<賞味期限>

pressココロ上




 先週はバレンタインデーがありましたが、皆さんはどれくらいもらったのでしょうか? 家内自営業者の私は周りにいる女性は妻と娘だけですので2つが精一杯です。運悪く彼女たちの機嫌が悪いときは1つももらえないこともあります。今年は運がよくて2つもらうことができました。義理チョコを…。
 私はチョコレートが大好物なのでバレンタインデーに関係なく毎日二粒~三粒食べています。本当はもっと食べたいのですが四粒以上食べますと怒られますので我慢しています。妻は毎日チョコレートの棚卸しをしていますのでごまかすこともままならず悲しい思いをしています。粉飾決算を見抜く方法の1つとして「棚卸し」が重要な武器になることを私は毎日実感していいます。
 チョコレートの数に制限がありますので自ずとほかのお菓子に目を向けるしかありませんが、年令が年令ですので小さな子供が好むようなおやつを食べたいとは思いません。私がもっぱら食べるのはパンです。正確には菓子パンです。ピーナッツパンや小倉マーガリンパンなどいろいろな種類のパンを食べています。菓子パンもチョコレート同様毎日2個以上食べています。菓子パンを食べるのには制限はないのですがチョコレートより大きいので2つくらいがちょうどよい量です。
 スーパーに行きますと棚にはたくさんの種類の菓子パンが並んでいますが、自由に選べるわけではありません。そこにはやはり制約があるのです。
 僕は若い頃「いつも自由でいたい」と思っていました。自由であれば自分の好きなようにできるからです。しかしある文章に出会ってから自由であることの恐さを考えるようになりました。
「人は自由であればあるほど自分の能力に縛られる」
 “自由である”ということは自分の能力のなさを思い知ることなのです。自分の能力のなさが炙り出されることです。そして自分の能力のなさを思い知ることほど情けないことはありません。そこから逃げるには制約はあったほうがよいのです。
 そこでパンの制約…。私が棚から選ぶ際の制約は「割引シール」の有無です。賞味期限がギリギリになると貼られる割引シールです。我が家の台所に置いてある菓子パンは割引シールが貼ってあるのがほとんどです。
 割引シールには定価より安く買えるというメリットもありますが、その他にたくさんありすぎる種類の中からどれを選ぶかを悩まずにすむメリットもあります。菓子パンを選ぶのに悩むのは時間的にもったいないですから。
 賞味期限は消費者にとって安心を感じる目安になりますが、必ず守らねばならないものでもありません。実際、私は期限を過ぎたパンを食べることが多いのですが身体的になんら問題は生じておりません。しかしさすがに2日過ぎまでが限界でそれ以上過ぎたパンは捨ててしまいます。もし身体の調子が悪くなり割引額以上に治療費がかかってしまっては割引して買った意味がなくなってしまいます。やはり賞味期限は目安としてはとても役に立つ表記です。
 2~3週間前の新聞に次のような人生相談が載っていました。
 投稿者はガンを患い入院していた方で現在は退院して自宅で普通に生活をしているようでした。「普通に」とは言いましてもガンですから再発などのことも考え精神的に落ち込むことがあるのですが、そのときのご主人の態度についての投稿でした。
「夫は私が入院中は優しく看病をしてくれたのに退院してからは態度が冷たくなった。私の不安な気持ちを理解してくれない。それどころか『おまえは悲劇のヒロインのつもりか』とまで言われた」
 要約するとこのような内容でした。たぶん、ご主人は本当は優しくて思いやりのある方なのでしょう。それは投稿者の方も認めてらっしゃいます。しかしご主人にしてみますと「いつまでもハレモノに触るように労わってはいられない」気持ちなのでしょう。日常生活とはそういうものです。
 私はこの記事をパンを食べながら読んでいたのですが、私は思いました。
「優しさにも賞味期限があるよな…」
 人間って無理は続かないんですよね…。
 老人介護に関する本を読んでいましたら「介護者の精神的ケア」について書いてありました。介護者が追いつめられることを避けることの重要性が書いてありました。介護に疲れて無理心中をする事件なども報道されています。やはり人間って無理は続かないんですよね…。
 自分以外の人に優しくしたり思いやりを持って接することは大切です。しかしそこには賞味期限があります。いつまでも永久に続けることは普通の人には困難です。こうした事実を「優しさを与える側」「受け取る側」双方が心に留めておく必要があります。概して周りの第三者は口先だけでいろいろな意見を言うものです。そしてそういう意見はほとんどが傍観者としての意見です。自分が負担を負わなくてもよい意見です。口先だけの優しさです。そして口先だけの優しさには賞味期限が表記されていません。賞味期限のない優しさは信用してはいけないのです。
 賞味期限のある優しさ…。ではその賞味期限は誰が決めるのでしょう。それは与える側が決めます。そのときの目安は「無理をしない範囲」です。そしてつけくわえるなら、無理をせずに期限を延ばす工夫努力をすることが大切です。
 夫婦にも賞味期限がありますが、熟年離婚に至らないご夫婦の方々は「無理をせずに賞味期限を延ばす」コツを習得されたご夫婦でしょう。そのコツを見つけられなかったご夫婦は残念ながら破綻してしまいます。破綻と言っても突然起こるわけではありません。そこに至るまでに必ず兆候があります。それは妻の言葉遣いです。
 例えば夫婦ケンカをしたときに妻が夫に「あなた『ガ』嫌い」と言ったとします。このとき「あなた」のあとに『ガ』と言っている間はまだ大丈夫です。しかし「あなた『ノ』声が嫌い」とか「あなた『ノ』息遣いが嫌い」などと「あなた」のあとに『ノ』と言うようになったときは要注意です。なぜなら「夫」に「ノ」をつけると「失う」になりますから。
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




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