<見かけ>

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 先日、はなまるマーケットというTV番組を見ていましたら韓国出身のユン・ソナさんが出演していました。おじさんの僕としては、もちろん芸能界について詳しくはありませんが、なん年か前に明石さんまさんの番組「さんまのまんま」でトークをしていた様子が印象深かったので覚えていました。
 「さんまのまんま」はたまに見ていましたが、さんまさんはきれいな女性に対しては冷たく突き放したように接する傾向があります。ですので、きれいな女性はさんまさんの冷たいトーク攻撃をうまく切り返しくぐり抜ける術が必要です。そうした対応ができた人だけが番組の中で話が弾むのですが、多くの人は対応できずにいました。ユン・ソナさんもその中の一人のように見えました。
 ユン・ソナさんは一時期、日本で活躍したあと韓国の実業家の方と結婚したそうでお子さんも一人いらっしゃるようでした。それまでの僕のユン・ソナさんに対する印象は複雑なものがあります。あれだけの美貌とスタイルですから、その外見を前面に打ち出して若い男性を対象とする芸能活動をするのか、または拙い日本語を前面に出し、面白キャラクターでバラエティ中心に活躍するのかどっちつかずな状態であったように思います。結局、中途半端なままで終わったように思いますが、実際のところはどうなのでしょう。
 実業家であるお金持ちと結婚したユン・ソナさんですが、今後の芸能人としての立ち位置は最近流行りのセレブ主婦、かと思いきや、そうでもないようです。そう感じたのはユン・ソナさんがパートナーを呼ぶときの呼称です。
 先日、はなまるで見たときユン・ソナさんはパートナーのことを「ダンナ」と言っていました。いくら日本語が拙いとはいえ、来日してから年数も経ちますし事務所の人もいるのですから「ダンナ」以外のパートナーを指す言葉を知っているはずです。にも関わらず、幾度も「ダンナ」を連発していました。その言葉遣いからはユン・ソナさんの確固たる意志が感じられました。
 ユン・ソナさんは気取った芸能人ではなく、ごく身近に感じられ気さくで一般の人から親しまれるタレントを目指しているように見えます。あの外見からは意外な感じですが、もしかしたらユン・ソナさんははなまるで見せた性格が本来の姿なのかもしれません。昔から、「人は見かけによらない」という格言もあります。
 先週は選挙がありましたが、同時に最高裁判所裁判官国民審査がありました。皆さんも投票用紙と一緒に裁判官の氏名が並んでいる用紙を受け取ったと思いますが、それほど考えることもなく用紙を投票箱に入れたのではないでしょうか。僕も今までは特に深く考えることもなく、なにも印をつけずに投票していました。ですが、今回は生まれて初めて二人の裁判官に×印をつけて投票しました。それは数日前の新聞に載った意見広告に感化されたからです。最近は新聞をとっていない人が多いそうですのでこの意見広告の効果はわかりませんが、罷免には至らずとも×印のついた裁判官が前回より増えたようですから意義はあったのではないかと思います。
 広告をご覧になっていない方のために簡単に説明いたしますと…。
 大分以前から、選挙制度において「一票の格差」が問題になっていました。その「一票の格差」について過去に裁判が起こされており、これまでは「違憲とまではいえない」または「選挙は無効ではない」といった判決が出ていました。意見広告は、こうした判決を出した裁判官を名指ししているものでした。つまり、直接的にこそ「世間の感覚と違う判決を出した裁判官を罷免しましょう」とは言っていませんが、言外にそういう意図が感じられる内容でした。僕はその意図を受け入れたわけです。やはり「一票の格差」がある中での選挙は公平な選挙とは思えません。それでは国民の意見が政治に反映されないことになってしまいます。
 今回の意見広告は今までにない画期的な広告だったわけですが、僕がより興味深く感じたのはこの広告を出した人です。有名な二人の弁護士でした。なにより驚くのは広告を出す際の費用を二人でまかなっていたことです。新聞半開き前面を使った広告は生半可な費用ではありません。
 僕が今までに読んだ弁護士に関する本や新聞などの情報を総合しますと、弁護士には大きく分けて二通りの弁護士像があるように思います。
 一つは社会正義を成し遂げるためになった弁護士であり、もう一つは高額の報酬を得るためになった弁護士さんです。前者は弱者のために活動することを使命と考えていますから金銭的に恵まれなくとも活動することを厭わない弁護士です。対して後者は報酬の低い案件はできるだけ引き受けないようにしている弁護士です。
 今回の意見広告を出したのはなんと先入観とは裏腹に後者に属すると僕が思っていた弁護士さんでした。それが僕を驚かさせました。今までの僕の先入観を覆す行為です。まさに社会正義のために出した意見広告でした。
 因みに、両名の弁護士を簡単に紹介しますと、一人は青色発光ダイオードの件で元の雇用会社を訴えた中村氏の裁判を担当した弁護士です。あと一人は企業法務で高名な方で弁護士会の会長でもあり度々マスコミに登場し、以前僕が読んだ新聞のインタビューでは自身の高収入を高らかに語ってもいた弁護士です。傍目にはどう見ても「お金を第一に考えている弁護士」と映ってしまいます。そのような弁護士が社会正義のために自らの負担で意見広告を出したのですから僕が驚くのも不思議ではありません。この広告費はかなりの金額のはずなんですけど、偉いですよねぇ。人は見かけによりません。
 でも、あれかなぁ…。人間、金も地位も手に入れると最後は名誉が欲しくなるそうです。…それなのかなぁ…。
 ところで…。
 昔から「人は見かけによらず」と言いますが、意地悪そうに見える人がつき合いが深まるにつれ本質的には優しい人であることがわかったり、反対に人当たりがよく柔和そうな人が実態は腹黒い人であったりすることはよくあることです。人を表面上だけで判断してはいけないですよね。
 でも、妻と僕は「人はみかけによる」タイプの人間です。さぁて、妻と僕はどんなみかけの人間でしょう…。
 因みに、今「妻と僕」と書きましたが、「妻」を先に書いたのは意味もなく書いたわけではありません。この順番は、その前に書いた具体例の順番に合わせたものです。
 じゃ、また。




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