<若いうちの苦労>

pressココロ上




 最近、ドラマやCMなどでよく見かける俳優さんがいます。その方は遠藤憲一さんという方ですが、僕の中ではとても印象に残っている俳優さんでした。理由は、僕が幾度か紹介しています「青が散る」という青春ドラマに貝谷という役名で出演していたからです。
 実は、このコラムを書くにあたって確認したところ、思い違いをしていたことがありました。それは、鈴木保奈美さんが主演をしていた「この世の果て」にも遠藤さんが出演していたと思っていたことです。しかし、「この世の果て」に出演していたのは大浦龍宇一さんという俳優さんでした。雰囲気や顔立ちは似ていましたが、人間の記憶とはあてにならないということを実感しました。
 それはともかく遠藤さんは今注目を集めているようで、刑事役で出演することが多くなっています。題名はわかりませんが、妻が見ていたドラマでも刑事役で出演していましたし、昨年放映されていたキムタク主演の「安堂ロイド」でも刑事役でした。
 僕は今、NHKで土曜の夜9時から放映されている「ロング・グッドバイ」というドラマを気に入っていますが、そのドラマでも遠藤さんは刑事役で出演しています。今の時代で刑事役として一番はまっている俳優さんとドラマ制作者の人たちに思われているようです。
 話は逸れますが、このドラマは個性的な俳優として知られている浅田忠信さんが主演をしているドラマです。ハードボイルドの金字塔といわれている小説が原作ですが、このドラマおよび浅野さんはその魅力を十分に伝えていると思います。
 ロング・グッドバイを見る気になったのはNHKの朝の番組に綾野剛さんが出演していたからです。綾野さんも今をときめく人気俳優ですが、僕的にはどこに人気の秘密があるのか今ひとつわかりませんでした。しかし、朝の番組のトークを聞いていて人柄がわかり、そして人気の理由もわかるような気がしました。
 芸能界には常に新しい人が出てきますが、その中で生き残っていくのは簡単ではありません。そうした中で頭角を現し、生き残っていく人というのは人生や仕事について真摯に向き合っていることが最低条件のように思います。単に外見がかっこいいだけではすぐに消えていきます。
 中には、「考えているふう」を装って芸能界を泳いでいる人もいますが、それでもうわべだけの人はいつか化けの皮がはがれるものです。
 綾野さんのお話を聞いていて仮面ライダーから実力派俳優に成長した理由がわかるような気がしました。その綾野さんが「素敵な人」と評していたのが浅野さんです。浅野さんの印象は常にマイペースで時代に流されず、だからといって時代遅れにもならず、いつの時代にも通じる魅力を備えた人です。もちろん魅力は時代だけでなく性別にも年代にも通用するもので、その証拠に20才くらい年が離れたきれいな女性との真夜中の路上での艶聞も報じられました。「ロング・グッドバイ」はおすすめです。
 「ハードボイルド」で僕が思い出すのは東八郎さんです。東さんの「ハード、ボイドゥダ、ドゥ~」という言葉をつっかえさせながら話す芸は一世を風靡しました。東八郎さんを知っている方は僕のコラムの読者でどれくらいいるのでしょう。少し前までテレビで一万円札で額の汗を拭う仕草で笑いをとっていた東MAXさんのお父様です。安めぐみさんと結婚した芸人さんといったほうがわかるかもしれません。
 話が大分脱線してしまいました。話を戻しまして、遠藤憲一さんです。遠藤さんは「青が散る」の中では亮平に好意を抱いている星野祐子役の川上麻衣子さんに好意を抱いている役でした。不器用だけど誠実な雰囲気がぴったりの配役でした。
 僕は日曜の朝7時からフジテレビで放映されている「ボクらの時代」という番組をたまに観ています。この番組はなにかしらの共通点がある3人がトークをする番組です。共通点とは、例えばドラマや映画の出演だったり、女性キャスターという仕事だったり、たまたま境遇が似ているなどといったことです。
 この番組に数週間前に遠藤さんが出演していましたが、遠藤さんはデビュー前に無名塾に一時期所属していたことがあるそうです。しかし、わずか10日間ほどで退塾しているそうで、その理由が「あまりに厳しすぎたから」と笑いながら話していました。天下の無名塾の試験に合格していながら、わずか10日ほどで辞めた理由が「厳しさ」というところに遠藤さんの人柄が表れています。
 僕のコラムを訪問してくれる人の中に「青が散る」のキーワードで検索する人が少なからずいます。それだけ人気があったのでしょうが、視聴率だけに限るなら当時としては決して合格点ではありませんでした。ですが、僕的にはあのドラマに出てくる登場人物はそのままその後の芸能界での活躍ぶりと重なる部分があり、貝谷役の遠藤さんも例外ではありません。今の人気ぶりを見ていますと、なんとなくうれしい気分になっています。
 少し前に自サイトのアビリトのコーナーで「辞めないこと」という言葉を紹介しましたが、これは先の番組の中で遠藤さんが自分自身のことを振り返りながら「仕事において大切なこと」のひとつとして話していた言葉です。
 慣れないうちは厳しいと感じている業務が3ヶ月すると違う感じ方になることがあります。世間ではブラック企業という言葉が騒がれていますが、ブラック企業かどうかはある程度慣れてからでないと判断できるものではありません。
 確かにブラック企業で働いていていいことはなにもありませんが、だからといって勤めている企業を簡単にブラック企業と判断することも控える必要があります。社会人としてまだ日が浅い新人はまだものごとを判断する能力に欠けていると自覚しているくらいがちょうどよい感覚です。仮にあとから考えて、ブラック企業だったとしてもその経験も将来的にいきるはずで、若いうちだからこそできることともいえます。
 若いうちにしかできない経験というのは必ずあるもので、それを経験せずに社会人として中堅どころや幹部になってしまうと、そのときに間違った判断をすることになります。もしくは過ちを犯すことになります。
 長州力さんというプロレスラーがいますが、長州さんが語っています。
「努力をしたからといって必ず成功するとは限らない。だけど、成功した人は必ず努力をしている」
 この言葉にならうなら「若いうちに辛く苦しい仕事をしているからといって必ず魅力的な大人になるとは限らない。だけど、魅力的な大人は必ず若い頃に辛く苦しい経験をしている」
 STAP細胞で世間を騒がせている小保方さんの論文を調査する委員長が辞任をしました。その理由は、自らの論文の画像において切り貼りが行われていたからです。その際の「改ざんではない」というコメントに、多くの人が唖然としたのではないでしょうか。普通の感覚で考えるなら小保方さんの問題となにも変わりはありません。
 委員長はこのままマスコミの前から消えるのではなく、きちんと説明会見をすべきです。委員長よりずっと若い小保方さんでさえ逃げずに堂々と会見に臨んだのですから、社会的地位のずっと高い委員長が会見を行わないのではあまりに情けないものがあります。社会人として、科学者として、人生の先輩として、模範を示す責任が社会的地位が高い年長者にはあります。
 もし、このままうやむやにして行動を起こさないなら、委員長は若い頃に辛く苦しい経験を全くしてこなかったのでしょう。
 じゃ、また。




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする