<展開>

pressココロ上




 先週、僕は確定申告を提出しました。正式には申告期間は2月15日からですが、青色申告会に加入している人はそれ以前からでも受け付けてもらえます。僕の想像では、申告会としても僕のような事前提出の人を歓迎しているように思います。その理由は、事前提出の数が多ければ多いほど、税務署に対する申告会の意義が高まるからです。そして、そう思う根拠は、毎年申告会の会報でその数を公開しているからです。きっと、僕は申告会に貢献しています。
 こうしたわけで、やっと気分的にすっきりしましたので、昨年末に予告していました「移動販売をする前に」を書き上げる所存であります。そのときの予定では「お正月休みを利用して」書き上げるつもりでしたが、いろいろ忙しく目標を達成することができませんでした。7割方はできているのですが、中々時間が取れず中途半端なまま中断している状態です。これから少しずつでも頑張る所存でございますので、もう少々お待ちくださることをお願いする次第でございます。
 …てな、ことを書きながらつい先ほどまで、僕は You Tube を観ていました。以前も書きましたが、僕は最近、暇さえあれば You Tube を観ています。実は、これもテキストが完成しない理由のひとつでもありますが、それほどハマっております。
 我が家は今、晩御飯時はテレビをつけておりません。正確には、僕が居間にいる間は、居間のテレビはつけていません。理由は、僕がテレビを嫌いだからです。なにしろ僕は家長です。課長より偉い家長ですので僕の一存で居間の空間のあり方を決定することができます。
 テレビをつけていないと、なんとなく暗い感じになってしまいますので、You Tube で音楽を聴くようになりました。それがきっかけでYou Tube にハマるようになった次第です。たぶん、ご飯を食べるときに音楽を聴くのは健康にもいいはずです。
 今現在、ハマっている楽曲は「やさしい悪魔」です。ご存知の方も多いでしょうが、吉田拓郎さんが作曲し、キャンディーズさんが歌って大ヒットしだ歌です。最初はキャンディーズさんのほうに惹かれていましたが、段々と拓郎さんのほうが好きになりました。それも飽きると、元に戻って今ではまたキャンディーズさんが好きになっています。
 毎日最低3回は聴いていましたので、それが高じまして仕事中であろうと自転車に乗っていようと、頭の中で「♪パヤ~パヤ~♪、♪パヤ~パヤ~♪、♪チャラっチャラ♪…」と前奏のメロディが響くようになりました。僕はこのメロディに自信がありますので、先日、妻にこのメロディを口ずさんで「イントロクイズ」を出しました。しかし、高難度のクイズだったようで妻は最後まで正解を出すことはできませんでした。妻が言いますには「メロディが違っているから…」とのことでしたが、僕としてはそのメロディーに自信があったのですが…。
 デジタルとアナログの機能を比べるときに、辞書を例に挙げることがあります。そのときにアナログ派の人が言うのは「ある言葉を辞書で調べるときに、本だと前後の言葉や同じ頁にあるほかの言葉を偶然に読むことによって、意図しない勉強になったり、または思わぬ展開」に遭遇することだそうです。
 確かに、アナログ派のこの主張には一理あります。パソコンやネットですと、関連した語句や似たような語句が紹介されていることはありますが、本の辞書のような五十音順だけで並んでいる語句は紹介されていません。ですから、本の辞書で経験するような「語句が似ているだけで全く関連のない内容の語句」と偶然出会うことがありません。この偶然の出会いが「思わぬ展開」を招いてくれます。この「思わぬ展開」をできないことはデジタル辞書のデメリットのひとつです。
 You Tube を観ていますと、画面右側に「オススメ動画」が紹介されています。僕がこの「オススメ」を見ていて本当に驚くのは、僕が興味を持ちそうな動画がいつも紹介されていることです。
 昨年11月にこのコラムに書きました「青が散る」をネットで観たお話を覚えている方もしらっしゃると思います。大塚ガリバー「人の駱駝」から「青が散る」のドラマを観た展開を書きましたが、同じように今も思わぬ展開を楽しんでおります。
