<現役>

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 西武や巨人などセパ両リーグの球団を渡り歩いている工藤投手が48才になる今年も現役を目指しているそうです。ただし、今年は現段階でどこの球団からもオファーがなく、しかも現在ふくらはぎの調子が思わしくなく「今年は調整をする年」にするそうですが、来年また現役を狙う気持ちに変わりはないそうです。その心意気は尊敬に値します。
 簡単に「現役を続ける」と言いますが、そこにはやはり覚悟が必要ですし、それとともに現役でいるための努力も怠ることはできません。若い時代を過ぎ年齢を重ねた段階でそれらを実行するのですから、並外れた意思の強さと忍耐強さが必要であることは間違いありません。
 スポーツ選手で年齢を重ねながら現役にこだわっている選手はほかにもいます。同じく野球界では中日の山本昌投手がいますし、サッカー界ではキングカズさんや北海道のJ2チームに移籍したゴンさんなどもいます。こうした人たちに共通しているのは類まれな向上心を持ち続けていることです。もっともっと成長したいという強い気持ちがなければ激しく肉体を酷使するスポーツを続けることはできません。
 ちょっと古くなりますが、2ヶ月ほど前ヤフーのトピックスを見ていましたら経済評論家として有名な門倉貴史氏に関する記事が目に留まりました。内容は「ホンマでっかTVへの出演を辞退する」というもので、その理由は「番組での自身の扱いに納得できない」ものがあるからでした。僕は番組を見たことはありませんが、記事を読んだ想像では、「自分がオチに使われているのに不満がある」ようでした。
 門倉氏は経済に関する著作が多い著名な方ですので、普段は周りから「先生」と持ち上げられている立場だということは想像がつきます。いつもその立場に慣れている門倉氏にしてみますと、みんなから「笑われる立場」にいることに我慢がならなかったのかもしれません。そうした感情は個人の感覚の問題ですから周りがとやかくいう問題ではありません。ただ、同番組に出演している「尾木ママ」こと尾木直樹氏はそうした理由で番組を降板するのを残念がっていました。
 門倉氏とは対照的にさんまさんの辛らつな突っ込みに柔軟に応じている尾木氏は「尾木ママ」のキャラクターで一気に世間で知られる存在となりました。そして、そのことが本業である教育評論家としても世の中に知られるようになりました。ある意味、バラエティ番組で見せる表情と教育評論家として見せる真面目な一面とのギャップが尾木氏の評価を高めているようにも見えます。僕は、「尾木ママ」として知られる以前から尾木氏については興味を抱いていましたので、「尾木ママ」として有名になっているのを知ったときはとても驚きました。
 実は、教育評論家としてマスコミに登場していた尾木氏に対して僕はあまりよい印象を持っていませんでした。その理由は40代という若い年齢で教師という現場を離れ評論家に転進していたからです。僕のブログを読み続けている方はおわかりでしょうが、僕は評論家という立場をあまり快く思っていません。責任のない立場から好き勝手なことを後講釈で述べるように感じているからです。尾木氏が現役を離れその評論家になっていたことが氏を快く思っていなかった理由です。まだまだ現場で生徒たちと直接肌で触れ合うチャンスを自ら辞退しているように感じていました。
 教師ドラマの草分けとも言える「金八先生」の最終章が先月終わりました。僕はドラマをリアルタイムで見たことはありませんが、武田鉄也氏が扮する金八先生の生徒思いの教師像は若い人たちにとって、先生の理想像となっていたことはなんとなく理解できます。
 生徒たちの理想像になっていたのは、金八先生が生徒たちと直接向き合う現場の先生という立場にいたからです。現役でいたからこそ支持された先生像でした。生徒たちと直接触れ合うことのない教頭や校長では若い生徒たちから信頼されることはなく、間違っても評論家という立場では生徒たちに受け入れられることはなかったでしょう。僕には、尾木氏の評論家という肩書きは悪い印象しか持たせませんでした。
 しかし、さんまさんがつけた「尾木ママ」という呼び名を門倉氏のように抵抗感を感じることなく喜んで受け入れている人柄に氏の悪い印象も吹き飛びました。他人から笑われる立場を進んで受け入れる人間に傲慢な人がいないのは間違いないからです。
