<見せ球>

pressココロ上




 マスコミでの扱いは大きくはありませんが、選挙権の年齢が18才に引き下げられそうです。世界では18才が一般的のようですので与野党の対立もないままに今国会で決まる模様です。
 僕はこの記事を読んだとき、正直なところ違和感がありました。ここ数年の投票率をみますと、20代の投票率は高くありません。これは若者が政治に関心を持っていないことの表れですが、さらに年齢が低い若者に選挙権に与えても意味があるとは思えないからです。このように言っては若い人から顰蹙を買いそうですが、なにを隠そうこの僕自身も若い頃には政治にあまり関心がありませんでした。
 「全くない」こともありませんでしたが、やはりどこか他人事のように考えていました。僕の周りの友人たちもそんな感じでしたので、たぶんほとんどの人がそうだったはずです。こうした傾向は現在の投票率をみますと、ほとんど変わっていないと思います。もしかすると、僕が若者だった時代よりも関心が薄れているかもしれません。
 こうした状況の中で選挙権年齢を下げることに意味があるとは思えません。確かに世界的にみますと、選挙権の年齢は18才が一般的となっています。しかし、それが正しいかどうかは別です。単に、世界に合わせるだけの理由であるなら意味がありません。大切なのは、国家を正しい方向へ導く政治家を選ぶことができる社会環境や状況になっているかどうかです。
 そして、そのような社会環境にするためには教育と経済が大切です。教育は子供たちが正しい判断を行えるようにするためにとても重要です。また、人は人間的な生活を営めて初めて政治に関心を持つことができます。明日の食べ物がないときに政治のことなど考えている余裕はありません。
 現在、日本の舵を握っているのは安倍首相ですが、やはり「2回目」という経験は伊達ではないという印象を持ちます。それが最も表れているのはバランス感覚ですが、その微妙さは経験によって培われたものと想像します。
 実は、僕は日本人がテロで殺害されたときに安倍首相が退陣に追い込まれる可能性も考えていました。しかし、見事に乗り切ったといえる印象です。ブレない強さというものを感じました。
 多くの人が感じていることでしょうが、安倍首相が最もやりたいことは憲法改正のはずです。しかし、今国会の施政演説では憲法改正についてはあまり触れていないようです。このあたりに絶妙なバランス感覚を感じます。
 先週の株価は7年ぶりに高値をつけました。高卒の内定率も高い状態になっています。企業の倒産件数も減っています。僕は全く実感していませんが、もしかしたら今は好景気なのかもしれません。
 安倍さんの予算委員会での野党とのやり取りを見ていますと、ときには開き直りともいえる発言もしています。そうした発言を聞いていますと、やはり小泉首相を思い出します。自衛隊を派遣する際に「安全な地域」という条件について、野党から「安全な地域」を問いただされたとき「自衛隊が行くところが安全な地域」と言い放ったのは、僕の中では語り草になっています。
 安倍首相は1度目の首相の経験を見事に生かしています。今回の登場は「満を持して」という表現がぴったり当てはまっています。ときには強気に、そしてときにははぐらかし、さらに国民の関心を核心から逸らす方便を見につけています。安倍さんが経済について語っている姿は僕には見せ球のように感じます。見せ玉に関心を集めておいて本来の核心をスチールさせようとしているように思います。
 先週金曜のマスコミはこぞって中国の春節に合わせて来日した中国人の方々の「爆買」を報じていました。日本に観光に来て手当たり次第に高価な買い物をするそうです。海外から外国人がやってきてお金を落としてくれることは日本にとってはうれしいことです。好景気に一役買っていることは間違いありません。
 春闘も昨年に続き、労働側に配慮した結果になりそうです。経済の面では全体的によい方向に進んでいます。しかし、そうしたときこそ注意深く政権の姿勢に敏感である必要があります。
 もし、本当に自衛隊が海外で活躍する必要性があるなら、正々堂々と真正面から議論に持ち込むべきです。間違ってもスチールのような形で進めてはほしくありません。僕が、一番心配しているのは将来の徴兵制なのですね。
 上司の命令に逆らえないような組織に強制的に入らされるような状況にならないことを願っています。
 じゃ、また。




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする