<灯台>

pressココロ上




 ホリエモン氏がいよいよ収監されるようです。ホリエモン氏についてはいろいろな意見や考えがあるでしょうが、その前提になるのは、なんと言っても「ホリエモン氏が目立っていたこと」です。この事実を抜きにしてホリエモン氏の功罪も氏に対する様々な評論もあり得ません。
 歴史に「もし」はありませんが、「もし、ホリエモン氏が世の注目を集める目立つ存在でなかったなら、実刑を受けることはなかった」のではないでしょうか。確たる自信はありませんが、たぶんほかの人であったなら執行猶予がついた判決で済んだように想像しています。その真偽はさておき、ホリエモン氏の収監と聞いて僕は次の言葉が思い浮かびます。「一罰百戒」。そして、それが行われたのは一にも二にも、ホリエモン氏が目立っていたからです。
 震災後の復興に関する項目の中に「二重ローン」問題があります。これについては以前のコラムで少し触れましたが、震災によりローンが残ったままの住宅ローンなどに対する減免処置です。僕は安易な救済は不公平になりモラルハザードを起こす、と書きました。
 先日の新聞にも僕と同じ意見の投稿がありました。自然災害は今回の東日本震災だけではありません。そうした被害が救済を受けられず、東日本震災だけを救済するのでは不公平、と書いてありました。
 東日本震災は、その被害の大きさ故、マスコミで大きく取り上げられています。ですから社会から注目される度合いが大きくなっています。ですが、だからと言ってマスコミなどで報じられることのない被災者と救済対応に差をつけるのは好ましくありません。救済対応がマスコミや社会からの注目の度合いで決められるのは健全な社会ではありません。
 僕はこのような「目立っていることで優遇される話」を聞くと次の寓話を思い出します。
 漁に出かけた漁師が嵐に遭い難破しました。救命具にしがみつきながら漂流していると夜になってしまいました。しばらく流されていると灯台が目に入ってきました。漁師は喜び、灯台に向かって泳ぎ進みました。そして、やっとの思いで灯台の岩場までたどり着き、灯台を守っている管理人の家の前まで行きました。
 漁師は明かりが漏れてくる窓の近くまで行き、中を覗き込みました。すると、お父さんとお母さん、そして小さな子供二人が楽しそうに笑いながら語り合っている光景が見えました。たぶん、管理人さんの家族なのでしょう。そのほのぼのとした雰囲気を見ていた漁師は思いました。
「楽しそうに過ごしている管理人さん家族に、今自分が助けを求めることはこの家族に迷惑をかけることになる、家族団欒を壊すことになる」
 漁師はそのまま助けを求めることもなく、灯台を離れました。
 話の詳細はうろ覚えですが、概要はこのような内容でした。この寓話は井上ひさし氏が新聞で紹介していたお話です。この寓話を紹介しながら、井上氏は「誰にもアピールすることなく、ひっそりと地道に暮らし、コツコツと生きている心優しき人たちを世の中に伝える、のが作家の仕事」と書いていました。
 僕はこの井上氏の記事を読み感動したわけですが、その僕が見聞きするたびに気になる報道があります。
 それは難病を患った子供のための手術費用を集める募金活動の報道です。たぶん、世の中には難病にかかっている子供はたくさんいると思います。そうした中で、ニュースに取り上げられることで注目され、募金を集めるという方法は心に引っかかるものがあります。ニュースに取り上げられたくさんの人から関心を持たれた人だけが治療費用を調達できる、という状況は複雑な気持ちになります。
 このときに、ニュースに取り上げられる際の基準はどこにあるのでしょう。僕はその曖昧さにも不信感を持ってしまいます。もし、難病を患っている人たち全員がマスコミに取り上げられるなら、募金も容易に集まらないでしょう。もし、連日そのような報道があったなら誰も見向きもしなくなるでしょう。優遇される結果を得られるのは注目を集める状況を作り出せた人だけです。僕はその点に違和感を感じます。
 高らかに声を上げ、大きな声を出し注目を集めた人だけが優遇される状況は公平ではありません。「他人に迷惑をかけないように」を信条にして生活している人たちも、大きな声を上げる人たち同様に優遇される社会が平等な世の中です。震災後の復興がそうした状況で進められることを願っています。
 灯台は海の標識ですので目立っていることが必要ですが、同時にどこからも見えるという平等性も大切です。そして尚且つ、灯台を利用する人には他人の立場も思いやる謙虚さが求められます。
 ところで…。
 僕のサイトを訪れる人は以前同様、検索サイトから訪れる人が多いのですが、最近は少し異変が起きています。それは以前ではなかったような「検索ワード」で検索されていることです。確か、数ヶ月前に「googleでアルゴリズムに変更があった」となにかで読んだ記憶がありますが、それと関係しているのかもしれません。
 最近、調べられたキーワードを幾つか紹介しますと、
「素人でもラーメン屋を開業できますか」
「ラーメン 修行しないで開店」
「お金をかけずにラーメン屋開業」
などです。これ以外にもいろいろとあるのですが、中には「こんな検索語でよく僕のサイトが上位に表示されるなぁ」と感心するものもあります。確かに、飲食業を始めたい人に参考になるサイトだと自分では思っていますが、それをyahooやgoogleが見抜くのが「すごい」と思っております。なにかを調べたい人には検索サイトは素晴らしい灯台ですね。
 じゃ、また。




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