<アリスとすず>

pressココロ上




タイトルは「広瀬アリス」さんと「広瀬すず」さんのことですが、この姉妹は数少ない仲たがいをしていない姉妹に見えます。もちろん、誰しも他人の心の中を見ることはできませんが、というよりは、自分自身でさえ自分の本当の気持ち、本心はわからないものですが、そのことが「生きる」ことを難しくしています。それはともかく、この姉妹の関係性はスムーズなように感じさせます。

僕は毎日曜日、フジテレビ早朝の「ボクらの時代」という番組を見ているのですが、今週の出演者は広瀬アリスさんと和久井映見さん、山口紗弥加さんでした。ご存じの方も多いでしょうが、この番組は親しい3人が語り合う番組で、かれこれ15年くらい続いている人気番組です。フジテレビの番宣に使われることもありますが、出演者同士の人間関係や本音が垣間見れて興味深く見ることができます。

同じような番組が、過去に他局で放映されていたのを少し前に知りましたが、その番組はすでに終了していました。僕のような老年に近い、というか年寄りの序盤に入っている人間からしますと数少ない見応えのある番組です。最近のテレビは僕からしますと、ほぼすべてが昔の番組の焼き直しに思えて仕方ありません。

「ボクらの時代」がフジテレビですので、同局について僕の思いを書きますと、モノマネ歌番組やお笑い系番組も昔と同じ流れのように見えてしまいます。お笑い芸人がモノマネをするパターンとか組み合わせとか、本人があとから出てきて「みんなが驚く」という定番は見ていて残念な気持ちにしかなりません。

こうした番組作りの傾向は以前より続いているのですが、おそらくそのやり方でヒット番組を製作したプロデューサーなどが出世をし、その人が部下や後輩を引き上げるという組織風土が根本要因であるように推測しています。そうした組織風土が現在のフジテレビの低迷につながっているように見えるのは僕だけではないでしょう。

このように書きますと、フジテレビだけを批判しているようですが、実はテレビ業界全体に当てはまっていると思っています。どのチャンネルを見ても、昔と同じパターンを繰り返しているだけです。そうした中で昔とは一味違った番組を作っていると思えるのが、ダウンタウンの浜ちゃんがMCを務めている番組です。

僕が一番のヒットだと思っているのは正月に放映しているテレビ朝日の「芸能人格付けチェック」です。一般的には、芸能界で活躍している人は物事に対する感性・感覚が優れている人と思われていますが、そうした概念を覆そうとする発想がこの番組の魅力です。こうした発想の番組はそれまでありませんでした。

また、TBSの「プレバト」という番組も芸能人の普段とは違う一面を競わせるという、これまたそれまでになかった発想です。本来、人気番組を作るには、これまでの延長線上を狙うのではなく、全く新しい発想が絶対に必要ですが、これらの番組はまさに当てはまる内容になっています。

「ボクらの時代」も芸能人の本音が見られるという魅力がありますが、それはテレビ番組にあちがちな決まり切った言葉のやり取りではないからです。本日のゲストの広瀬アリスさんは昨日「体調不良で舞台を降板」という報道がありましたが、最近の活躍は働きすぎの感じがありましたのでちょうどよい休養になるのではないでしょうか。

広瀬アリスさんを見ていていつも感じるのは、有名な姉妹にありがちな姉妹だからこそ生まれる“わだかまり”がないことです。姉妹という血縁関係があるからこその難しさについてはこれまでにも幾度か書いていますが、最近はそれに関連する記事を目にすることが多くなっています。そうした記事が増えるということは、そうしたことに関心を持っている人が多いことの裏返しでもあります。

つい最近、気になったのは元祖東大女子としてつとに有名な山口真由さんの記事です。山口さんといいますと、東大を首席で卒業したあと財務官僚になり、それから弁護士になったり、本を出版したりなど八面六臂の活躍のイメージがありますが、実はコンプレックスの塊だったと告白しています。

傍から見ていますと、頭もよく活動的で外見的にもきれいですので非の打ちどころがないような人間、人生を送っているように思えますが、本人はいろいろな面で苦しんでいたそうです。その苦しみの一つに妹さんとの関係性について語っている部分があるのですが、「姉であるがゆえのプレッシャー」を吐露していました。

広瀬さん姉妹のほかに注目されている姉妹といいますと、上白石萌音さんと萌歌さんです。広瀬さん姉妹は、先にお姉さんが芸能活動をしていて妹さんはあとから始めていますが、上白石さん姉妹はあるオーディションで妹の萌歌さんがグランプリを獲得し、姉の萌音さんは審査員特別賞を受賞して芸能界に入っています。

つまり、デビュー当初は妹の萌歌さんのほうが立ち位置が上だったことになりますが、そういう状況のときの姉妹関係は外野からしますと気になるところです。僕が萌歌さんに注目したきっかけはある飲料のCMですが、素朴な雰囲気と歌声の透明感が素敵でした。その後、ドラマでも見かけるようになり、鶴瓶さんのトーク番組でもアシスタントを務めていましたので、テレビで見かける頻度は高くなっていました。

そうした状況のときに、そのトーク番組に姉の萌音さんがゲスト出演したのですが、そのときの二人の関係性は完全に姉が上で妹が下でした。幼い頃の関係性がそのまま続いている感じでした。僕の想像では、姉の萌音さんは芸能活動のはじまりが妹のほうが上であろうとも「姉としての立ち位置は変えないぞ」という強い意志があったように思います。

そして、これは性格なのでしょうが、妹の萌歌さんもそれをなんの違和感もなく受け入れている感がありました。これは、いい悪いではなくそうした関係のほうが二人の関係がスムーズにいくのだと思います。ましてや、姉の萌音さんは朝ドラで主演も果たしていますし、二人の立ち位置はしばらくの間は続くように思います。

僕は今、二人について「立ち位置」という言葉を使いましたが、これは二人から「わだかまり」を感じてしまうからです。本当の意味で二人の関係性がスムーズになったなら「立ち位置」という言葉も出てこなくなるでしょう。そうした姉妹を数多く見ているからこそ、広瀬さん姉妹の素晴らしさが際立ちます。

広瀬さん姉妹の関係性がスムーズなのは、一にも二にも姉のアリスさんの人柄によると思っています。普通に考えるなら、年下でしかもあとから芸能界に入ってきた妹が先に主演を務めるような活躍をしている現実を見てしまいますと、やはり嫉妬心ややっかみといったネガティブな感情が芽生えるものです。しかし、アリスさんはそうしたもの一切感じさせることがありませんでした。

人は、意識的に嫉妬心などネガティブな心理を見せまいとするときは、反対にそれを感じさせる雰囲気が出るものです。しかし、アリスさんはそうした雰囲気を全く感じさせることなく芸能活動を行っていました。現在、休養を要するほどの活躍をしているのは、そうした清純な生き方が実ったからだと思っています。

広瀬アリスさんは姉妹という関係性をスムーズにこなしていますが、その関係性があるがゆえに凶暴になることがあります。プーチン大統領は、ロシアとウクライナは元をたどれば「兄弟である」と言っていますが、無理やり兄弟の絆を深めようとしての今回の蛮行でしょうか。

兄弟姉妹であろうが、両方が納得し、認め合ってこその絆です。そのためにはお互いが相手を思いやり、尊重し合うことが必要です。それをせずに無理やり絆を深めようとするなら、憎しみしか生まれません。プーチン大統領が早く気づいてくれることを願うばかりです。

じゃ、また。




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