のっけから縁起の悪い話で恐縮ですが、実は年末に身体に異変が起きまして、大変な年末年始を過ごしていました。先週の日曜に最後のコラムを投稿した2時間後、急に体調がおかしくなりました。パソコンに向かっていたところ、「あ、意識が遠のく」と感じはじめ、起きていられなくなったのです。すぐに横になり、少しでも頭に血液が行くようにと足を高くして寝た状態にしました。
その後、しばらくすると今度は気持ちが悪くなり、吐いてしまうまで悪化してしまいました。そのときは妻が近くにいましたので、すぐに対応してくれたので助かりましたが、一人のときだったらどうなったのだろうと不安に襲われました。実は、半年前にも似たような症状になったことがあり、そのときは1日で治ったのですが、今回は翌日も同じ時間頃に同様の症状が起きてしまいました。2日続けてですと、不安も高まります。
半年前のときは、定期的に通っているかかりつけ医に相談して、血圧の薬を減らしてもらいました。以来、その症状が出ていませんでしたので安心していたのですが、今回また起きたので少し心配しています。人間、不安に駆られますといろいろなことを考えるものですが、一番心配したのは、年末に病院が休診していることです。年末年始はほとんどのお店が休んでいますが、病院も同じです。そうなりますと救急病院に行くことになりますが、それもまた気が重いことです。
お正月に体調が悪くなった、と聞いてすぐに思い出すのは妻のことです。もう20年くらい前のことでしょうか。お正月に妻がゲーム(おそらく“ぷよぷよ”)に熱中しすぎてしまい、めまいが激しくなり座ることもままならなくなったことがあります。僕も焦ってしまい、車で救急病院まで運んだのですが、そのときの情景が頭に残っています。僕が妻をおんぶして待合室に入ったとき、中にいた人たちがいっせいに僕たちに向けた視線です。大の男の大人が大の大人の女性をおんぶして待合室に入ってきたのです。皆さんの驚いた顔が今でも忘れられません。
僕の思い出は置いておくとして、年末に倒れたとき僕が一番心配したのは病院の確保でした。二日連続で症状が出てきたときは、正直焦りました。「お正月に病院に行くことになるのかなぁ…」と。しかし、二日目は「吐く」こともなく、前日より症状が軽かったので、このまま治ってくれることを願いました。
そして、本日、新年4日(日)を迎えていますので、なんとか峠は越えたのかもしれません。一応、例年どおり初詣にも行っています。あと1回症状が出たら、休診明けすぐにかかりつけ医に行くつもりでしたが、なんとか行かなくても済みそうです。本当は素人が勝手に決めてはいけないのですが、基本的に僕は病院に行くのが好きではないのです。
病院が嫌いな理由は、「待ち時間が長い」ことが一番です。僕は歯医者さんにも毎月通っているのですが、この歯医者さんは予約制ですので、待ち時間がほぼなくて済むのがうれしいです。実は、この歯医者さん、先生には内緒なのですが、僕がラーメン店を開いていた場所で開業しているのです。僕が廃業してからかれこれ30年以上経ちますが、診察室の椅子に座り、「あー、ここは2番テーブルだったよなぁ」などと一人で勝手に感慨に浸っています。
実は、昨年の12月に上あごの歯を総入れ歯にしました。部分入れ歯を入れるようになってから30年以上でしょうか。長い道のりでした。下の歯は自分の歯がまだ6本ほど残っていますので、総入れ歯になることはないように思います。下の歯茎は丈夫なのですが、上の歯茎は弱いのです。おそらく流行りの歯周病です。
50代後半の頃、僕と同年齢の人と話す機会があったのですが、そのときに歯の話になりました。当時僕はすでに半分以上が部分入れ歯になっていました。しかし、その男性は「すべて自分の歯」と話していました。秘訣を尋ねたところ、特別なことはしていないそうで、ただ「1日に1回は歯を磨いている」と話していました。僕は、それだけ歯が丈夫な人ですので、最低でも「1日に2回くらいは磨いている」かと思いましたが、ごくごく普通の磨き方です。その男性曰く「生まれつきじゃない」。
僕もそう思います。確かに、僕は歯磨きをさぼってきましたが、それだけが原因とは思えません。それを裏づけるように、妻のお兄さんは真面目な性格で、歯磨きを小さな頃からずっと丁寧にしていたそうです。そのお兄さんが歯周病になって歯が抜けてきたそうです。歯磨きをしたからといって、歯茎が丈夫になるとは限らないことが証明されました。…歯磨きをさぼっていてよかった。(^_-)-☆