 昔、作詞家の阿久 悠さんがヒットを出す秘訣について、「人が気がついていないけど、または目には見えていないけど、潜在的に欲しているものを作ること」と言っています。これは作詞に限らずほかのことにも当てはまると思いますが、You Tube のオススメも同じような効果があるかもしれません。僕がまだ観ていない知らない動画で興味を持ちそうな動画を紹介しているのですから、僕が「潜在的に欲している」に当てはまります。
 この「まだ観ていない、知らない」はとても大事です。今の時代は情報量がたくさんあります。たくさんありすぎて、どれを選択してよいか迷うほどです。しかし、「迷う」はまだいいほうで、「迷う」前に情報を選り分ける作業をしなければいけません。そして、その作業はとても面倒です。You Tube はその作業を僕の変わりに行ってくれています。その前提になるのは、僕の履歴です。僕がこれまでに見た動画を参考にして僕の好きそうな動画をオススメにしてくれているのです。これは凄いことです。
 しかし、「凄い」とともに怖いことでもあります。僕という人間の趣味趣向、または嗜好がgoogleという企業に丸裸にされていることだからです。このように考えますと、「思わぬ」とは言いながら、本当は「思わぬ」でもないかもしれません。それはパソコンに僕の趣味趣向が「筒抜け」になっているからです。「筒抜け」になっているからこそ僕が興味を持ちそうな動画を紹介できます。でも、僕はgoogleを信頼していますのでそれほど不安でもありません。なんせ、googleの企業ポリシーには「邪悪になるな」という文言がありますから…。
 それはともかく、You Tube がオススメを紹介してくれるおかげで僕は「思わぬ展開」を享受することがあります。例えば、吉田拓郎さんの歌を聴いているときに長渕剛さんの歌を知ったり、由紀さおりさんの「ルームライト」を思い出したり、など僕が忘れていた名曲を思い出させてくれます。こうした自分が忘れてしまっていることを思い出させてくれることも「思わぬ」のひとつです。
 これ以外にも「思わぬ」はあります。例えば、長渕さんの歌を聴いていたときに政治を扱ったNHKの番組が紹介されていました。長渕さんの歌を聴いていたのですから、ほかに紹介されているのは長渕さんのほかの歌かもしくは同世代のアーチストの歌が並んでいました。その中でひとつだけ政治的テレビ番組が紹介されていたのです。
 その番組は僕が好みそうな知識人たちが集まった討論会でした。僕はそれを見ながら思いました。
「どうして、僕がこういう番組を好きなことまでわかるんだろ…」
 確かに、いつだったかこのような政治的番組を見たことはあります。でも、その割合はアーチストに比べるとごく僅かでしかありません。しかも、ここ最近は見た記憶がありません。僕自身でさえ忘れていることを紹介してくれる You Tube の素晴らしさと恐ろしさを感じずにはいられませんでした。
 それにしても、メリットデメリット双方がありますが、「思わぬ展開」に導いてくれるネットは本当に観ていて飽きません。もちろん、情報の真贋を見破る必要はありますが、それさえも勉強になることだと思っています。
 僕のサイトのメインテーマである脱サラや独立、フランチャイズについてもいろいろなサイトがありますが、それらの信憑性について考えることも勉強になるはずです。
 それにしても、僕のサイトとは関係のないような語句で検索して僕のサイトにやってくる方々がたまにいます。そして、その方々の中にはそのまま長時間僕のサイトに滞在している人がいます。こうした行動を見ていますと、「思わぬ展開」を楽しんでいるように想像してしまいます。…本当は、どうかな。
 ところで…。
 僕は妻と結婚したわけですが、実は、妻と出会った最初の印象はよくありませんでした。世間一般の言い方ですと「第一印象が最悪」というわけです。それがこうして結婚して30年経ちますから、これも思わぬ展開と言えるものです。
 こうした実体験に基づいて若い皆さんにアドバイスをするなら、「思わぬ展開」がいつも好結果になるとは限らないことです。どうか皆さん、そのことを念頭に置いて日々の生活に励んでください。
 じゃ、また。




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