<逃げの一手>

pressココロ上




先週のコラムでビッグモーター事件を取り上げ、疑問点を書きましたが、一週間が経ち新たな展開になっています。当初はビッグモーターの「保険金不正請求」が追及の核心になっていましたが、大手マスコミでも「損保ジャパンとの癒着」について報じるようになってきました。

しかし、各テレビ局の報じ方を見ていますと、まだまだ事件の本質を理解していないように感じることがあります。事件の伝え方を見ることで、各テレビ局またはマスコミの実力をうかがい知ることができそうです。大分前ですが、大きな経済事件が起きた際、あるテレビ局の経済担当の一番偉い人が出てきてその事件について解説していました。ですが、その解説があまりな表層的な内容だったことに落胆した覚えがあります。そうした人がその部門のトップに就いていることで、そのマスコミ企業の社内風土を垣間見ることができます。

それはともかく、いろいろなマスコミが「損保ジャパンの責任」について報じるようになってから、損保ジャパンの社長がマスコミの質問に答えているのですが、その答え方を見ていますと、「逃げに入った」印象を持ちました。基本的に僕はビッグモーターと損保ジャパンは「共犯関係」と思っていますが、損保ジャパンの社長はなんとかして「被害者」になろうとしているように感じました。さて、損保ジャパンとの関係に一線を画していた東京海上と三井住友海上はどうでるのでしょう。

今回のビッグモーター事件において、国土交通省と金融庁が「調査に入った」と報じられています。その理由は自動車整備と自動車保険の両方についてビッグモーターが不正を犯していた可能性があるからです。一般の人は車の知識を持っていないのが普通ですので、ほとんどの人は「車検」の際は整備工場に「お任せ」しているはずです。ですので、整備を適正にやっているかどうかはわかないのが実際のところで、一般の人が判断できるのはトータルでの価格くらいです。

実は先週、僕は車検を受けました。今の整備工場に依頼するようになって2回目の車検なのですが、今の整備工場にはとても満足しています。これから書くことは見方を変えるなら宣伝・広告になりそうですが、僕にはその意図は全くありませんのでご理解いただきたく思います。

僕が今お願いしているのは「ホリデー車検」というものですが、1日というか約1時間で車検を終了することができます。僕が今の整備工場と出会う前の整備工場では車検に2日ほどかかっていました。それが1日どころか、わずか1時間で終了するのですから、かなり便利です。ネットで「ホリデー車検」と検索しますと、そのシステムを採用している整備工場が出てくると思います。

このシステムの一番のメリットは価格です。前の整備工場では「車検」を受けますと自賠責保険と自動車重量税などを含めて15万円前後かかっていました。しかし、今の整備工場では自賠責と重量税などを含めて、全部で6万6千円で済みました。その差額、なんと約9万円ですが、このうち税金など公的費用が4万6千円ですので、整備などにかかった費用は約2万円となります。

僕も昔は知らなかったのですが、車検とはあくまで「国の定めた検査」です。ですので、それ以上の整備が「必要か否か」もしくは「するか否か」は整備工場またはユーザーが決めることができます。今の整備工場に変わるまで、僕は車検の際の整備を「丸投げ」していましたので、整備工場に「整備の是非」の判断をすべて任せていたことになります。

僕が以前の整備工場に車検をお願いするようになったのは、たまたま知り合いの八百屋さんが紹介してくれたからです。今から30年以上前ですので、かれこれ30年以上のつき合いがあったということになります。途中から息子さんに代が変わったのですが、その息子さんもとても感じがよい方でしたのでずっとそこにお願いしていました。

その整備工場から今の整備工場に変えることになったきっかけは2つあります。1つめは妻と買い物に出かけた帰りにタイヤの車軸のあたりから異音がしたことでした。やはり変な音がしますと、不安になります。すぐにいつも利用している整備工場に向かったのですが、時間が遅く営業時間が終わっていました。そこで電話で近くの整備工場に問い合わせてみますと、快く引き受けてもらうことができました。

実は、電話で問い合わせをしたあと車で向かったのですが、その途中でそれまで鳴っていた異音が出なくなっていました。結局、問い合わせた整備工場で見てもらったときにはなんの異常もなく終わったのですが、その際の対応がとてもよかった印象を受けていました。

あと一つのきっかけはエンジン音の不具合が起きたときです。細かな内容は忘れてしまいましたが、いつもの整備工場に連絡をしますと「うちで引き取っても、そのあとディーラーの整備工場に持っていくので、直接持って行ったいいと思いますよ」と対応されてしまったのです。

この対応は僕の中では結構なショックでした。つまり、これまでも不具合があるときは自分で修理するのではなくディーラーに持ち込んでいたことになります。以前経済誌で、「最近の車はコンピューターのプログラミングが採用されている部分が多く、そうした車は街中の整備工場では対応できなくなってくる」と読んだことがあります。これからの整備工場はディーラーの整備工場の窓口としてしか生き残れないことを示唆していたのですが、先ほどの出来事は、まさにそうした状況を示していました。

この2つの出来事で僕は車検を受ける整備工場を変える決断をしたのですが、新たな整備工場で知ったのが「ホリデー車検」というものでした。この車検のウリは目の前で車の検査状況を説明してくれることですが、正直なところ素人の僕では説明をされても理解はできません。それでも「余計な整備」を勧められることがないのが一番のメリットで、それが安心感につながります。

ビッグモーター事件では、「余計な修理」どころか「修理する箇所を作って」まで修理費用を高くしていたようです。ユーザーからしますと悪質極まりない事件ですが、車検と同じくらい消費者にわかりにくいのが自動車保険です。一般的に事故を起こした際、保険会社は事故の内容により「保険を使うかどうか」を聞いてきます。理由は保険を使うと等級が下がり保険料が高くなるからです。

保険会社からしますと「保険金を支払わなくても済む」というメリットがありますから「保険を使うか、否か」を聞いてくるもの当然です。今回の事件で僕が不可解に思うのは、わざわざ修理箇所を作って支払う保険金を高くしていることです。保険会社はできるだけ支払う保険金を少なくするために修理工場に修理内容について問い合わせをするはずです。それこそ余計な修理をして保険金を高くされては保険会社の損失です。

報道では、損保ジャパンは「そうした不正を黙認していた」とも言われていますが、「損害賠償を求める」とも言っているようです。冒頭で僕が損保ジャパンが「逃げに入った」と感じた理由はまさにこの点にあります。「損害賠償を求め」なければ共犯であることを認めたことになります。

ビッグモーター事件で最も「逃げの一手」を決め込んでいるのは、創業社長の息子さんである副社長です。実質的なトップと言われているにもかかわらず一切表に出てきていません。逃げ切れるかどうか…、今後を見守りたいと思います。

そういやぁ、ほかにも「逃げ」切れるかどうか、瀬戸際にいる人がいそうです。

じゃ、また。




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする