<おお、感動>

pressココロ上




 今年も今回が最後の「ココロ」となりました。毎週読んでいただいている読者の方もいらっしゃるようで深く感謝を申し上げます。それにしても毎年のことですが、一年が過ぎるのは本当に早いものです。そんな「早く過ぎる一年」を積み重ねて私も今年とうとう50才になってしまいました。残りの人生をどうやって生きて行こうかなぁ…、あと50年…なんちゃって。
 「なんちゃって」なんて…、古い言葉遣いですよねぇ。先日も若い男女が手をつないで歩いている姿を見て私が「あのアベック」と言ったところ妻に「アベック」はちょっとねぇ…、と蔑まされてしまいました。そういう妻とも二十五年連れ添っています。ケンカが耐えない二人ですが、いつまで続くのか…。でも僕がんばる。
「えっ? がんばらないと夫婦って続けられないの?」
という声も聞こえてきそうですが、がんばらないと続けられないのです。私たちの場合は…。エヘヘ…。
 
 今年最後の街角風景…。
 先日のこと。平日の早朝5時頃車を運転していました。幹線道路と交差している一方通行の道で信号待ちをしていました。私の車の前は大型バスが停車していました。何気なく右側バックミラーを見ますと白い杖をついた70才くらいのおじいさんが歩いて来るのが見えました。杖で自分の歩く地面を細かく左右に叩きながら歩いていました。その歩く様に感心しながら見ていますとおじいさんは私の車の横を器用に通り過ぎ大型バスの横もすり抜けました。その先は幹線道路の信号です。当然信号は赤です。私はおじいさんは目が不自由なのですから心配になりました。私はおじいさんのうしろ姿を目で追い続けました。おじいさんはどうするんだろう…。
 私の心配は杞憂でした。おじいさんは信号の前に着くと足を止めたのです。そしてしばらく通行する車の音を聞いているようでした。10秒くらい過ぎたでしょうか。おじいさんは左90度を向くとバスの前を横切るように進みだしたのです。私が目撃したのはここまでです。
 信号が青になりバスが進んだので私も車をゆっくりと走らせました。交差点に差し掛かったところでスピードを緩めおじいさんが進んだ方向を見たのですが、歩道にはすでにおじいさんの姿は見つかりませんでした。事故があった形跡もありませんでしたのでおじいさんは無事に歩いて行ったのでしょう。
 私は車を運転しながらおじいさんのことを考えました。
 たぶんおじいさんは毎朝あの道を散歩しているのでしょう。だからこそ信号の前で立ち止まり横に向かって横断できたのです。人間の能力ってすごいです。たとえ目が不自由でも努力することによって不可能を可能にすることができるのですから。
 約2週間前にも感動する話を聞きました。身体中の筋肉の感覚が失われていく難病の方のお話です。
 その方は手足の感覚が失われそして言葉さえ話すことができなくなってしまったそうです。さらに症状が進み視力までもなくなってしまいました。それでもその方は点字を勉強し意思の疎通を行っていました。しかしさらに症状は進み指の感覚さえなくなってしまいました。私は、その方が「目が不自由になる」という状況になってもあきらめずに点字を勉強したことに感動しました。しかし点字をできるようになっても指の感覚がなくなっては意味がありません。ところが、それでもその方はあきらめなかったのです。なんとその方は唯一感覚が残っている舌で点字を読めるようにしたのでした。人間の可能性ってすごいですよね!
 さて、これにて今年の「ココロ」は終わりです。今年最後の「ココロ」は皆さんを勇気づけることができたでしょうか。マスコミでは好景気と言われながらそれを謳歌しているのは企業だけで一般の人には実感がないのが現状です。読者の皆さん、そんな中でも来年もがんばって生きていきましょう。僕も先ほど紹介した方々を目標にがんばっていくつもりです…あと50年…なんちゃって!
 じゃ、来年。

紙.gifジャーック!




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