<新社会人さん>

pressココロ上




 今の季節になりますと、新社会人がお店を訪れることが数多くあります。今までの経験上、今頃から5月末くらいまで続くのですが、新人研修のひとつとしての営業の練習です。新社会人は、まだ仕事の取り組み方について具体的に知りませんから経験を積ませることが研修の目的のようです。ですから、契約を取ることよりもとにかく人に会うことで場数を踏ませようとしています。
 先日来た営業の人は女性でした。よく見かけるフリーペーパーを発行している会社の新人さんのようで、僕の店がある地域の「担当になった」と挨拶にきました。このフリーペーパーは飲食店やエステなど地域で営業をしている店や企業から広告を取るのが主な業務です。営業の仕事の第一歩はとにかく契約の取れそうな営業店を回ることです。
 どんな仕事でも新人さんというのは初々しく好印象を与えます。この女性も一生懸命取り組んでいるのが伝わってきました。彼女の話を聞きながら顔を見ていて、彼女がここ数日、店の周りを歩いている姿を見かけていたのを思い出しました。たぶん、毎日店の近辺を歩き回っていたのでしょう。
 このような研修生はいつもそうですが、僕の名刺かもしくは店判を求めてきます。会社に帰って報告する義務があるからです。彼女も求めてきました。僕は名刺を作っていませんので、「店判でいいですか?」と尋ねますと「はい」という返事でした。僕が店判を押すとお礼を述べて帰って行きました。帰り際に、1日のノルマを尋ねたところ、70件ということでした。1日のうち、移動する時間などもありますから、実際に営業活動をできる時間は6時間くらいでしょう。その時間内に70件ということは、1時間に10件以上の計算になります。やはり、簡単ではないはずです。
 彼女が立ち去ったあと、しばらくするとまた彼女がやってきました。理由は「僕の名前を教えてほしい」というものでした。店判には屋号や住所は記載されていますが、店主の氏名は書いてありません。彼女はそれも報告しなければいけないようでした。
 普通に考えると、「氏名を聞く」ということは些細なことですが、このときの彼女はとても緊張していたように見えました。2度目に来たときの表情が緊張感を物語っていました。新社会人はこうした経験を積んでたくましいビジネスマンになっていくのでしょう。
 彼女が来てから二日後、彼女から手書きのハガキが届きました。内容は、先日訪問した際のお礼と挨拶です。たぶん、こうした対応も会社の営業マニュアルのひとつだとは思いますが、ハガキを受け取る側としては悪い気分はしません。企業の教育ノウハウを垣間見た気がしました。
 その彼女がハガキが届いた翌日、また店の周りを歩いていました。そのときの彼女の表情はどちらかというと冷たい雰囲気を出していました。当店を訪れたときとは印象が違って見えました。たぶん、彼女は僕に見られていたことを意識していなかったでしょう。しかし、その心構えは「甘い」と言わざるを得ません。仕事時間中は、どんなときでも気を抜いてはいけません。いつ誰に見られているかわかりません。そうしたときの態度・姿勢・雰囲気が他の人からはその人の本性として受け取られます。目の前で応対しているときだけ笑顔を見せ感じをよくしていても、異なる場面では違っていたなら、顧客はそのときの印象がその人の本性だと感じるものです。まだ、社会人としては半人前です。
 彼女は社会人としてまだ数週間しか経っていませんから、社会人の心構えや業務ができなくても当然です。そうした新社会人を役立つ戦力に育てるのが企業の使命です。それを達成できなければ企業は倒産してしまいます。ハガキの件のようにいろいろなアドバイスやノウハウを提供してバックアップするシステムができている企業だけが新社会人を育てることができます。
 新社会人をバックアップするノウハウやシステムがあるかないか、で新社会人が感じるプレッシャーは相当な違いがあるように思います。そのシステムがないことが明らかになったのが若い女性教師の自殺でした。
 僕はこのニュースを見たとき、「どうして周りの教師は助けることができなかったのか」と憤りを感じました。
 簡単に概要を紹介しますと、ある新人女性教師が担任を受け持ったのですが、親からのクレームなどが多く学級運営をうまく進めることができず、それを苦にして自殺したという事件です。彼女はまだ23才でした。生前残していたメモや日記などによりますと、教師という仕事にかなり追い詰められていたようです。報道からだけの僕なり想像では、新人教師にクレームをつけた親は、今巷で言われているモンスターペアレンツではなかったでしょうか。
