<スマホデビュー>

pressココロ上




 世間でスマホを使っている人がどんなにたくさんいようとも、自分にとって必要でなければ購入する気持ちにはなりませんでした。生活するうえではガラケーだけで十分です。ただし、出先で電池が切れたり、またはなにかの理由で使えなくなったときに困らないためにガラケーは2つ所有していました。常に持ち歩いていたわけではありませんが、それでも自宅に予備があるということだけでも安心感がありました。
 このように端末を2つ持っていましたので、将来的にはどちらかをスマホに切り替えることを一応は考えていました。ですが、これまでは「まだ時期尚早」という気持ちのほうが強い状態でした。「時期尚早」とは、まだまだスマホの通信料や通話料が高いことを指しています。
 ところが、今年に入り格安スマホに関する情報を目にすることが多くなり、さらに最近ではその種類も増えてきたように感じていました。ですから、僕の心の中ではスマホデビューが徐々に現実味を帯びてきていました。「ジョジョの奇妙な冒険」ではなく、現実味が「徐々」です。
 そのような気持ちになってはいましたが、まだ自分自身の中できっかけを掴めずにいました。やはり行動を起こすにはなにかしらの動機が必要なのが僕です。
 僕のコラムの愛読者の方はご存知でしょうが、昨年の今頃僕は心臓の手術を受けるために自宅療養をしていました。手術は9月5日でしたので手術に対する恐怖心で緊張をしていた頃です。なにしろ僕は小心者ですから血管の中を通して心臓の細胞を焼き切る手術なんて本来考えられないことです。ですが、「手術をしない」ほうが危険という医師の意見に従い決断した経緯があります。
 こんな僕でしたが、そもそも心臓に異変を感じるようになったきっかけは息苦しさでした。そして、その息苦しさは「鼻呼吸ができないことに原因がある」と僕は思っていました。この考えは医師による正確な診断ではなくあくまで僕個人の感覚から生じるものですが、僕の病気のすべての根源は「鼻呼吸」にあります。…たぶん。
 耳鼻科に通うようになったことについてもこのコラムで報告していますが、初めての方のためにかいつまんで説明します。
 かれこれもう2年くらい前のことですが、最初は鼻づまりで近所の耳鼻科に行きました。そこで「鼻茸」(鼻ポリープともいいます)と診断され、大学病院を紹介されました。すると大学病院では最初の診断で「副鼻腔炎(昔は蓄膿症といっていました)ですのですぐに手術」といわれました。なにしろこのときの若い医師は強引な感じで手術の日時まで決めようとしました。しかし、急に手術といわれましても簡単に納得できるものではありません。僕はなんとかお願いして「様子をみる」ことに成功しました。そして、担当医師が変わったのを機に大学病院通いを中断しました。
 その後、ある薬剤師さんから車で15分程度の耳鼻科診療所を紹介してもらい、その診療所で飲み薬による治療を続けました。僕にはこの診療所の医師の処方が合っていたようで改善の方向へ進みました。一時期は臭覚まで回復したこともあります。
 この診療所へは、途中心臓手術などで中断した時期が3ヶ月ほどありますが、都合2年くらい通院しました。それが先月までのことです。
 ところが、先月の初旬にちょとした風をひいてから鼻づまりの状態が芳しくなく息苦しい状態が続いていました。処方される薬を飲んでもあまり改善しないのです。人間は鼻呼吸ができないといろいろな面で辛いことになります。
 例えば、ご飯を食べるときに口でご飯を食べながら呼吸もしなければいけません。これも辛いものがあります。また、頭が常に重い感じがします。強い頭痛こそありませんでしたが、「頭が働かない」という感じです。これはご飯のときよりも苦しいものがありました。
 鼻づまりの経験のある人はわかると思いますが、鼻水が鼻の途中に詰まっている感じで、その鼻水さえ取り出せれば「息が通るのに」という歯がゆさを常に感じていました。ご存知の方もいるでしょうが、耳鼻科には鼻水を吸引する機械があります。ですから、僕はあまりに苦しくて詰まっている鼻水を吸い取ってもらう目的だけのために耳鼻科に通うこともありました。
