それにしても驚きました。突然の辞任。発表の日からたくさんの評論家がいろいろな意見を述べていますが、誰もが指摘しているのはその「タイミングの悪さ」です。なぜ、この「タイミング」なのか。最悪の「タイミング」であることは全員が認めるところです。
約1年前、安倍さんが首相に就任するとき、「時期尚早」「経験不足」と指摘していた評論家がいました。結果的にはその方の指摘が正しかったことが証明される結果となりました。その評論家の方が語っていたように「閣僚の経験」をもっと積むなどしてから首相になっていたならこのような失態を晒さないですんだのかもしれません。また、参院選大敗後のタイミングで辞任していたなら、それこそ首相に「再チャレンジ」できる芽が残せた、という意見にもうなづけます。
私が安倍さんで最も印象に残っているのは「カメラ目線」でした。この「カメラ目線で話す」というポーズは誰かのアドバイスだと思いますが、決してよいアドバイスではなかったように思います。安倍さんの周りには「時代を感じる能力」のある人がいなかったのではないでしょうか。
安倍さんの首相補佐官に広報マスコミ対応を主に担当していた側近がいました。この方は元NTT関連の会社にいたそうですが「時代を感じる」感覚がずれていたように思います。
この側近の方は小泉政権時代に「マスコミ対応がうまい」ということで頭角を現したのですが、いつの間にか感覚がマンネリを起こしていたのかもしれません。あるテレビ番組で「テレビ映りについて安倍首相にアドバイスしている内容」を語っていましたが、その浅さにがっかりした記憶があります。マスコミ・メディアを甘く見ているようでした。この方が「カメラ目線」をアドバイスしたとは確定できませんが、なにかしら影響を与えていたように思います。
世論を作るのはマスコミ・メディアです。よく「世論の意見を聞く」と言いますが、その世論を形成するのはマスコミでありメディアです。「マスコミは第4の権力」と言われる所以です。1つの事実にはいろいろな側面があります。それらの側面のうちどこに焦点を当てるかによって世論が形作られます。そして私たち国民はその側面を事実と感じます。そうです。世論とはマスコミ・メディアが作った「感じの流れ」でしかありません。
今の時代、マスコミ・メディアに嫌われた政治家は生き残れない、と言っても過言ではないでしょう。一度マスコミ・メディアに嫌われる流れができるとそれが世論となります。そのような状況のときにいくら面白いジョークを言ったりパフォーマンスをやってもそれは反感を買うだけになってしまいます。それは安倍内閣で辞任した閣僚の方々が証明しています。もし赤城農水相が「違う流れ」のときに「バンソウコウ顔」でマスコミの前に現れたなら「親しみのある大臣」なれたと思います。
小泉さんは劇場型政治などと揶揄されましたが、マスコミ・メディアへの対応が非常に優れていました。発言の内容、タイミング、強弱を心得ていました。小泉首相の周りに「時代を感じる能力が優れている側近がいた」からにほかなりません。
安倍さんおよびその周りにはそのような側近がいなかったことが今回の失態につながった、と私は思っています。それを端的に表していたのが「カメラ目線」です。「カメラ目線」はマスコミ・メディアをないがしろにする行為です。いくら国民に自分の考えや主張を訴えようとしてもマスコミ・メディアの頭越しでは伝わるはずもありません。記者に質問され記者に向かって答えずカメラに向かって話す姿は「時代を感じる能力のなさ」を表していました。
お笑いタレントに綾小路きみまろという方がいます。この方は売れ出した当初に「実は、ネタがサラリーマン川柳のパクリであった」と批判されました。しかし弁明記者会見で「素直に非を認め、謝罪した姿」がマスコミ・メディアに好感を与えました。もしあのとき「いろいろな言い訳をしていた」なら今の成功はなかったでしょう。
今、とても気になっている裁判があります。約1年前に福岡県で起きた自動車事故の事件ですが、その事故により幼い子ども3人が亡くなっています。この事件がマスコミで注目を集めている理由は加害者が市役所の職員であり飲酒運転をしていたことです。本来は、一般の人に「飲酒運転をなくす」模範を示さなければならない公務員が飲酒運転をしたのですから批判されて当然です。マスコミは飲酒運転により小さな命が奪われたことの憤りを大きく伝えています。
新聞などでは亡くなったお子様たちの一周忌のようすをご両親の打ちひしがれた姿とともに報道していました。そして飲酒運転をした加害者を強く非難しています。私はお酒は一滴も飲めませんので飲酒運転に対しては普通の人より強い憤りを感じる一人です。ですが、この報道姿勢に対しては疑問を持っています。
加害者である運転者は事故について「被害者の車が急ブレーキをかけた」と主張しています。それについて新聞ではお子様を亡くされたご両親の悲しみの姿を大きく伝えたあとにほんの数行だけ触れているだけです。テレビでも同様にキャスターが最後に数秒だけ加害者の主張を伝えているだけです。
裁判は人間一人の人生を変えさせてしまうほど大きな力を持っています。その裁判は「真実を追究すること」に徹底していなければなりません。決して世論や感情に流されることがあってはなりません。
繰り返しになりますが、飲酒運転は大きな罪です。しかし裁判はあくまで「真実を追究する場」であってしてほしい、と願っています。そのためにマスコミ・メディアは中立な立場に立ち、慎重な報道を心がけてほしい、と願っています。マスコミ・メディアは世論を作る大きな力を持っているのですから…。
世論の支持がなければ成立できない政治。そして世論の窓となるマスコミ・メディア。安倍さんは窓を開けずに頭越しに「カメラ目線」で世論に訴えようとしました。私には、安倍さんの失敗の根源はあの「カメラ目線」にあるように思えてなりません。
最後の安倍首相の記者会見。安倍首相は参院選大敗後から「カメラ目線」を止めてしまいましたが、最後の会見でこそ「カメラ目線」で辞任発表をしてほしかったと思っています。
ところで…。
先日、出先から「自宅でしかわからない電話番号を聞くため」に妻に電話をしました。僕は妻に言いました。
「○○さんの電話番号をメールで教えて」
数分後、妻からメールがきました。そこには「ひらがな」が列挙され漢字は2つしか使われていませんでした。例えば次のようなメール文です。
「わらわさ……… 数字に代えて」
スペースまでの「ひらがな」は全部で11個です。僕は最初意味がわからず困惑しました。僕はしばし考えました。そしてやっと妻の意図している意味がわかったのです。
さて、皆さんは妻が意図していることがわかりますでしょうか?
これが解けたらあなたのIQサプリは60点です。
じゃ、また。
4コマ漫画
ジャーック!