 その真偽はともかく、「周りの先輩教師なり上司なりが彼女に救いの手を差し伸べていなかった」のは事実です。もし、なにかしらの対応が取られていたなら彼女が自殺することはなかったでしょう。僕はかわいそうでなりません。
 今、読売新聞では学校現場をリポートした特集が組まれていますが、先日の記事は興味深いものでした。
 ある父親が教師に対していろいろな要望を出していましたが、教師にしてみますと「口の出しすぎ」のように感じ、たぶん典型的なモンスターペアレンツと映っていたように思います。このような関係では親と教師の意思の疎通などできるはずがありません。
 しかし、学年が変わり進級したあとの担任は優れた教師のようで、とにかく「親との意思の疎通を計ることに集中した」そうです。その結果、親の側も先生の対応に満足を感じ関係がスムーズになったそうです。
 このように教師の対応如何でモンスターペアレンツはなくすことができるはずです。それができないのは一にも二にも教師の側が現在の親御さんたちが求めていることを理解していないからにほかなりません。モンスターペアレンツは工夫をしながら対処法を確立することによってなくすことは可能です。
 そして次に大切なことは、その対処法をシステム化することです。僕は、このシステム化こそが新人教師のバックアップになると思っています。どんな業種であれ、新人さんが仕事を知らないのは当然です。その新人さんを育てるのが先輩や上司の役割のはずです。なぜなら、先輩や上司はいつかは必ず職場を離れるのですから。
 昔から、ある程度社会経験を積んだ先輩などは「仕事は盗んで覚えろ」と言い、そして「今の新人は覚えが悪い」などとも言います。しかし、僕はこの考えに反対です。仮に新人さんが「仕事の覚えが悪い」「仕事ができない」なら、それは「教えるほうに問題がある」「教え方が悪い」からだと僕は思っています。原因が自分にあるのを棚に上げて新人を非難するのは責任逃れに過ぎません。新人の皆さん、このように考えているオジさんもいることを頭の隅に留めていてください。辛いことが多いでしょうが、是非とも頑張って頑張って仕事に取り組んでください。そして、どうしても辛いなら仕事を変えてもいいんですよ。単に、あなたに合わない仕事だったに過ぎないんですから…。
 50才を過ぎているならともかく、20才代では死ぬな!
 ところで…。
 4月になったというのに寒い日が続いている今日この頃です。東京でも先週などは雪まで降ってしまいました。いったいこれまでマスコミなどで報じられていた温暖化はどこに行ってしまったのでしょう。これだけ寒い日が続きますと、絶滅した恐竜の気持ちがわかろうというものです。
 その温暖化について先々週でしたか、経済誌に興味深い記事が載っていました。記事の内容を簡単に紹介しますと、地球温暖化は世界的権威のある有識者の集まりで決定された報告ですが、その結論を出す過程においてデータ操作という不正があった、という内容です。
 もちろん僕は環境などについて素人ですから、その真偽は計りかねます。しかし、この「不正があった」という記事は、ほかのメディアでも読んだ記憶があります。どちらも信頼性の高いメディアですので、信憑性は高いように思っています。
 そうなりますと、逆に疑問が沸いてきます。なぜ、大手新聞や大手テレビ局がそれを全く報じないのか、です。正しいかどうかは別にして「世界的な報告に疑惑あり」といった記事でも報道されてしかるべきのように思います。しかし、全くの無視の状態です。
 京都議定書が締結されたのが1995年ですから、地球温暖化の危惧はかれこれ15年以上報じられていることになります。以来、世界では環境がキーワードになりエコは社会の当然の流れになってきました。先進国では政府がこぞって温暖化対策をとっていますから、もし地球温暖化の警告が過ちであったなら今までの政策が全て水泡に帰することになってしまいます。勘ぐって考えるなら、大手マスコミが「警告の不正」について報じないのはこうしたことも関係しているのかもしれません。
 もし、そうであるなら大手マスコミのやっていることは「不正穏便化」です。
 じゃ、また。




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