<社長>

pressココロ上




 ホリエモン氏がニュース番組に出演していました。興味深く見ていましたが、がっかりした発言がありました。とても経営者とは思えない発言です。
 キャスターに「業務の細かいことにタッチしていないにしても社長としての責任」を追及されたとき、ホリエモン氏はこう答えたのです。
「そんなことを言われても分担制のような感じでやっていたから…」
 私は次のように考えます。
経営者、つまり社長とは全てのことに責任を負うのが仕事である。例えば、集団指導体制などと言われる経営陣がいますが、最終責任を負うのはやはり代表取締役です。「です」ではなく「でなくてはならない」のです。これは法律上のことだけでなく企業として活動している限り企業の最終的な責任者がいなければその企業は動くはずはありません。そうでないなら企業が中間管理職だけで動いていることになります。誰も責任を負わない企業はありえません。そのような企業はすぐに消滅してしまうでしょう。ホリエモン氏の発言を聞いて「ビジネスマンの基本ができていない」と感じた企業人は多かったでしょう。
 現在、保険会社の不払いがほぼ毎日報道されていますが、私が数年前に経験したお話です。
 ある契約者の方から「5年前の保険金支払いについて調べてほしい」と連絡がありました。私は保険会社に問い合わせ、その際にいろいろなやり取りがあったのですが、結局保険会社がミスを認めて利息をつけて追加で保険金を支払うことになりました。私は契約者様に感謝され、私個人的にも満足していました。
 その約2週間後、その契約者の方からまた連絡がありました。内容は「保険会社とその方との間に入ってほしい」というものでした。
 その方の話では、保険会社の担当者と話す機会があり、その際にちょっとした言葉の行き違いで言い合いになり担当者がその方の住む場所まで訪ねることになったそうです。その方の住所は新幹線で行かなければならないほど遠いところです。その方は「つい感情的になり謝りに来い」と言ったらしいのですが、冷静になって考えると「自分も会社員だった(現在は定年退職しています)だったから担当者の気持ちはわかる。わざわざ来てもらうこともない」ということでした。私は詳しく話を聞きました。
 その方は担当者に「社長名義で一筆書いてほしい」と言ったそうです。それに対して担当者が「それはできない」と言ったところから言い合いになったようでした。私が担当者に電話をすると、担当者の方も感情的になっており「意地でも謝りに行く。もう新幹線の切符も取った」と話していました。結局、私が間に入り無事に解決したのですが、「社長」という肩書きの重さを痛感する出来事でした。
 私は自サイトの本棚で「社長を出せ!」という本を紹介していますが、企業では社長は最終責任者ですから簡単に表に出すわけにはいかないのです。危機管理で有名な佐々淳行氏は「リスク管理で最も大切なことはトップを前線に出さないことだ」と述べています。トップが前面に出てしまうとその組織は正しい行動が取れなくなることが理由です。組織の危機管理ではいかにしてトップを守るかが勝負です。
 それほど重要な立場がトップ、企業でいうなら社長のいう役職です。その役職についていたホリエモン氏が「分担制」などと言ってほしくありませんでした。
 本来、社長とは周りの人から尊敬され「みんなで社長を守ろう」と思われる人がなるべき役職でしょう。反対に言うなら「守ろう」と思われるほど素敵な人でなければなってはいけない役職です。ホリエモン氏の裁判では検察側の証人として元幹部の人たちが出廷していますが、そのことだけを見てもホリエモン氏は社長にはふさわしくなかったのかもしれません。
 …でも、僕も人のことは言えないんですよねぇ。だって我が家のトップも家族から尊敬されていませんから…。
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする