<体調、いと悪し>

pressココロ上




 先月から体調があまり芳しくなく困っておりました。
 先月のある日、朝起きますと左の耳がおかしいのです。なんとなく耳の穴が塞がっているような気がしました。試しに、右の耳を塞いでみますとやはりなにも聞こえなくなりました。この経験は以前もありましたので深刻な不安とはなりませんでしたが、一応妻に左の耳の中を見てもらいました。
「塞がってるぅ」
 妻の無関心な言葉で左の耳が塞がっているのは間違いないことがわかりました。自分としても心当たりがないわけでもありません。
 その前日の晩に「耳かき器」、僕は「耳かき」を「耳かき器」と命名しているのですが、その耳かき器で耳をほじっていたからです。普通にほじっていたならこのような不測の事態にはならなかったのですが、ついつい夢中になってしまい耳の中の皮膚を傷つけてしまったようでした。
 皆さんの中にも耳垢掃除が好きな人がいるのではないか、と思いますが、耳の中を耳かき器でかき回すのは快感です。しかし、ほじくりすぎるのはやめましょう。僕のように耳が塞がってしまうことになりかねません。
 生まれて初めて耳が塞がったのは中学校2年生のときです。授業中に右の耳の中が痒くなり右手の小指をつっこみました。もちろん、指の中では一番細い小指とはいえ耳の穴の中に入るわけはありません。しかし、頑張って奥まで入れてみました。すると不思議なことに小指の先になにか固まりのようなものを感じました。
 人間とは不思議なもので、というか僕だけかもしれませんが、指先になにかを感じるとさらにつっこみたくなるものです。僕はさらにさらに小指を中に押し入れました。この時点で僕は授業などそっちのけです。ただただ小指で中にあるなにかを取り出すことに必死になりました。
 よくドラマなどでありますよねぇ。あと少しで届くのにその少しが中々うまくいかない…。僕の右手の小指はまさにそういう状況でした。しかし、僕には執念がありました。頑張って頑張って小指を突っ込み続けていたらなんとそのなにかを取り出すことに成功したのです。耳の中から出てきたのは少し大きめの耳垢でした。僕は満足感に浸ってその授業を終えることができました。
 人間、得るものがあるときは失うものがあるのが普通です。
 僕はその日の夜、なんとなく耳の中から液体が滴り落ちるのを感じました。指で掬い臭いを嗅いでみますとなんとなく臭い。しかし、僕にとってはそれほど嫌な臭いには感じませんでした。
 話は少し逸れますが、車などを運転していますとすれ違う車の運転手が鼻くそをほじっているのをよく見かけます。「よく」と書きましたが、結構多いんですね。もちろんひとりで運転している場合ですが、人間はひとりのときは鼻くそをほじる性向があると僕は思っています。
 先日などは、車を運転しているときにルームミラーでうしろを見ましたら、上品そうな30才くらいの奥様らしき人が鼻くそをほじっていました。だれも見ていないと油断していたのでしょうが、ルームミラーはしっかりと映し出していました。きれいな女性の方は気をつけましょう。
 当然、僕もひとりでいるときはついつい鼻くそをほじってしまうのですが、さらに僕には他人とは違う感性があります。それは鼻くその臭いが好きなのです。妻に言いますと、「あなたはおかしい」と非難しますが、好きなのですから仕方ありません。そんな僕ですから鼻くそが鼻の中にあることはとてもうれしいことです。
 話を戻します。
 寝る前に耳から滴り落ちた液体の臭いを嗅ぎひとり悦に入って寝ました。
 翌日、目が覚め頭がしっかりしてくると衝撃を受けました。耳が聞こえないのです。僕は焦ってすぐにお母ちゃんのところに行きました。お母ちゃんは僕の耳の中を覗くと言いました。
「耳の穴がくっついてる」
 その日、僕は学校帰りに耳鼻科に行きました。お医者さんは驚くふうでもなく治療を施し、数日後に完治しました。
 こういう経験がありましたので、僕は自分で耳が塞がったときの治療する方法を自分なりにわかっているつもりです。今回もいつものように治療していたのですが、その途中に身体に異変が起きてしまいました。