 しかし、鼻水を吸い取ってもらうためだけに通院するのはあまりにも時間の無駄です。そこで「なんでも欲しがり屋」の僕が購入することを考えたのが鼻水吸引機です。これさえあればわざわざ耳鼻科に通院する必要もなくなります。価格や性能などをいろいろと調べた結果、僕が購入したのはスマイルキュートという吸引機です。約1万7千円もしましたが、鼻呼吸ができない地獄の状態を思うなら仕方のない価格です。
 ネットで購入したのですが、土曜日に申し込んで届いたのが火曜日です。仕事を終えて帰宅しますと宅配業者の不在通知がありました。その日も鼻づまりで苦しみながら仕事をしていましたので、不在通知を見てすぐに宅配業者に連絡をしました。
「こちらのほうから取りに行きますので、今いる場所を教えてください」
 このようにして吸引機を使うようになってから以前よりは苦しさが減少しましたが、完全に鼻づまりが解消できたわけではありません。やはり、診療所にあるようなプロが使うものとは性能が違うようで物足りなさを感じていました。それでも吸引機で鼻水を吸いだしますと、少し鼻呼吸が楽になるのを実感することはできました。
 このようにして僕は鼻水吸引機を購入したのですが、実はそれと平行して鼻茸を切除する処置法についても検討していました。
 先に書きましたように僕は副鼻腔炎ですが、この病気は鼻の中にある副鼻腔という箇所に膿が溜まる病気です。そして、鼻茸ができるほとんどの理由が副鼻腔炎になっていることです。ですから、完璧に鼻茸を取り除きたいなら副鼻腔炎を手術で治療する必要があります。しかし、副鼻腔炎の手術は1週間から2週間入院が必要ですし、費用が全部をひっくるめて30万円ほどかかるそうです。正確には、健康保険に高額療養費という制度がありますので心臓の手術と同様に10万円以下でできますが、それでもやはり躊躇する気持ちが起きます。
 鼻茸と副鼻腔炎にはこのような関係があるのですが、いろいろと調べていくうちに鼻茸の日帰り手術という治療法があることを知りました。これは副鼻腔炎を完治させるのではなく鼻茸だけを取り除く手術です。そのやり方は、部分麻酔をしてレーザーで鼻茸を焼き切る方法です。要する時間は10分から20分くらいで、しかも次に病院に行くのは2週間後でいいようでした。ですから、本当の意味での日帰り手術ということになります。
 ただし、この手術の短所は数年するとまた鼻茸ができることです。その理由は、根本的原因である副鼻腔炎が完治していないからです。
 結局、鼻水吸引機で鼻呼吸が少し改善したとはいえ「物足りなさ」を感じていた僕は悩んだ末にこの手術を受けることを決断しました。調べていく過程で知ったことですが、実は副鼻腔炎を完治する手術を受けても鼻茸ができることがあるそうです。そうであるならば鼻茸だけを取り除く手術と大差ないように思えたからです。
 その手術を行ったのが約2週間前ですが、その後の経過はとても良好で鼻づまりは完璧に解消されています。そしてさらにうれしいことは臭覚がときどきですが回復することです。まだ常に臭覚が戻ったわけではありませんが、少しずつでも臭いを感じることがあるのはとてもよい兆候だと思っています。
 今週は鼻茸にまつわることについていろいろと書いてきましたが、今週の題名を覚えているでしょうか。今週の題名は「スマホデビュー」でした。なのにスマホにたどり着く前の鼻茸の段階で今週のコラムが終わるページ数になってしました。
 一応、いい訳をしておきますと、スマホを購入する決断をしたきっかけは手術をした診療所の予約システムが関係しています。しかし、それについて書く前に今週のページ数が尽きてしまいました。「スマホデビュー」について期待していた皆さん、申し訳ございません。
 というわけで来週こそ本題である「スマホデビュー」について書きますのでそれまでお待ちくださいますようお願いいたします。
 コラムの最後に書くのもなんですが、今週の題名は「鼻茸」とすることにしました。
 じゃ、また。




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