<13th -憲法修正第13条->

pressココロ上




今から40年以上前のお話です。

大学生になったばかりの頃、なにかの授業でひとりひとり自己紹介をすることになりました。その授業は40人ほどの学生が受けていたのですが、ほぼ全員の人が高校時代のこととか趣味のことなどを話していた中で、ただ一人ちょっと趣の異なったことを話した人がいました。

当時、ほとんどの学生はその当時はやっていたおしゃれな服装で通学していました。もちろんセンスの関係でおしゃれになっていない人もいましたが、それはともかくそんな中でその人は学生服いわゆる学ランで通学していました。

その外見から想像するに、おそらく公式のスポーツ部に属しているか、もしくは応援部など、体育会系の学生のようでした。もちろん体格もガッシリとしており背も高く、引き締まった表情をしていました。俗にいう硬派タイプです。

姓名のうち名のほうは忘れてしまいましたが、姓は覚えています。「金(キン)」君です。金君は前に進み出て開口一番こう言いました。

「僕は通名で学生生活を送ろうかと考えたこともありますが、本名で通すことにしました」

当時、社会や政治になど全く興味のなかった僕ですので、金君の言っている意味がわかりませんでした。単に「ああ、本名でいたいんだな」程度の認識しか思い至りませんでした。しかし、その後いろいろな経験や知識が増えていくに従い、金君の言葉の重みを知ることになりました。

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僕は毎日ニュースや経済誌などのネット版をサーフィンしていますが、先週たまたま2人の方が同じ映画を紹介していました。1ヵ月ほど前に米国で白人警察官に押さえつけられた黒人が死亡した事件がありましたが、その事件を契機に世界中で人種差別に抗議するデモが起きています。

2人が紹介していたのは、人種差別に関連するドキュメンタリー映画でした。映画の題名は『13th -憲法修正第13条-』。少し長くなりますが、内容をウキペディアより引用します。

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「エイヴァ・デュヴァーネイ監督による2016年のアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画である。人種差別、法と政治、そして大量投獄の関係性に踏み込んだ作品である。タイトルの13thは合衆国憲法修正第13条(奴隷制廃止条項)を意味する。

アメリカでの大量投獄と人種差別の関係について、作品中では以下が描かれている。
・貧困層の解放奴隷が不当に逮捕され、囚人貸出制度さながらに受刑者への刑務所内労働を強要した。
・奴隷制度廃止後の再建期 (レコンストラクション) にアメリカ南部で起こった黒人の投票権剥奪(英語版)、民衆によるリンチ (私刑)、黒人の公共施設利用を制限するジム・クロウ法と、それに対する黒人の反発。
・1971年のニクソン政権期から継承される麻薬使用撲滅の政治政策「麻薬戦争 (A War on Drugs) 」によって、黒人が好んで使用するドラッグにのみ重刑を不当に課され、結果、20世紀終盤には黒人の大量投獄につながった。
・産獄複合体(英語版) (prison-industrial complex) の問題を取り上げ、受刑者数の増加によって企業が利益を上げるシステムの是非を問うた。

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この映画の最大のテーマはタイトルにもなっている「憲法修正第13条」です。ネタバレになってしまいますので詳細は書きませんが、そこにはリンカーン大統領が1863年に「奴隷解放を宣言した」あとにも黒人たちを奴隷のように扱う抜け穴が書かれていました。

この抜け穴によって「人種差別は今も続いている」と訴えている映画です。この抜け穴は実に巧みなのですが、そのやり方は今の時代に行われている「メディアによる人心のコントロール」に通じるものを感じました。

この映画を観ていますと、今のトランプ大統領の選挙手法はまさにその巧みさを取り入れているように感じます。そして、その手法が今も通用していることに恐さを感じずにはいられません。日本から米国を見ていますと、人種差別がこれほど起きているとは思っていませんでした。なぜなら、マイケル・ジョーダン氏もいましたし、デレク・ジーター氏もいたからです。

黒人でも「超」がつくほどのお金持ちがいたからですが、よくよく考えてみますと、あのイチロー選手でさえも「差別を感じたことがある」とインタビューで話していました。やはり、日本からではわからない現実というものがあるのかもしれません。

今回の事件では警察の腐敗についても考えさせられます。しかし、警察の腐敗を取り上げた映画は僕が学生時代からありましたので、あまり深刻さがわかりませんでした。僕が米国における警察の腐敗を扱った映画を初めて観たのは「セルピコ」という映画です。ゴッドファーザーのアルパチーノ主演でしたが、学生だった僕は「そうなんだ」くらいの感想でした。

少し前に「レオン」という映画について書きましたが、「レオン」も警察の腐敗を描いている映画です。ですが、僕は心のどこかで「一部の特別な例」と考えていたように思います。しかし、今回の事件などから察しますと、「一部」でも「特別な例」でもないようです。

この映画を観ていて、僕が「間違っていた」と思ったのはレーガン大統領の評価です。僕の中では「冷戦を終了させた」という意味で良心的な人柄のイメージがありましたが、実際は人種差別を温存させようとしていたようです。やはり日本からでは、米国の人種差別の実態をわかることは困難なようです。

ごくごく普通に考えるなら、人が人をお金で売買するなどあってはいけないことです。しかし、米国ではリンカーン大統領が廃止を宣言するまで奴隷制度が普通のこととして行われていました。その延長線上に人種差別があります。

繰り返しになりますが、最も恐ろしいのは「わからないように仕掛けられた罠」です。その罠によって、人種差別は続いています。黒人であるオバマ氏が大統領になったあとでも、人種差別がなくなっていなかったことが驚きです。

トランプ大統領の発言を聞いていますと、表面的には差別反対としながらも黒人を蔑視する発想が透けて見える場面があります。言葉と実際の行動が伴わないのが問題ですが、どこかの国の総理大臣も「任命責任を感じる」と言いながら、実際には責任を取ろうとしていません。言葉だけが上滑りしています。

それはともかく、今回紹介した「13th -憲法修正第13条-」を観ていて感じるのは、米国の懐の深です。このドキュメンタリー映画は本来ネットフリックスで有料で配信されていたそうですが、今回のデモなどに鑑み、現在はyoutubeで無料公開されています。

また、スポーツメーカー各社もデモに賛同する意見を公表しています。トランプ大統領がデモに対して好意的ではない中での意見表明ですので、企業としての信念に尊敬の念を感じます。

米国は、自由の女神を泣かさないでほしい…。

でも、「猿の惑星」の最後の場面は、破壊された自由の女神の一部だったんだよな…。

じゃ、また。







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