 お風呂に入ろうと裸になったときです。左の肩の付近に痒みを感じたので指でかきました。そしてなにげなくそのあたりを見ますと、なんと赤い斑点が幾つかできていました。そして身体中を点検しますといたるところに赤い斑点ができていました。僕は不安になり妻のところに向かいました。妻は僕の身体を眺め回し、一番斑点が多い箇所は背中であることが判明しました。不思議なものでそう言われますと、今までそれほど痒さを感じなかった背中がとても痒くなったような気がしました。
 次の定休日に皮膚科に行ったのですが、40代前半らしきお医者さんは「なんでしょうねぇ」と言うばかりで要領を得ません。結局、「様子をみてみましょう」ということでステロイド剤を成分とした薬とスキンケア用の塗り薬をもらっただけでした。
 実は、僕はお医者さんに行く前日、自分の症状についてネットで調べていました。ネットは本当に役に立つもので、僕の症状とほぼ同じ症状について解説しているサイトがありました。それによりますと、僕の病名は「ジベル薔薇色粃糠疹」のような気がします。この病気は原因不明らしいのですが、ほっておくと自然と治ると書いてありました。
 このような前知識でお医者さんに行ったのですが、先生は「なんでしょうねぇ」と言うばかりです。もちろん、僕は事前に調べた病名について話すことはありませんでしたが、お医者さんの口から、例え違ったとしても病名の候補として「ジベル薔薇色粃糠疹」という病名が出てほしかったと思っています。
 結局、僕はそれ以来お医者さんには行ってないのですが、発症から約1ヵ月半で赤い斑点も消えつつあります。もちろん、薬は全く使用していません。家に帰り薬の説明書を読みましたら、ステロイド系の薬について「症状が治ったなら速やかに使用を中止してください」と書いてありました。以前、ステロイド系の薬について注意を促すサイトを見たことがありましたので、それと考え合わせて全く使うことを止めたのでした。病気に対する知識は自分でも調べることは必要です。
 あと少しで治りそうです。もし、読者の方で僕と同じ症状の方がいましたら、僕の話が参考になればと思います。
 この病気は原因不明ということですが、僕は、耳の不具合が関係しているのではないかと思っています。本当のところはどうなのでしょう…。
 ところで…。
 東京の政治家に「越智 通雄」さんという方がいました。この方の名前は上から読んでも下から読んでも「おちみちお」です。これがこの方の有名なキャッチコピーです。僕が、まだ二十代の頃、政治や選挙に全く興味がないときでもこの「上から読んでも下から読んでも『おちみちお』」というキャッチコピーは知っていました。選挙に際しては、この名前はとても有利なものでした。
 この方が引退し、地盤を息子さんに継がせたのですが、息子さんの名前は「越智 隆雄」さんと言います。
 昨年、仕事の関係で世田谷区に行ったとき、政治家の顔がアップになったポスターが目に止まりました。爽やかな笑顔に大きな文字で平仮名で「おちたかお」と書いてありました。そうです。越智 通雄さんのあとを継いだ越智 隆雄さんでした。
 僕は思いました。
 たぶん、お父さまが「おちみちお」で成功したのでそれを踏襲したのでしょう。しかし、お父さまは回文だからこそ意味があった「おちみちお」です。それを息子さんがやってもなんの意味もありません。しかも平仮名にすると「おちたかお」。この文字から連想するのは、やはり「落ちた顔」です。このポスターを作製したスタッフは誰も「おかしい」とは思わなかったのでしょうか。せめて「おち」と「たかお」の間を少し開けるなりするならまだわかりますが、文字は全て同じ大きさで同間隔で並んでいました。政治家のポスターに相応しいはずがありません。
 そんな記憶がありましたが、先日、越智さんのポスターを目にする機会がありました。やはり僕と同じ感想を持った人が多かったようで、ポスターの構図は同じでしたが名前の部分が変更になっていました。しかし、平仮名はそのままで、「おち」を大きくして「みちお」を小さめにしていました。
 なぜ、越智さんが平仮名にこだわるのか理由はわかりませんが、マイナス効果のほうが大きいような気がします。有権者の人たちは、昔のやり方に縛られている政治家になにが起こるかわからない未来に対する処方は望めないと思うのではないでしょうか。
 じゃ、また。




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