<FCとコンサルタント>

pressココロ上




 マンション耐震偽装事件について新たな事実がつぎつぎと明らかになっています。その中で興味をひいたことがありました。それは日本総研の下請けのポジションにいた木村建設がのちに総研を飛ばし自らがマンション建設に進出したことです。このことは総研との取り引きで仕事のノウハウを会得したなら総研というコンサルタント会社は必要がないことの証でもあります。つまりコンサルタントとしての総研はその価値がなくなっていたということです。
 今回の事件はマンションが主に報じられていますが、それとともにホテル建設での耐震偽装も明らかになっています。それに伴いホテル建設経営についても報じられています。
 ある番組で総研の指導によりホテル建設に進出した企業が取り上げられていました。その社長の話によりますとホテルが完成してまだ数ヶ月しか経っていないときに偽装事件が発覚し営業停止に追い込まれたとのことでした。借入金の返済も滞ることになり困惑しているようすでした。今回の事件の深さがわかります。
 総研が行っていたコンサルタント業を私なりに理解すると次のようになります。
 コンサルタント会社がホテル経営に興味を持ちそうな企業に営業を行い「ホテル経営が儲かる」ことをプレゼンテーションします。そして契約に成功したならその建設施工を建設会社に発注するという構図です。このような流れの中で建設を受注していた建設会社がコンサルタント会社の業務を行おうと考えてもなんら不思議はありません。義理・人情、倫理観といった面を除けば真っ当な経営感覚です。経営者ならだれでも考えるでしょう。
 この番組を見ながら私は自分がFCを脱退したときのことを思い出しました。私はド素人からラーメン店を始めましたのでFCに加盟しましたが、あることがきっかけで本部が食材にマージンをかけていることを知りました。食材によっては通常の4割高の仕入れ値のものもありました。木村建設同様、私も本部を通さず直接仕入れたほうがよいと考えたのです。そんなことを思い出しながらホテル建設コンサルタント業界の構図はFC業界と似ていると感じました。
 コンサルタント会社がFC本部であり加盟店にあたるホテル経営者を集め店舗業者や製麺業者など食材業者に発注するという構図です。コンサルタント会社とはまさしくFCの本部の役割をする会社です。先ほどの番組に登場したホテル経営者はホテル業界について素人でした。私がラーメン業界に素人だったのと同じです。総研の言われるままに建設会社に発注し調度品を揃え開業していました。そこには自分の意見や考えはないように見えました。しかし素人なのですから自分の考えなど持っていないのは私と同じです。もし自分の意見などがあったとしてもそれは低レベルの意見でしかないのですからコンサルタント会社の言われるままになるのも当然と言えます。
 今、企業は利益を出すためにアウトソーシングが主流になっています。あらゆる業務がアウトソーシング化されています。モノを作る業務をアウトソーシングしているメーカーもありますから驚きです。私はそのようなメーカーはメーカーとは呼べないと思ってしまいますが、工場を持たないメーカーの経営者は「リスクを少なくする最良のやり方」と考えているようです。そしてその企業の株価も上がっていまからで産業界でもこのやり方は認められていることになります。こうした流れに個人的には異論がありますが別の機会に述べたいと思います。ただ1つだけ言うならば、この流れが社会の格差を助長するのは間違いないでしょう。
 先週でしたか、「コンビニ業界が加盟店の募集に苦労している」という記事を読みました。コンビニが誕生して30年が過ぎ加盟店店主の高齢化が問題となっているようです。私はFC業界に疑問を感じている一人ですし、特にコンビニ業界は本部が加盟店に対して圧倒的な強さを持っていると考えています。そんな状況の中で加盟店募集において売り手市場になっていることは歓迎されることです。加盟店の待遇改善につながることを期待しています。ローソンが24時間オープンを見直すことを表明していますし将来コンビニの加盟店は脱サラのよい受け皿になるかもしれません。
 私はHPで「フランチャイズナビゲーション」というアフィリエイトをバナーしていますが、先週広告主より「プログラムを停止する」というメールがきました。私はフランチャイズの正しい比較に役立つと思いバナーしていたのですが、「停止する」ということですから一般の人はフランチャイズにあまり関心がないのかもしれません。実際、私のHPにおいては1度もクリックをされていませんでした。
 フランチャイズの問題点は新聞やテレビではあまり報道されることがなく、インターネット上でのほうが記事が多いようです。インターネットが普及した現在ではその問題点が多くの人に認知されていることも関係があるのかもしれません。正確なことはわかりませんが、コンビニ業界の加盟店募集の困難さやフランチャイズのアフィリエイトの停止などからしますとフランチャイズのいろいろな面が一般の人に知られてきたと想像できます。
 脱サラする前に情報を集めることはとても大切です。しかしもっと大切なことがあります。それは強い意志です。テキストにも書いていますが開業することは誰でもできます。FC本部やコンサルタント会社は開業させることで利益を得るのですからなんとしてでも開業させてくれるでしょう。しかし続けることができるかどうかはあなたの意志にかかっています。業績が悪く生活することが困難になるのでなければどんなに辛くとも最低3年は頑張りましょう。最低3年は経たなければ本当の結果はわかりません。昔の人は言っていました。
   意志の上にも3年
 じゃ、また。




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