<猫がねぇ…>

pressココロ上




 我が家は猫の額ほどの庭もない戸建てですので居間の窓を開けますとすぐに塀です。窓と言いましても、居間の窓ですので床から高さ180センチほどある大きな窓です。先日、その窓を開けて外を見ますと下から視線を感じました。窓と塀の間は30cmほどの幅しかなく、そこにはガラクタと言える板が置いてありました。その板がちょうど建物から塀に向かって斜めに倒れていました。視線はその板の下から発せられていました。
 僕は塀と板のすき間を覗き込みました。すると声が聞こえてきました。
「ミャー」
 そうです。そこから猫が見上げていました。しかも赤ちゃん猫を抱きかかえて…。
 僕は台所に立っていた妻に向かって言いました。
「ねぇ、ここに猫が子供といるよ」
 妻は「今頃なにを…」といった感じで答えました。
「だいぶ前からよ」
 いつの間にか我が家と塀の間は野良猫の住処となっていたようです。板がちょうど屋根の役割をしていたようで猫にとっては格好の場所だったのでしょう。
 僕はもう一度板と塀のすき間から中を見ました。母親の身体に包まれた赤ちゃん猫が3匹見えました。母猫は僕が覗き込むのを警戒するように僕をずっと見つめています。僕はそのまま窓を閉めました。
 そのあと僕は座卓につきご飯を食べていたのですが、やはり猫が気になります。ご飯を食べながら幾度か窓のほうを見やりました。その何度目かのとき板の上部から僕を見ている母猫と目が合いました。僕は「気になる気持ち」がさらに強くなりました。
 僕は食事のあと一服をしながらしばらく考えていました。そして妻に言いました。
「ねぇ、猫に餌をやってもいい?」
「別にいいけど…」
 僕は立ち上がると冷蔵庫を開けました。そのとき僕はあることに気がつき妻に聞きました。
「ねぇ、猫ってなにを食べるの?」
 動物好きでない僕は「猫がなにを食べるのか」わからなかったのです。妻が少し考えて言いました。
「○○さん(斜向かいの家の奥さん)はいつも野良猫に魚をあげてるみたい…」
「魚か…」
「冷蔵庫の中にチクワがあるでしょ。それでいいのよ」
 僕が冷蔵庫からチクワを取り出すとまた妻が言いました。
「それ、細かくちぎって…」
 僕は言われたとおりに手で細かくして発泡スチロールのトレーに入れ窓に向かいました。窓を開け身体を屈めトレーを板の脇に置こうとすると母猫が驚いたようにすばやく身体をうしろに移動させたのが見えました。僕を警戒しているのは明らかです。僕はトレーを置き窓を閉め、妻に言いました。
「食べるかなぁ…」
 僕は今年のはじめからずっと引っ越すべき店舗を探すことをやっていました。以前にも書きましたように店舗探しはほとんどネットを利用していたが、そのとき一緒に飲食店の「営業許可証」のとり方も調べました。
 僕はラーメン店を開業するときに経験していますが、もう20年以上前ですので記憶もあいまいですし、また、昔と今ではとり方が違う可能性もあります。現在の「営業許可証」のとり方を調べる必要がありました。
 僕は単純に考えていました。営業許可証を発行する行政機関のサイトに行けばすぐにわかるだろう…、と。ところが…。
 GoogleやYafooで「飲食店 営業許可証」と検索をしても行政機関のサイトを見つけることがなかなかできなかったのです。これらの単語で出てくるのはいずれも行政書士など申請をサポートする民間サイトが上位に出てきました。ページをいくら進めても僕が目的としている行政機関のサイトが出てきませんでした。
 民間サイトはほとんどが行政書士のサイトでした。因みにそのサイトの1つを見てみますと「申請を代理する」業務で5万円前後。高いところでは8万円となっていました。僕の昔の経験ではこの料金は信じられないことでした。ただ「申請をするだけ」で5万円~8万円も料金をとるのは僕の考えでは良心的とは言えません。「代理申請」という業務内容に鑑みて決して適切な料金とは言えないと思います。
 これから申請を考えている方のためにアドバイスをしますと、申請は自分で簡単にできます。なんの難しい問題もありません。行政機関のサイトさえ見つかれば、そこには親切丁寧に申請のやり方が説明されています。こんなことのために数万円のお金を費やすのはあまりに勿体無い行為です。因みに、東京ですと「東京都福祉保険局」で検索しますと簡単に出てきます。
 自分の目的としているサイトが簡単に見つからない状況のとき僕は思いました。検索をして上位に出てくるサイトは「なにかしらの検索対策」を行っているサイトです。このような状況で本当に役に立つ検索は可能なのだろうか…。
 僕は自分のサイトを分析ツールで定期的に調べていますが、先日今までと違った結果が出てきました。僕のサイトは今までYafooからのみの訪問者でした。検索ワードは様々ですが、だいたい「ラーメン」とか「開業」とかほとんどが脱サラに関連した単語になっています。それが先日初めてGoogleでも「ラーメン」などの単語で誘導された訪問者がいたのです。理由はよくはわかりませんが、とにかくGoogleでも上位に表示されるようになったのは悪いことではありません。
 因みに、今までにもGoogleから僕のサイトに訪れてくれた人はいたのですが、そのときの検索ワードは、決まって「叔母」と「不倫」でした。なにかいかがわしい臭いがしますが、これは僕のサイトにある「小説コーナー」で「叔母」と「不倫」という単語が出てくるからでしょう。それにしてもよりによってこのような官能的な言葉で上位に出てこなくても…、と思ってしまいます。
 話がそれてしまいましたが、飲食店の開業申請は行政書士の方などに頼むのではなく自分でやったほうが得です。僕はネットで「申請の手引き書」を読みましたが、行政機関(つまりは保健所です)に行きますと「手引き書」を無料でくれます。
 簡単に申請から許可までの流れを説明しますと、まず行政機関に行き「飲食店を開業する予定」の旨を伝えます。そうしますと担当者の方が設備の注意点や申請書の書き方などが書いてある「手引き書」を渡してくれます。あとは手引き書通りに進めればよいだけです。検査も特別なことはなく、申請書に書いてある図面と違いがないか、を確認するだけです。開業する予定のみなさん、申請は自分でしましょう。
 それにしてもこんな簡単な申請代理に数万円の価格をつけるサービス業とはなんでしょう。相手の無知につけこんでいるようで「なにをかいわんや」です。僕なら「自分ですること」を勧めます。
 どんな業種であれ、仕事に見合った報酬を得るのが本来の仕事のあり方です。決して依頼者の無知につけこんだ過大な報酬であってはいけません。そうした仕事はいつしか淘汰されるはずです。あとから事実を知った依頼者が二度と依頼することがないからです。仕事をする人はいつも猫の視線に応えられる心で臨んでいてほしいみゃー。
 じゃ、また。

紙.gif4コマ漫画
ジャーック!




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