<見て見ぬ人々>

pressココロ上




 学校でのいじめ問題について有識者会議が開かれ「緊急提言」が発表されました。その中で私が特に目を引いたのが次の項目です。
「いじめを傍観した児童・生徒の指導強化」
 つまり見て見ぬふりをした生徒も加害者である、とした点です。
 以前、新聞に女性の投書が載りました。
「電車の中で酔漢に絡まれたのに乗客の誰も助けてくれなかった」
 見て見ぬふりをするのは大人の世界にも存在します。いえ、大人の世界のほうが多いでしょう。
 先週の週刊ダイヤモンドは「投信の罠」と題して投資信託の問題点を特集していました。一言で言うなら「投信に騙されるな!」です。40才を過ぎてから金融に興味を持ち、評論家の山崎元氏や大学教授の吉本 佳生氏などの本を読んだ私としては納得のできる内容でした。まだ読んでない方は是非とも一読あれ!
 それにしても経済誌でありながら具体的な企業名、商品名をあげて記事にするのはあっぱれです。広告主に阿ることなく雑誌を作っている姿勢に感動します。個人的にはこの雑誌の特色はページ数の少なさではないかと思っているのですが…。ジャーナリストの気概が感じられます。
 全国各地の知事が談合がらみで逮捕されていますが、私は逮捕された知事の周りの人たちについて思いを巡らせます。知事の犯罪を見て見ぬふりをしていた可能性が高いからです。冒頭で紹介しました緊急提言に照らしますと、この人たちも加害者となってしまいます。
 このことは役所に限りません。民間企業においても同様です。少し前に雪印があり三菱自動車の事件がありました。これらの事件にも見て見ぬふりをした人たちがいたはずです。もしそれらの人たちが勇気を出して行動していたなら犠牲者はもっと少なかったでしょう。しかし勇気が出ないのが普通の人間です。ならば職を辞するのも一つの選択ではなかったでしょうか…。
 日曜深夜に冤罪をテーマにしたドキュメント番組を放映していました。現在再審請求をしている事件を中心に冤罪で人生を棒に振った人を取り上げていました。番組の中で一番私が印象に残っているのは被告人の周りの人々です。こちらは「見て見ぬふり」とうよりさらに踏み込んでいました。
 番組では弁護士が冤罪を証明すべく活動している様子が紹介されていました。私が驚いたのは、ある証拠を発見し冤罪の証明がされようとしたときのその事件があった地元の人々の反応です。
 地元では被告人が犯人であることで村の秩序が保たれていたのです。そこには事件の真相を究明する姿勢は全くなく、ただ自分たちの今の生活が崩されないことを第一に考えている村人たちがいました。村の会合で当時被告人を犯人と証言したある老人が自慢げに話していました。
「あいつが犯人に決まっている。もし今ここにあいつを連れてきたら俺が白状させてやる」
 この言葉に周りの老人たちが笑いながら応えている姿はあまりに切ないものがありました。
 見て見ぬふりは自己防衛本能がさせるものです。人間は誰しも「自分が一番かわいい」ですから自然と自己防衛本能が働きます。しかしそれで「よし」とするのでは人間としての尊厳が失われてしまうような気がします。ほんの少しでいいですから他人のために行動することがあってほしいものです。自戒を込めて…。
 よく「政治が悪い」とか「一票を入れたい政治家がいない」などと言う人がいます。でも僕は思うんですよねぇ。社会人として一番大きな「見て見ぬふり」…、それは選挙に行かないことです。皆さん選挙には必ず行きましょう。
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




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