<理想の国>

pressココロ上




 自民党の安倍さんが「美しい国」を掲げ、民主党の小沢さんが「普通の国」を掲げ、それぞれが目指す社会が語られています。ところどころ細かい点では納得できない部分もありますが、市井の一市民としてはどちらになるにしても「そのとおり」になれば今よりは生きやすい世の中になるのではないかと思っています。しかし「そのとおり」にできないことが一番の問題です。やはり違う意見の人もいるからです。
 例えば消費者金融会社の金利については議論が錯綜しています。最初はグレーゾーンと言われている金利を「20%にする」と決めながら消費者金融会社の巻き返しにより28%になり、そしたまた世論などの反発などもあり25%に落ち着きそうです。単純に考えると、高すぎる金利で貸し付けることを制限するなら多重債務者を増やすこともなくなりますし、その結果借金苦で自殺するなどという悲惨な事件も減るはずです。それができないことが民主主義の難しさでもあります。民主主義とは理想があっても簡単に「そのとおり」にできないシステムです。
 金利を一気に引き下げることについて反対側は「今まで借りられた人が借りられなくなりヤミ金融に走る人が増える」と主張しています。しかし「借りられない」時点でそれ以上借金を増やさないという歯止めになるのですから、この主張には賛成できません。
 本や雑誌などを読みますと多重債務者に陥る人はほとんどパターンが決まっているようです。銀行やクレジット会社など金利の低い金融会社から借りられなくなり、それから段々と金利の高い金融会社に手を出すパターンです。この流れを断ち切るためにもグレーゾーンの高金利を制限することは必要です。松下幸之助氏は言っていました。
「貸さぬも親切」
 反対側が主張する「ヤミ金融に走る」という意見は論理のすり替えに過ぎません。ヤミ金融は元々法律違反ですが、グレーゾーン金利は少なくとも今の状態では法律違反ではありません。ですからヤミ金融と同列に語るのは無理があります。
 多重債務者のパターンを考えていましたら、労働者の待遇、報酬が連想されました。やはり最も待遇がいいのは正社員です。待遇の悪い順番に言うなら、パート・アルバイト、請負、派遣、契約社員といったところでしょうか。最近では企業によってはパート・アルバイトの重要性を認識し請負や派遣より待遇をよくしているところもありますから、この身分は今後変わっているかもしれません。大切なのは「賞与があるか」「有給があるか」など実質の待遇です。
 一昨年あたりからマスコミでは「製造業の回帰」などと言い、労働コストの安さを求めて中国や東南アジアなどに進出していたメーカーが国内に戻ってきた、と報じられていました。そのときの謳い文句は「高付加価値製品を製造する」でした。
 つまり技術水準の高い工場で利益率の高い製品を製造し日本の高賃金を吸収するというものでした。しかし最近の大手企業の偽装請負報道などを見ていますと、この謳い文句を素直に受け入れることはできません。日本での労働コストはつまるところ正社員を非正社員に置き換えることで吸収していたに過ぎないからです。このことは単に労働者を追い詰めているに過ぎません。このような状況で果たして国民がみな幸せになれるか疑問です。
 さらに、一つ疑問があります。
 みなが「みな」と思っているのでしょうか。
 もしかしたら、みなは「みな」でなく「自分だけ」と思っている可能性もあります。
 僕が思う理想の国は、国民みんなが豊かで、それで平等で、そいでもって平和な国、ですね。端的に言うと
「美しい普通の国」(順不同)
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




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