じ」という発想があります。

吉藤さんを知ったときに、僕が真っ先に思い浮かべたのは飯野賢治さんです。飯野さんについてもこのコラムで幾度か取り上げていますが、「Dの食卓」などを開発した天才クリエーターです。飯野さんの自伝を読みますと、学歴など関係なく自分のやりたいことを追求することの大切さを教えられます。もちろん、天才にしかできない選択肢ですが、凡人にもそれなりに参考になる考え方です。

吉藤さんは活動資金を得るために、多くの人の目に留まることの重要性を痛感するのですが、実は、これはあらゆる業界に当てはまります。僕が好んでいる格言に「宣伝をしなくてよいのは、日本銀行だけ」というものがありますが、この格言は丸井の創業者青井忠治氏の言葉です。宣伝の重要性を訴えた格言ですが、商品や企業はその存在を知ってもらって初めて売上げを作ることができます。

飲食業においても、どんなにおいしい料理であろうとも「料理の存在を知ってもらう」ことが最初に必要です。そして、飲食店において「存在を知ってもらう」ために重要なことは、立地環境です。もちろん広告を打ったりチラシを配布したりすることも大切ですが、根本的に重要なことは立地環境です。

同じことが言えるのがコンビニです。コンビニは角一つ違うだけ、もしくは数メートル違うだけで売上げが違うと言われています。コンビニ業界から「ドミナント戦略」という言葉を聞くようになって久しいですが、これも立地環境の重要性を示している戦略です。

先週、そのコンビニ業界で気になるニュースがありました。僕が好きな澤田氏が社長を務めているファミリーマートが「伊藤忠の完全子会社になる」という報道です。数年前に株式の半分以上を押さえていますので子会社にはなっているのですが、「完全」を目指す先には非上場があるといわれています。

僕が心配しているのは、伊藤忠が「完全子会社」にすることで今の澤田社長の追い落としを図っているのではないか、ということです。澤田社長はコンビニ業界の本部と加盟店の歪な関係を改善しようと頑張っていますが、経営の数字的にはあまり芳しくありません。ですから、親会社としては澤田社長の経営力をあまり認めていない可能性があるのです。

今の伊藤忠のCEOは岡藤 正広氏という実力者ですが、岡藤氏はとても厳しい人という印象があります。つまり利益を出さない社長は「用無し」と考えている節があります。その意味で言いますと、澤田社長は当てはまってしまいます。僕はそれが気がかりです。

今のローソンの社長は三菱商事出身の竹増 貞信氏です。実は、竹増氏が社長に就任する前にひと悶着ありました。ローソンの前の前の社長は新浪剛史氏だったのですが、新浪氏は親会社の三菱商事からやってきました。

普通このような形で社長に就く人は親会社の意向を気にするものですが、新浪氏は親会社に気兼ねすることもなく独立独歩の姿勢で経営していました。簡単に言ってしまいますと、親会社の干渉を排除しながら経営していたことになります。

その新浪氏が後任に選んだのは玉塚元一氏でした。元ユニクロの社長だった方ですが、同じ大学出身ということで気が合ったようです。しかし、三菱商事は新浪氏がいなくなったのをいいことに玉塚氏の排除に動き、現在の竹増氏が社長に就任した経緯があります。

そうした一連の流れを見ていましたので、今回伊藤忠がファミリーマートを完全子会社とした動きが重なって見えました。繰り返しになりますが、澤田社長はコンビニ業界の本部と加盟店の歪な関係を改善すべく動いています。前にも書きましたが、新浪氏も社長に就任直後は、歪な関係改善に臨みましたが、最終的にはなにもできないまま退いています。

そうであるだけに、澤田社長に期待している加盟店主は多いはずです。澤田社長には「本部と加盟店の健全な関係なしに、コンビニの成長はない」という信念があるように見えます。同じ信念が吉藤さんからも感じられます。

しかし、実際の世の中は思いどおりにいかないのが現実です。正しい信念が必ず実現できるとは限りません。そうではありますが、正しい信念は必ずや人々の心に刻み込まれるはずです。「Black Lives Matter」もしかりです。いくら憲法に書いてあろうが、すべての人の心の中にまで浸透させるのは簡単ではありません。

困難なことであればあるほど一進一退を続けながら、少しずつ前に進めるしか方法はありません。そうしたときに大切なことは「信念」です。揺るぎない思いを持ち続けることでしか、思いを成就させることはできません。

じゃ、また。







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