<♪♪親亀の~背中に~♪♪>

pressココロ上




 今週のタイトルは30才以上の人はわかると思いますが、昔流行った
♪親亀の背中に~子亀を乗せて~♪
♪子亀の背中に~孫亀乗せて~♪
♪孫亀の背中に曾孫亀乗せて~♪
♪親亀コケたら~みなコケた~♪
という歌の冒頭部分です。この歌は子亀や孫亀や曾孫亀は親亀におんぶされているという当時の世評を表した詞でした。この「亀」は「会社」と置き換えることもできます。
 
 毎週金曜の深夜にR30というトーク番組が放映されています。ジャニーズのV6国分君とイノッチが司会をしているのですが、先日は国境なき医師団の会長臼井 律郎氏を紹介していました。臼井氏の話で印象に残っているのが次の話です。
 戦場で医療活動をするときは患者の傷の程度によってランクづけをし、死に近い傷を負っている人の治療はあとに回すそうです。具体的に言いますと、頭を撃たれている患者と足を負傷している患者がいた場合足を負傷している人を先に治療することです。これは頭を撃たれた患者の治療をするよりも「足を負傷している」といった助かる可能性が高い人を先に治療するほうがたくさんの人を助けることができるからです。その結果、当然のことですが頭を負傷した人を見捨てることになるのですが、戦場という場面では苦渋の選択をするしかないそうです。そう語る臼井氏は涙を浮かべていました。
 郵政民営化が成立し郵便局の民営化がいよいよ始まろうとしています。私も民営化に賛成でしたが、民営化が成し遂げられるとなると今度は民営化の進みすぎを危惧してしまいます。
 先日、労働組合「連合」の新しい会長が選出されました。個人的には落選した全国コミュニティ・ユニオン連合会の鴨桃代会長を応援していたのですが選挙前の予想通りUIゼンセン同盟の高木剛会長が選ばれました。現在の労働組合組織率は20%以下という惨憺たるものです。これでは労働者の代表とはいえません。組合離れの原因はいろいろ言われていますが、私は労働者の分断ではないかと思っています。それは正社員と非正社員の分断です。
 近年、企業は人件費を抑えるために正社員を非正社員に置き換えています。正社員と非正社員では待遇に大きな格差があり利益を追求する企業としては当然の対処です。そうした現状の中で組合は正社員だけを対象にし非正社員を取り込むことを怠ってきました。正社員にしてみればいろいろな問題がありながら給料や休日などそこそこの労働環境ですので組合に対して関心を持つ必要がありません。ただ正社員になることだけを目指していればよいのです。正社員にとっては非正社員の待遇が低いほうが会社の利益が増えその分正社員への報酬が増えることにつながります。ここに分断が生じます。
 この身分の格差というものは労働者間に限ったことではなく企業間においても言えます。親会社は子会社にコスト削減を要求しそのことによって利益が増えます。同様に子会社は孫会社にコスト削減を要求し利益を求めます。孫会社も曾孫会社へ…。このようにして産業界は成り立っています。そして通常、孫会社より子会社、子会社より親会社のほうが従業員の人数は多いものです。「大きいから潰せない」とはよく言われますが大きい企業が潰れた場合取引先や従業員など社会に与える影響が大きいからです。また、親会社から孫会社にいくに従って労働環境が悪くなるのが普通です。アスベストの問題にしても現場で働いていた人たちの多くは孫会社の従業員でありそこでは名簿さえ残されていないという有様でした。
 う~ん、悲しいですがこれが世の中の現実です。冒頭に書きました臼井氏の話の中での「頭に重症を負った今にも死にそうな患者をあと回しにすること」は戦場の場に限らず行われていることになります。民営化が進みすぎると資本主義の悪い面が突出してきます。人間には知恵と文明があるのですから悪い面を一つずつ解消して人類みなが幸せに暮らせる社会になってほしいものです。
 それでは最後に冒頭の替え歌を歌って今週のお別れにします。さあ、みなさんもご一緒に…。
♪曾孫会社の~背中を踏みつけて~♪
♪孫会社の~背中を踏み台にして~♪
♪子会社の~背中を踏み続けて~♪
♪そうやって~親会社生き残る~♪
 じゃ、また。




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