<小泉劇場>

pressココロ上




 マスコミは小泉さんが郵政民営化に反対する候補の選挙区に立てる対立候補を「刺客」と言っています。その「刺客」という言葉をキャスターや評論家の方たちが「シキャク」と発音していました。私の記憶では「シキャク」ではなく「シカク」と発音するように覚えていましたので辞書で調べてみましたところ、「どちらでも可」のようでした。人間の記憶とはあてにできないものです。あっ、違った。「私」の記憶とはあてにできないものです。
 さて、そんなことを思いながらニュースを見ていましたら、マスコミでは今回の解散、総選挙を「小泉劇場」と揶揄していました。また「小泉さんに踊らされている」とも表現していましたが、私はそれでもよいのではないかと思います。踊るということは参加していることの証拠でもありますし、過去の選挙の投票率を思うとき少しでも選挙に関心が向くことはとても大切なことです。
 先日、50代半ばの親類(女性)と電話で話す機会がありそのときその親類は私に「郵政民営化に反対? 賛成?」と尋ねてきました。今まで政治の話などしたことがなく、ましてや50代の女性が政治に関心など持っていないと思っていましたのでとても驚きました。こうしたことからみましても小泉さんの一連の行動は意義があるのではないでしょうか。
 昔の自民党であったなら今回のような政局の場面では領袖と呼ばれていた大物政治家たちが料亭に集まり落としどころを探っていたはずです。いわゆる料亭政治、密室政治です。こうした政治手法をとらず「国民に問う」とした小泉さんの選択は本来の民主政治の姿ではないでしょうか。昔のように国民の知らないところで密室で国の重要な政策が決められていたことが投票率の低下にも関連していたような気がします。先週も書きましたが、小泉さんはが「自民党をぶっ壊す」と言っていたのは本気だったのだなぁ、というのが私の感想です。道路公団民営化では「骨抜き」にされたと批判されていましたから今回の解散総選挙は小泉さんの面目躍如といったところでしょうか。
 それにしても約10年前と比べて隔世の感があります。わずか10年前は自民党は田中派の流れを組む経世会が中心となって運営されていました。全ての政策は経世会が調整をし決定していました。その経世会の中心人物であった綿貫さんが新党を立ち上げざるを得なかったわけですから自民党は10年前の自民党ではなくなっています。自民党の内部的にはすでに小泉さんは自民党をぶっ壊している言っていいのかもしれません。そしてもし今回の選挙で民主党に負けたなら対外的にも自民党をぶっ壊したことになってしまいます。小泉さんはそれなりに戦略は練っていると思いますが、下野する覚悟もできているではないかと想像しています。
 しかし私の個人的な予想では民主党が勝つ可能性は低いと思っています。それは郵政民営化に反対したからです。そしてもっと大きな理由は選挙の争点として郵政民営化を避けているからです。心ある国民はそのやり方を姑息と感じるのではないでしょうか。
 私は今回の選挙の争点が郵政民営化だけとは思いませんが、小泉さんは解散する際に郵政民営化を争点とする舞台を設定しています。この時点で小泉さんが圧倒的な有利な立場に立つことができています。ですので民主党は好むと好まざるに関係なく本来は郵政民営化を避けることはできないと思います。元々、民主党は労働組合を集票のあてにしていますから郵政民営化については一歩引いた姿勢で臨まざるを得ません。このことも国民は見据えていると思います。やはり民主党は最初から不利な戦いを強いられる選挙となっているように思います。
 民主党のこのような状況を見ていますと私はいつも思うことがあります。
 民間企業は利益を上げなければ倒産してしまいます。そうならないために常に顧客の意見に敏感になり顧客に気に入られるようにしなければなりません。しかし政治家は国民の意見に敏感になる必要はないのではないでしょうか。国や国民にとって必要だと思う政策を政治家自身が考え提示するだけでよいのではないでしょうか。そして提示された政策を支持するかしないかを国民に任せればよいのです。もしかすると支持を得られず落選することもあるでしょう。しかし政治家を目指すのであればそうしたリスクは負ってしかるべきだと思います。政治家は国民に阿る必要はないと思います。
 ところで自民党から郵政民営化に対する刺客がぞくぞく公認されています。その刺客となる人物が本当に私たちの一票を投じるだけの「資格」があるかどうかよーく見極めましょう。
                       じゃ、また。
注:今週は「……ではないでしょうか」と疑問形の文末を多くしてみました。…自信がないから。
                       じゃ、じゃ、また。




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