<フランチャイズシステム>

pressココロ上




世の中は次々にいろいろな問題が起きますので、マスコミは一つのことを取り上げ続けることは不可能です。報道するスペースが時間も紙面も限られているからです。そのような状況で、ときおり定期的に報道されるニュースに接することがあります。そうしたニュースからはマスコミの使命のようなものが感じられ、決して悪い気持ちにはなりません。

例えば、北朝鮮の拉致被害者問題は発覚して以来一年に一度は報道されています。そのほかにも世田谷一家殺人事件なども事件が起きた日にマスコミでは取り上げています。こうしたマスコミの姿勢は難事件が忘れ去られることを防ぐ効果があります。多くのニュースが忘れられていく中で過去のニュースを定期的に報じることは大切な役割と言えます。

先月のコラムに書きました千葉県野田市の虐待事件も、その半年前に目黒区で起きた虐待事件をもう少し深く長く報道していたなら起きなかったのではないかと思えて残念です。虐待事件にかかわった担当者および関連している人たちは注目が薄れると緊張感がなくなる傾向があります。緊張感を持ち続けてもらうために注目を続けることはとても重要です。

その意味で僕が先週「今回はどれくらいの期間報道が続くのか」と注意深く見ているのがコンビニの報道です。今回はマスコミもかなり大きく報じていますのでなにかしらの改善がなされるかもしれませんが、改善の度合いを決めるのはマスコミの報道姿勢にかかっています。

僕は自らがフランチャイズ加盟店の経験者ですので、常日ごろからコンビニの動向を気にかけています。しかし、一般の人はマスコミで報じるときの一時的にしか関心を持たないのが普通です。その証拠にこれほど不公平な本部と加盟店の関係にもかかわらずコンビニの加盟店になる人が今もいます。

僕はテキストでフランチャイズシステムの問題点を解説していますが、久しぶりにコラムで取り上げたいと思います。

ご存知ない方のために今回ニュースになった内容を簡単に紹介いたします。大阪のセブンイレブンの加盟店主が24時間営業をやめて深夜に閉店したことで本部から「解約」と「違約金1,700万円」を通知された内容でした。本部は加盟店と24時間営業することで契約していますので「契約違反」ということになります。僕が見たニュース番組ではその契約書の文章まで映していました。

公平を期すために本部側の立場からも伝えますと、この加盟店主はこれまでにも本部にいろいろと問題点を指摘する「注意人物」だったようです。僕の想像では、この加盟店主はニュースとして取り上げてもらうコツと言いますかポイントを知っている方のように思います。基本的に、世の中で起こるいろいろな問題の中からニュースとして取り上げてもらうのは簡単ではありません。そうした状況でニュースとして取り上げてもらっているのですからただの普通の加盟店主ではないと思われます。

僕は、常々もっとマスコミがフランチャイズシステムの本部と加盟店の不公平さを「報道してほしい」と思っていました。しかし、マスコミからしますと大口の広告主でもありますので、躊躇する気配があるのも事実です。

そんな中、10年ほど前に選挙絡みで票集めの一環として民主党の小沢氏が「コンビニ本部に対抗する加盟店の集会」に参加したニュースを報じたことがあります。その際に、コンビニ本部と加盟店の不公平さを取り上げる記事が載りましたが、選挙が終わると雲散霧消してしまいました。

そのあとにマスコミが報じたのが2009年の「お弁当の見切り販売に関する最高裁判決」のニュースです。このときはかなり大きく報じましたし、週刊誌などでも長期間取り上げていましたので業界の改善が少しばかり進んだように思います。詳細は省きますが、それまでの一方的に加盟店だけに負担が押しつけられていた契約が見直されたのです。

しかし、コンビニのフランチャイズシステムの問題点はもっと根本的なところにあります。僕は当時30才でしたので、ビジネスのことも社会のこともなにも知らない若造でした。そんな僕がそこそこ利益を出せたのはできたばかり小さな本部だったからです。つまり、そこの社長さんもプロに徹しきれていなかったので良心的だったのです。このような本部に加盟したという運がなかったなら僕のラーメン人生はもっと悲惨なものだったはずです。

体験記に書いていますが、ラーメン店という業種も関係しているのかもしれませんが、営業に関して時間も定休日も自由に設定できました。そのうえ、社長さんはチェーンをやめるときに実に好意的にやめさせてくれています。僕がフランチャイズを脱退するためのお金を用意して持っていったところ、返してくれたのでした。コンビニ本部では考えられないことで本当に運のよいことでした。

このように僕はたまたま運がありましたのでよかったのですが、コンビニのフランチャイズシステムはもっと冷徹です。建前上は加盟店主を独立自営業者として扱いながらいろいろな制限をくわえている点が不公平さの原点です。自分で営業時間を決められず、営業日も決められず、さらに営業時間や営業日を守れなかったときに違約金を支払わねばなりません。この契約状態のどこが独立自営業者なのでしょう。だれがどう考えても「独立」ではありません。それこそ「名ばかり独立自営業者」です。

そもそも論になりますが、コンビニの業態はフランチャイズシステムでなければ成り立たない経営体制になっています。少し考えればわかりますが、深夜という売上げが「少ない」もしくは「ない」時間帯にお店をオープンできるのは本部に人件費がかからないシステムだからです。そのようなシステムでしかお店を運営できない経営業態を考え出した人物を名経営者と賞賛するマスコミの人たちに疑問を感じます。

このコンビニの経営業態を考えたのはセブンイレブンを創業した鈴木敏弘氏ですが、鈴木氏の一番の功績はドミナント方式を採用したことでも、おいしいおにぎりを作ったことでも、お客様が求めていることを考えたことも、セブン銀行を誕生させたことでもありません。お店を運営する人に負担を押しつけたことです。

だって、考えてみてください。小売店を営業するうえで最も頭を悩ませるのは人件費です。それを考える必要がなく、そのうえにお店からロイヤリティを吸い上げるのですから失敗する確率はかなり低くなります。本当に経営能力があったならセブンのあとに社長に就任したイトーヨーカドーでも業績を上げられたはずです。しかし、普通の経営業態であるイトーヨーカドーでは業績は低迷したままでした。

最後にビジネスの世界における最も根本的なことを書きます。フランチャイズチェーンを展開している本部は加盟する人たちに「成功する経営方法を提供する」としていますが、本当に儲かるやり方を考えついたならほかの人に譲ったりしません。全部、自分でやるはずです。なぜならそのほうが儲かるからです。それを進んで他人(加盟店主)に教えるのですから、リスクがある証拠です。本部はリスクを軽減するために加盟店主を求めているのです。

これはコンビニ業界に限ったことではないのですが、「儲かるから」と近づいてくる人は信用しないほうが賢明です。しつこいようですが、本当に儲かるなら、誰にも教えず自分でやります。儲かる確率が低いから「儲かる」と教えるのです。

じゃ、また。







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