<組織における責任者の役割>

pressココロ上




 注目を集めていました小保方さんの記者会見が行われました。平日の昼間でしたが、各局とも視聴率が高かったようです。それほど世の中の関心が高かったことを示していたことの証明ですが、それはまた普段はテレビを見ていない人が多いことの証でもあります。僕的には、平日の昼間からテレビを観ることに違和感を感じていますので、いいことだとは思いましたが…。
 それはともかく記者会見の内容については判断がわかれているようです。つまり、納得「できた人」と「できない人」ということですが、少し違う側面からとらえますと「好感した人」と「反感した人」でしょうか。
 「納得」に関しては一般の人では理解するのに限界がありますから、それはあくまで素人感覚での「納得」に過ぎません。それに対して「好感、反感」に関してはあくまで個人の感覚的なものですので、事実がどうのこうのというよりは印象で決められるものです。
 その意味でいいますと、理系の世界のオジさんたちから「寄って集って」批判や非難をされている中で、まだ30才という若い女性がひとりで反旗を翻しているように映る構図は世の中の同情を買っても不思議ではありません。僕もそのひとりです。
 だって考えてみてください。弱冠30才の若さで300人のジャーナリストといわれる人たちに囲まれるのですから、その緊張感や想像を絶するはずです。あの耳が聞こえない作曲家として世間を騒がせた佐村河内守さんでさえ多くの取材陣に囲まれて緊張していたのがわかりました。人生経験が豊富な中年男性でさえそうなのですから、それをうら若き女性が行ったのです。その勇気と行動は認められてもよいのではないでしょうか。僕はそう思います。
 それにしてもどうして「小保方さんだけに批判が集中する」展開または事態になったのか科学者の世界を知らない僕にとっては不思議でなりません。発表したときに小保方さんに注目が集まったことも要因でしょうが、あの論文が発表されるまでには幾つかの関門があったはずです。つまり、それらの関門を通過することができたからこそ科学誌に発表されるという快挙に到達したはずです。
 そうであるならば、その関門にいて審査をした業界的地位が高い方々の責任も小保方さんと同じように追求され、批判・非難されるべきはずのものです。報道に寄りますと、小保方さんの上司に当たる理化学研究所の副会長である笹井氏という方が近々会見をするそうですが、本来なら小保方さんが会見をする前に、またはこのような大きな騒動になる前に会見なり説明をするべきものです。
 僕がそう考えるのは、ユニットリーダーという役職にあります。そして、理化学研究所の組織から想像しますと、ユニットリーダーという役職は決して幹部の部類に入る責任者ではありません。あくまで末端の責任者にすぎません。そのような立場に過ぎない人が、その仕事に対してその直属の上司や幹部よりも全責任を負わされるのはどう考えても理不尽です。
 小保方さんの役職を一般の企業で例えるなら係長か課長あたりでしょうか。その一般の企業が不祥事や問題を起こしたとき、その実行者だけに全責任を負わせることは稀です。そうしたことが起きるのは、それこそ横領など個人的な犯罪に近い場合のみです。間違っても、企業としての業務においてミスがあったときは中間管理職が批判および非難の集中砲火を浴びることはありません。
 昨年、JR北海道で線路管理に関する不正事件がありましたが、記者会見で謝罪したのは現場の人間ではなく管理者でした。その際も現場の個人が批判・非難されることはありませんでした。それに照らしますと、今回の騒動も理化学研究所は違う対処の方法を取るべきだったと思います。
 大分前のことになりますが、本の紹介コーナーで理化学研究所について書かれた本を紹介したことがあります。文庫本でかなりの厚さでしたが、それだけ歴史が長いことの表れでした。しかも、登場人物が多岐にわたり、まだ建設業を営んでいた若い頃の田中角栄氏までが登場し、とても興味深く読んだ記憶があります。
 そのときの印象では、理化学研究所という組織は自由闊達で目先の利益よりも将来に役立ちそうな研究に集中できる環境にあるようでした。そして、それを支えているのは「少しくらいのミスは許容範囲」という懐の深さやおおらかさがあったことです。それを思うとき、今回のミスにおける展開は理化学研究所らしくない対応のように感じます。
 今回の騒動については、なにが真実でどちらに正解があるのかわかりませんが、小保方さんが傷つかずに決着することを願っています。また、そのように終焉させる義務が理化学研究所の幹部の大人たちにはあると思います。
 小保方さんの騒動はSTAP細胞に関するものですが、似たような名前のTPP問題も佳境を迎えているようです。この展開を見ていますと、僕的には甘利大臣の仕事ぶりにとても感動しています。農業や工業などいろいろな分野について精通していて、そのうえ外国との交渉のやり方などについてもタフで経験がなければ務まらない仕事をこなしています。甘利大臣はもっと賞賛されてしかるべき政治家だと思っています。
 なぜ、ここでわざわざ取り上げたかといいますと、本来ならマスコミがもっと取り上げ甘利大臣の活躍について報じるべきだと思うのに、あまり(甘利)取り上げないからです。ナンチャッテ!
 じゃ、また。




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