総入れ歯にするまでが大変でした。この歯医者さんは、残っている歯は「できるだけ残しておく」という考えの歯医者さんでした。中には、健康な歯が少なくなると「全部抜いて総入れ歯にしましょうか」と勧めてくる歯医者さんもいます。最近の歯医者さんはどうかわかりませんが、父が存命中に通っていた歯医者さんはそういう歯医者さんのようでした。父から要望したようですが、さして反対することもなく「生きている歯」を抜いて総入れ歯にしたそうです。
それに対して、僕の歯医者さんは「生きている歯はできるだけ残したほうがいい」という考えですので、こちらから「全部を抜いて」とは言えない雰囲気がありました。ですので、毎月通院し、歯垢を取り除いてできるだけ長持ちさせようとしていました。ですが、部分入れ歯は取り外しを繰り返していますと、クラスプ(針金)をひっかけている隣の歯の負担になり、その隣の歯も抜けるようになります。それが順次繰り返され、部分入れ歯は増えていきます。ご経験の方も多いのではないでしょうか。
結局、僕は最初、部分入れ歯が数本だったのですが、それが徐々に隣の歯に進んでいき、最後のほうは鬼のような位置の前歯が2本と右の奥歯が1本だけという状態になっていました。そして、それらが次第にグラグラしてくるのですが、その中で一番グラグラしていたのは奥歯でした。僕はこれが恐怖でした。理由は、寝ている間にその歯が抜けて飲み込んでしまうことを想像したからです。
残っている歯はどれもそうなのですが、幾度か抜けています。それを歯医者さんに持って行き、歯茎に差し込む部分に接着剤を塗って再度差し込んでもらいます。差し歯が取れたときに見ていたのですが、差し歯は歯茎に食い込む先のほうが細く鋭い円錐形で尖った形状になっています。あの円錐形の尖った形が恐怖なのです。
「あれが胃の中で刺さったらどうなるんだろう」とか、「胃から腸に移動して腸のどこかに刺さったら痛いだろうな」とか、「腸から肛門付近まで移動して肛門の内側に刺さったら地獄だろうな」などと、よからぬ想像が膨れ上がるのです。恐怖以外のなにものでもありません。それで僕が考えついたのは、寝ている間も入れ歯を装着していることでした。そうすれば差し歯を抑えることができ、飲み込むこともありません。
そうやってずっと過ごしてきたのですが、月日とともに奥歯が抜け、前歯の二つともが前後左右にグラグラで今にも抜けそうになったとき、とうとう先生が言ってくれました。「これ、もう限界ですから抜きましょう」。うれしかったです。実は先生がそう決断してくれるように、僕はある作戦を行っていました。それは、口を開けるたびにグラグラの歯を舌で外側に押し出すようにしていたのです。もうグラグラですから、大げさではなく歯が90度曲がるのです。根元がほんの少しだけくっついている状態です。それを見せつけることで先生に決断を迫っていたのでした。
そうやっていたことが功を奏して、僕は両方を抜くことに成功したのですが、そのときに驚いたことがあります。それは、前後左右ともに90度にもなるほどグラグラしていて、すぐにでも抜けそうな状態だったにもかかわらず、いざ抜く段になると「結構な力を入れないと抜けない」ことでした。もちろん麻酔をしましたが、先生がペンチのような器具で引き抜くときの「ミシ、ミシ」という音は不気味でした。
このようにして、僕は12月半ばに上あごの総入れ歯になったのですが、つけはじめた当初はすぐに落ちていました。なにもしないときはしっかりと密着しているのですが、食事をするとすぐにはずれてしまうのです。ちなみに、なにもしないときに落ちないのは入れ歯が「吸盤」の形状になっているからです、と先生に教わりました。ですが、食事をするときにはずれては意味がありません。僕はちょっとだけ思いました。
「この先生、もしかして下手?」
そこでネットで調べたところ、食事のときに外れるのは「コツを習得していないから」のようです。それを知ってからいろいろ食べ方を工夫したところ、完璧とはいえませんが、そこそこ普通に食事をとれるようになりました。今まで部分入れ歯だった頃は、外して洗うのも面倒だったのですが、総入れ歯になってからは掃除が簡単になったのがうれしいです。
それでは、今年もよろしくお願いします。ヒヒーン!
じゃ、また。