<持ち時間>

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ちょうど今サンデーモーニングを見終わったところですが、この番組では最後に出演者が約1分間くらいずつ自分の考えを話すのが恒例になっています。今週は先日亡くなられましたジャーナリストの岸井 成格さんについて出演者それぞれが思いでを語っていました。岸井さんはこの番組のレギュラーであり、番組の最後のコーナーをまとめる役割もしていたからです。
このコーナーは一人の持ち時間が決まっているはずですが、中には持ち時間を越えて話す人がいて、そうなりますと最後の方が話す時間が短くなることもあります。今週の最後は岸井さんの後輩である与良 正男さんが務めていました。与良さんは直接の後輩ですのでいろいろな思い出やほかの人よりも強く濃密な思い入れがあったはずです。だからこそ、与良さんにはほかの出演者よりも長めに時間を持ってほしいと思っていました。
しかし、与良さんの前の出演者である佐高さんが長めに話してしまいましたので与良さんの時間がいつもより短くなったようでとても残念です。佐高さんも岸井さんと親交がありましたので話したいことがたくさんあったことは理解できますが、直接の後輩である与良さんに持ち時間を譲るのが礼儀だったように思います。与良さんのお話が途中で終わってしまい気の毒に思えました。自分の持ち時間というのは全体を俯瞰して調節するのも大事なことだと実感した光景でした。
岸井さんがお亡くなりになった年齢は73才でしたが、奇しくも筑紫哲也さんがお亡くなりになったのも73才でした。筑紫さんは僕が一番好きなジャーナリストでした。筑紫さんの主張にすべて賛成ではありませんでしたが、取材または報道する姿勢に関しては100%好感していました。その筑紫さんと同じ年齢で岸井さんがお亡くなりになったのですが、偶然の一致とはいえ感慨深いものを感じます。
歌手の西城秀樹さんもお亡くなりになりました。63才という年齢はあまりに若く僕は同年代ですので特別な思いがあります。しかも妻は若い頃に大ファンでしたのでショックは僕以上でしょう。人生の持ち時間は特別なことをしない限り自分では決められません。日本における男性の平均寿命は80才くらいですので、西城さんの人生の持ち時間は平均よりも短かったことになります。おそらく思い残すことがたくさんあったのではないでしょうか。
それにしても2度の脳梗塞から復活した努力には頭が下がります。西城さんのインタビューを読んだことがありますが、後遺障害が残りリハビリをするときの恥ずかしさについて正直にお話していました。有名人でしたのでやはり人に見られることが多く、「自分が見世物になっている」ように感じてふさぎ込んだこともあったそうです。そうした精神的な苦しさ辛さを乗り越えてリハビリの様子をマスコミに公開する姿勢に感動せずにはいられません。誰でもができることではないはずです。真からのスーパースターだったと思います。
アイドル絶頂期を過ぎたあとの四十半ばくらいの頃でしょうか。西城さんが野口さんと対談している番組を見たことがあります。日ごろからの仲のよさが伝わってくる内容でした。絶頂期の頃は忙しすぎて一緒に遊ぶ時間もなかったはずですが、当時の分を取り戻しているかのように一緒に過ごす時間を持っているようでした。おそらく西城さんにとってその頃が一番楽しい人生の時間だったのではないでしょうか。西城さんの人生の持ち時間が少なすぎたのが残念でなりません。
悲しいニュースが続きましたが、スポーツの世界でも悲しい出来事が起きました。日大アメフト選手の悪質タックルです。ニュースなどでなんども放映されていますので見た方も多いでしょう。誰が見ても「悪質タックル」です。SNSではいっせいに批判のコメントが投稿され、YouTubeでは当該選手のプロフィールなども報じられていました。
注目を集めたのは関西大学が記者会見をしたことがきっかけですが、日大の監督は批判が大きくなることを考えなかったのでしょうか。騒動が大きくなる前のインタビューでは悪質タックルを擁護するような発言をしていたことから察しますと、批判非難に相当するプレーとは考えていなかったようです。
このような監督の下でプレーする選手はかわいそうです。報道によりますと「試合に出たければ相手を潰してこい!」と暗に悪質プレーを促すような発言をしていたようです。しかも出場機会の激減した選手に話したのですから、その効果はてきめんのはずです。考えようによっては「弱みにつけこんで悪事を働かせている」ようにも思えます。
騒動以来、監督は雲隠れしておりマスコミの前に出てきませんでしたが、ようやっとマスコミの表れて「監督を辞任する」旨をコメントしていました。しかし、関係者が納得できる対応では決してありませんのでまだまだ騒動は続きそうです。
映像をシンプルに見ますとあのタックルは犯罪です。無防備の相手に対して背中から攻撃しているのですから一つ間違えると生命の危険に発展する可能性もあります。監督の言動にも問題がありますが、監督の言われるままに疑問を感じず実行する選手にも猛省してほしいと思っています。
せめてもの救いは「監督の指示」を証言する現役選手や退部する選手が多くいたことです。善悪の判断は上の人から指示されるのではなく自らがするものです。その気持ちを持っている選手が多くいたことが幸いです。
どんなスポーツであれ「フェアプレーの精神」は共通です。あのタックルはフェアプレー精神とはかけ離れたプレーです。アンフェアーのなにものでもありません。当該選手はそのことを全く感じなかったのでしょうか。それが残念であり悲しい気持ちにさせます。
「試合に出たい」という気持ちが善悪の判断を狂わせたのかもしれません。人生において自分の持ち時間を決めることはやってはいけませんが、スポーツという世界では自分の持ち時間は自分で決める権利を持っています。究極的に言うなら退部をすることも選択肢の一つに入れるべきでした。そのほうが人生という長いスパンで考えるなら自らの持ち時間を有効に使うことができるはずです。
そういえば、自らが善悪を判断することなく上司に指示されるままに言動する光景はどこかで見たことがあります。残念!
じゃ、また。




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