<尊徳計算>

pressココロ上




 まずは、今週のコラムの出だしはお礼の言葉からはじめさせていただきます。
「寄付をしてくださいました皆様、ありがとうございました。諸事情により個別にお礼の言葉をお伝えすることができませんので、この場を借りて感謝の気持ちを述べさせていただきます。
 本当に、心より御礼を申し上げます。」
 今月はいろいろなことがありました。先週先々週のコラムに書きましたように、今月上旬、夜半過ぎから朝方まで胸の辺りがムカムカする症状に陥りました。病院が開くのを待ってすぐに行ったところ、そのまま生まれて初めて救急車に乗ることを経験し、運ばれた大きな病院では、一瞬とはいえ心臓を止められ、心電図で表示されるグラフの動き方に異常があるということで薬の服用と検査を続けることになりました。
 このように初めて経験することに驚きと戸惑いの連続でしたが、そんな僕をからかうかのように神様が新たな驚きを与えてくれました。しかし、今回の驚きはうれしいほうの驚きでした。
 救急車騒ぎも一段落し、体調も少しずつ普通になりつつあった22日(月)、午後5時過ぎにいつものように自サイトの分析結果を見ていました。すると、いつもより訪問者が多いことに気がつきました。その時点ではまだ少しでしたが、それでも通常より多いのがすぐにわかるほどの増え方でした。
 最初はただ「へぇ~」とうれしさと喜びを噛み締めている程度でした。やはりサイトを公開している人間としては訪問者数は気になります。ですから、その日はいつもより分析結果を確認する間隔が短くなりました。30分ほどしか経っていませんでしたが、僕は再度分析結果を見ることにしました。
 すると、どうでしょう。「水曜、どうでしょう」ではありません。「すると、どうでしょう。」です。なんとほんのわずか30分で訪問者数が倍以上になっているではありませんか!
「いったいなにが起こっているんだろう…」
 僕は驚きと不安が交じり合った心境になりました。そこまで僕のサイトが人気があるとは思えません。というかこれまでの経験上あり得ません。
 僕のサイトの訪問者は大よそ9割が検索サイトからの訪問者です。これまでにも紹介していますように「脱サラ」とか「ラーメン」とか「経営」とか「資金」とか…。これらの言葉を組み合わせて検索した結果からやって来る方がほとんどです。
 このようにほとんどが単語を組み合わせての検索ですが、たまに文章で検索する人もいます。文章で検索しても僕のサイトにたどり着くことには驚きますが、中には不思議に思えるような文章で検索して、僕のサイトにやってくる人がいます。これまでで一番印象に残っているのは数ヶ月前に見た次の文章でした。
「ラーメン屋で独立して8ヶ月経ったけど、どうやら限界かも…」
 このような文章に出会いますと自分の過去を思い出してしまいます。この文章を読んだだけでこの方の苦悩が伝わってくるようでした。この方に僕のテキストが役に立ちいい方向に展開していることを願わずにはいられません。
 僕のサイトはエンターテイメントとかゲームとかスポーツといった多くの人が興味を持ちそうな題材を扱っているサイトではありません。大きく分けますと硬派に属するサイトです。脱サラとか独立に興味を持っている人にしか知られるはずもないサイトです。ある意味マニアックともいえるかもしれません。そのようなサイトですから自ずと訪問者も人数的には限界があります。
 その僕のサイトに22日(月)は訪問者が急増していました。本当に急増という言葉しか当てはまらないほどの増え方でした。人間とは不思議なもので自分が望んでいたことが実現するとうれしいはずですが、突然に起きますと不安になるものです。
 そんなわけないよな…。
 僕はそう思いながら、原因究明をはじめました。するとすぐに原因がわかりました。リンク元のひとつを辿っていきますと、某大手ランキングサイトがあったのです。そのサイトで僕の「あなたはこうやってラーメン店に失敗する」という本が上位に入っていました。そのことによって、僕のサイトへの訪問者が急増したのでした。
 どうして上位に入ったのかは僕にはわかりません。強いて言えば「なにかの弾み」でしょうか。それ以外に説明のしようがありません。この本は僕のサイトで公開してからすでに数年が経っています。先に書きましたように、脱サラに興味のある人たちには読んでいただいていますが、それも人数的には限定されたものでした。それが「なにかの弾み」で脱サラに興味のない人たちの目に触れたことでこれまでの限界を越えた訪問者数であり、読者数となった次第です。
 僕のサイトには本やテキストが幾つかありますが、たまにそれらを読んで感想を送ってくださる方がいます。もちろん年に数人ですが、それらの方々には共通点があります。それは脱サラの経験者であることです。もちろんラーメン店の経験者もいますし、それ以外の飲食業での脱サラ経験者の方もいます。飲食業と無関係の方もいます。
 僕のサイトの名称は「脱サラをする前に」です。この名前が示すとおり本来は未経験者の方にできるだけ役に経つ情報を提供することをコンセプトとしています。そんな中、「私に感想を送ってくださる方は経験者」ということが興味深いところです。
 感想を送ってくださる方の内容を読んでいて、僕はある仮説を立てるようになりました。それは、「僕がテキストや本で書いていることを真の意味で理解しているのは経験者である」ということです。
 今回の突然の出来事でも感想をいただきましたが、それらを読んでいてその思いを強くしました。これから脱サラや独立を目標にしている皆さん。実際に脱サラ・独立をすることには、僕の本やテキストを読んで皆さんが理解したり想像したりしたことの少なくとも3割増しの苦労が伴うと考えてください。是非とも、ありったけの想像力を駆使して本やテキストを読んでくださることを切に願う次第です。
 因みに、急増した月曜日から徐々に訪問者数は落ち着きを取り戻し、土曜日には本来の訪問者数になりました。悲しいような安心したような複雑な心境ですが、僕のモットーは「地に足がついて」や「身の丈にあわせて」や「分相応」ですので、それに相応しい状況になってきたと思っています。
 今週の題名は「尊徳計算」ですが、これは今回の出来事で僕が実感したことでした。僕は大道芸人方式という課金方式で本を公開していますが、これは読み終わったあとに気が向いたらお金を支払うシステムです。ですから、実際は無料で読むことが可能な方式です。僕にしましても入金されることは期待していませんでした。ですが、2月に初めて入金をしてくださった方がおり、感激した次第です。そして、今回の訪問者急増時にも入金がありました。
 僕は見返りを求めない行動に感動する質です。無償の愛に感激するタイプの人間です。大道芸人方式でお金を支払うという行為はまさに「見返りを求めない行動」であり、「無償の愛」です。なにしろお金を支払ったからといってなにも得をすることはないからです。僕はこういう方々に本当に弱いのですね。今の世の中はなんでもお金に換算して損得を考えて行動する風潮が強くなっています。それに対して大道芸人方式でお金を支払ってくださる方々はそうした風潮とは正反対の行動をとった方々です。そのような方々がいることが僕をうれしくさせてくれました。
 世の中に損得計算をする人よりも徳を尊ぶ「尊徳計算」をする人が多くなればもっと心が豊かで生きやすい社会になるのに…、そして僕みたいな人間が得をするのに…ウフッ、と思っています。
 ところで…。
 ソフトバンクは米国の携帯電話会社スプリント・ネクステルを買収する予定ですが、それに対抗して衛星放送サービス会社が新たな買収提案をしているようです。ソフトバンクにしてみますと買収合戦に展開する可能性もあり油断ならぬところですので対抗策をいろいろと考えていると思います。そういうのを孫得計算といいます。
 じゃ、また。




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