 僕が評論家によい印象を持たないのは現役でないからです。現役でないことは即ち責任のある立場に伴うリスクから逃げることを意味します。そしてそれは傲慢さにつながります。責任を負うことがないのですから、批判されることがなく言いたいことだけを言うことができ、そしていつしか人間は傲慢になっていきます。しかし、尾木氏が傲慢な人間でないことがわかり今では悪印象は消え去りました。
 僕は今現在も以前同様、販売の現場にいます。それはもちろん現役にこだわりがあるからです。人間は年齢を重ねると「他人に頭を下げる」ことに抵抗を感じるようになります。僕はそのような大人になりたくありません。ですから、僕は可能な限り現役でいて、心の底から真心を込めて「お辞儀をする」という行為をし続けていたいのです。
 その僕は、現在いろいろなものを販売する仕事をしていますが、ここ数日は豆腐を売る機会がありました。しかし、今ひとつ豆腐の売上げが芳しくなく、その理由をお客様に尋ねますと近くの商店街に茂蔵という豆腐店が開業したことがわかりました。
 そこで「茂蔵」をネットで調べますと思わぬことがわかりました。僕は以前本コーナーで「篠崎屋」という豆腐製造会社の社長が書いた本を紹介したことがありますが、茂蔵は篠崎屋が展開している豆腐のチェーン店でした。
 僕はFCについて基本的には批判的ですが、唯一FCに適している業態としてメーカーが販売チャンネルのひとつとしてFCを展開することは理にかなっていると考えています。そんな中、豆腐のメーカーである篠崎屋が販売方法としてFC展開をしている記事を読み、理想的な方法であると納得したことがあります。
 以前書きましたが、篠崎屋はスーパーに納品していた時代、納品価格に無理難題を押しつけるスーパーに反発して卸すことをやめた経緯があり、その代わりの販売方法としてFCシステムを導入していました。そして、今回調べたところ、出店形式は加盟店と直営店がちょうど半々くらいの割合で、この割合も僕にはとても好印象でした。やはり、安易なFC加盟店だけでの出店は無責任な感じがします。直営店の展開もあってこそのFC加盟店募集でなければいけません。今の状況は理想的な展開のように映ります。
 篠崎屋のHPを見ましたところ、現在は加盟店の募集を控えているようですが、もし、FC加盟で独立を考えていてまだ業種を決めていない方がいましたら、篠崎屋はお勧めです。将来はわかりませんが、しばらくは好業績を残せるような気がしています。
 ところで…。
 豆腐業界で有名な企業といえば篠崎屋だけではありません。たぶん、一度は聞いたことがあると思いますが、「風に吹かれてジョニー」などを販売している男前豆腐店やリヤカー移動販売で有名な野口屋などがあります。
 元々は豆腐業界はスーパーなどに商品を卸す小規模な企業があったにしても、基本的には個人商店の域を出ないマイナーな業界だったのではないでしょうか。僕の保険代理店時代、顧客に豆腐店もいました。その豆腐店も近くのスーパーに商品を卸していましたが、やはり卸値の値下げを求められることが多く、結局は廃業することになりました。そのような経験がありましたので、豆腐業界は個人商店の延長の規模程度の企業が多いように感じていました。
 そこに企業というシステムを持ち込むことを試みたのが上記の3社です、たぶん。そこで、この3社について、僕の経験から個人的な評価をしたいと思います。
 まず、この3社で最初に抜け出したのが男前豆腐店のように思います。スーパーの売り場で見ることが一番多かったですから。その次に出てきたのが野口屋でしょうか。マスコミにもたびたび登場して広告宣伝に努めていました。ただ、この2つは売り方が違っていましたので、棲み分けはできており、お互いが相手の売上げに影響を与えることは少なかったように思います。
 野口屋さんに関して言うなら、僕のお店には販売をしていたアルバイトさんが仕事の途中に買いに来て、いろいろなお話を聞かせてくれていました。また、ネットには野口屋でアルバイトをしていた若い人の体験談がいろいろと載っていました。それらを総合すると、売上げ的には今ひとつ伸び悩んでいるような印象があります。
 そして、現在一番伸びているのが篠崎屋です。この篠崎屋のチェーン店展開は男前店と野口屋の双方に影響を与えるような気がしています。今後は棲み分けなどはできず、それぞれがお互いの売上げを奪い合う競争状態になるのは間違いありません。
 さて、3年後にまだ現役でいられるのはどこでしょう…。
 じゃ、また。




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