<政治家の資質>

pressココロ上




米国で起きた事件、黒人男性が警官による取り締まりで死亡した事件以降、全米各地で抗議デモが起きています。しかも今回は米国だけにとどまらず世界各地に拡散しているようですので、事件の深刻さがわかります。

この事件から「レイシズム」という言葉に注目が集まっていますが、「レイシズム」を辞書で調べますと「人種主義」と書いてあり、具体的には「身体的特徴や使用言語などに基づく『人種』によって人間集団の間に生得的な優劣があるとする思想」と解説されていました。

数年前に、ダウンタウンの浜ちゃんがテレビ番組で黒人の扮装をしたことで物議を醸したことがありました。さらに前には、「ちびくろサンボ」という絵本が黒人差別につながるとして絶版になった過去があります。(現在は、復刻しているそうです)

今回の事件以前にも、米国では幾度か警察官による黒人への行き過ぎた取り締まりにより死亡する事件が起きており、そのたびにデモなど抗議運動が起きていました。そして、今回のデモ行進です。

僕は定期的に「死ぬまでに、英語が話せるようになりたいな」と思っているのですが、30年以上思い続けるばかりで成功していません。原因は、なんと言っても覚悟が足りないことと、努力が続かないことですが、ときたま強い衝動に見舞われることがあります。

そうしたときに僕が取る行動は英会話学習用の本を購入することですが、そうした本を探しているときに出会ったのが「著名人のスピーチ特集」でした。この本にはヘレンケラーの「私の生涯」の一節や第35代アメリカ合衆国大統領に就任したケネディ大統領の

「あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。」

という有名なスピーチも収められていました。ですが、私が一番聞きたかったスピーチはマーティン・ルーサー・キング牧師の「私には夢がある」でした。理由は自分でもわからないのですが、僕はなぜか不公平だったり不平等な出来事に敏感に反応する質があるようです。

あまりに有名ですので説明するまでもありませんが、キング牧師が主導したワシントン大行進は人種差別の撤廃を求めた黒人のデモでした。全米から20万人以上の黒人が集まったそうですから、その規模の大きさがわかります。そこでキング牧師の「私には夢がある」の演説が行われました。

あの大行進には著名なアーティストや大物俳優も参加していたのですが、あれから50年以上の年月が過ぎています。それでも、今回のような事件が起き、そして抗議運動が起きています。アメリカ大陸を発見したコロンブスの銅像までもが引き倒されたそうですが、今回の抗議の強さが伝わってきます。

今回の抗議運動をこれまでの抗議運動と比較して大きくし、そして拡大させているのは間違いなくトランプ大統領です。よその国の選挙システムを批判するのもナンですが、大統領選挙で勝利を収めるには40%弱の支持を獲得すればよいそうです。トランプ大統領には岩盤と言われる支持層がいるそうですが、その支持者たちさえ満足させたなら大統領に選ばれてしまうのです。

そして困ったことに、岩盤支持層が喜びそうな政策は、国民の分断を深めることにつながっています。民主主義は意見が異なる人たちの落としどころを決める作業ですが、「落としどころを決める」どころか、平等・公平に反するような偏った政策を主張しても当選してしまう選挙システムは改善すべきです。

哲学者ヴォルテールの言葉「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」は民主主義の根幹を表していますが、トランプ大統領はそれさえも崩そうとしているように見えます。トランプ大統領を見ていますと、チャーチルの名言として有名な

「民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが。」

はまさに正鵠を得ているように感じます。しかし、これほどの名言を残したチャーチル氏ですが、そのチャーチル氏の銅像までもが引き倒されそうな雰囲気になっているそうで、銅像は囲いで守られているそうです。まさに民主主義の難しさを物語っています。

覇権主義とも連なりますので評価が難しいところですが、かつてアメリカは「世界の警察」を標榜していました。つまり、世界の安定に責任を負う使命感を持っていたことになりますが、それがトランプ大統領の出現によって「アメリカンファースト」に変わってしまいました。

これまでにも書いていますが、トランプ氏は立候補した当初は泡まつ候補の一人でしかありませんでした。それがあれよあれよと言う間に勝ち進み、大統領にまで昇りつめてしまいました。トランプ氏はテレビ番組で人気を博していたそうですが、テレビでの人気者になるやり方をそのまま選挙に持ち込み、そのやり方が成功したことになります。

そのトランプ氏を選んだのは米国民です。しかし、もう少し深く掘り下げてみますと、メディアの変化も大きく影響しているようです。いわゆるフェイクニュースが実しやかに伝搬したことや、さらに問題を難しくしているのはフェイクニュースのようにわかりやすい問題ではなく、知らぬ間に意識や考え方をコントロールされる危険性です。

これはメディアの発達によって引き起こされています。ナチスが台頭したとき、ドイツ国民はまさしく意識や考え方をゲッベルスによってコントロールされていました。同じことが今、米国でも起きているように映っています。

しかし、ナチス時代と今現在が違うところは、逆説的ですが、メディアが発達していることです。今の時代は誰でも情報を発信することもできますし、情報を得ることもできます。アラブの春を実現させたのはSNSという新しいメディアの力でした。「春」のあとの社会は混沌とし、問題が解決したとは言えませんが、民主化が実現したのは事実です。

先日のニュースによりますと、共和党の重鎮で元国務長官パウエル氏がトランプ氏を支持しないことを表明したそうです。そのほかにもブッシュ元大統領やロムニー上院議員なども不支持も表明しているそうです。

僕から見ますと、政治に対する哲学も信念も持っていないテレビタレントを共和党の大統領候補にさせてしまったことがそもそもの原因です。それだけ政治家のレベルが落ちていたことの証左ともいえるかもしれません。これは共和党に限らず民主党も同様ですが、政治家は政治をつかさどる資質を身に着けている人だけが就くべき職業です。

人種差別の究極の形である奴隷制を廃止したのはリンカーン大統領ですが、リンカーン大統領は「人民の、人民による、人民のための政治」という名言も残しています。政治家と同様に、もしかするとそれ以上に人民も政治に責任を負っていることを忘れてはいけないのです。

それなのに、、、投票率の低さよ。

じゃ、また。







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする