<ハローワークとブラック企業>

pressココロ上




 スマップ騒動もとりあえずは存続という方向で一応収束して「いやぁよかったよかった」です。僕もスマップの謝罪会見をリアルタイムで見ましたが、5人が緊張している様子が伝わってきました。マスコミはそのときの映像からいろいろな穿った見方を報じていますが、そのような見方はいくらでもできますので真相はわからないというのが実際のところです。ただわかっているのは「解散しない」ということだけです。
 もちろん「未来永劫解散しない」はずはありませんが、今回の騒動はSMAPが国民的なグループになっていることを証明しました。なにしろ昔のCDがオリコンで1位を取ったのですから人気の根強さがわかります。ここまでになりますと、SMAPの5人はSMAPでいることの責任を持つ必要があるように思います。これはかなり酷なことですが、スターであることを仕事にしている人の義務といえるかもしれません。
 このように仕事というのは責任や義務が伴いますが、その重さは賃金に比例している必要があります。正しいかどうかはわかりませんが、僕はそう考えています。しかし、世の中は段々と僕の考えとは反対の方向に行っているようで僕は納得がいかない気持ちになります。
 先週のニュースにブラック企業で働いていた青年が自殺した事件がありました。遺族がその企業と求人を紹介していたハローワークを相手どり損害賠償を求めた事件です。以前から指摘されていましたが、ハローワークにはブラック企業の求人も載っています。なんとなくの感覚ですが、一般の人は「ハローワークが紹介している」ということでその企業に対して健全性や安心感を持つ傾向があります。しかし、実態は全く違います。
 ハローワークには「求人の申し込みはすべて受理しなければならない」という法律上の規定があるそうです。ですから、どんなにひどいブラック企業でもハローワークで求人をすることが可能です。一般の人が持つ感覚とは反対の状況になっていますが、これでは求職者が被害を被ることになります。
 このような求職者に不利な状況を改善すべく今国会でブラック企業をハローワークから排除する法案が提出されるそうです。もし、成立するなら一般の人がハローワークに期待している役割を果たす公共機関になります。是非とも成立することを願っています。
 僕は基本的に自営業ですので余った時間にアルバイトをすることはよくあります。そして、アルバイトで働くメリットは融通が利くことです。融通とは「会社に身も心も捧げなくていい」という意味です。言い換えるなら会社に対する忠誠心の縛りが強くなくまた責任も義務も重くないことです。さらに付け加えるならあくまで副業という位置づけが許されていることです。これはつまり納得できない労働環境だったならすぐに退職することが容易であることを意味しています。これはとても大切です。
 こんな僕でも曲がりなりにも経営者として従業員を雇用した時期があります。ですので雇用することの大変さを身をもって体験しています。ですから、人件費を抑えるためにいろいろと工夫することの必要性または重要性が理解できます。きれいごとだけでは済まない経営者の気持ちも十分わかります。
 ですが、アルバイトと社員における仕事の質の重さはきちんと区別しておくことは必要だと考えています。ところが、時代の変化に伴いアルバイトに社員と同じくらいの仕事の質の重さを押し付けている傾向があります。
 アルバイトに社員と同じような業務をやらせるのは昔風の言葉でいうなら労働強化です。わかりやすくいいますと、低い賃金で重要で大変な仕事をさせることです。このようなことがまかり通る世の中になっています。これは労働者に不利益を押し付けていることにほかなりません。決して公平な社会とはいえず、変えていく必要があります。
 先に書きましたように、アルバイトは退職するのは簡単ですが社員の身分ですとそうではありません。ある程度会社に対する責任と義務が生じてくるからです。その分の賃金をアルバイトよりも多く支払っていることになっていますので自分の都合だけで辞めることもできない状況になっているのが普通です。ブラック企業はそこを巧みについてきます。
 昨年だったと思いますが、XJAPANのTOSHIさんが新興宗教にマインドコントロールされた事件がありました。第三者から見ますと不思議ですが、マインドコントロールされた当人は「自分がコントロールされている」自覚がありません。そうでなければTOSHIさんも何億円というお金をむしりとられることもなかったでしょう。マインドコントロールは本当に恐ろしいものです。
 僕はブラック企業にも新興宗教ほどではありませんが、似たようなシステムがあると思っています。しかも、残って働いている人たちはそうしたシステムの加害者になっている自覚がありません。これが今の日本の企業の最も悪い点です。
 ブラック企業は世の中から淘汰されるのが理想ですが、現実にはブラック企業と普通の企業の境目に位置する企業が溢れています。このような状況で、大切になってくるのが今現在境目にある企業で働いている従業員の意識です。従業員の人たちがブラックに対する意識を強く持つことでブラック企業を普通の企業に押し上げることができます。
 例えば、退職を簡単に認めなかったりサービス残業が常態化していたり休日出勤を強要したりなどですが、このようなブラック環境は従業員が一丸となって是正するよう努力することが必要です。それをせず、許容しているなら従業員の人たちもブラックの共犯者といえます。
 昨年末に居酒屋チェーンのワタミが女性従業員の自殺に対して企業の責任を認めるニュースがありました。この事件について、僕は企業の責任とともに周りの従業員や上司の責任も考える必要があると思っています。週刊誌報道によりますと、創業者の本の購入を半ば強制していたようですが、僕からしますとブラックの象徴と感じるような風潮を受け入れていたことが不思議です。ブラック企業にはブラックを許容する従業員がいることも大きな問題です
 中には、ブラックを受け入れることが出世につながると考えている人もいるかもしれません。しかし、それは間違いです。そのような企業が成長を続けられないことは現在のワタミの現状が証明しています。
 僕が就職または転職に向き合っている若い人たちに心してほしいと思うのはブラック企業だと感じたときにすぐに対処する行動力です。それは抗議でもいいですし、退職でも構いません。宗教でもそうですが、関わる時間が長くなればなるほどその企業や組織または集団から離れるのが困難になります。おかしいと思ったときはすぐに行動に移すのが肝です。
 例えば、求人票に週休二日と記載されていたにも関わらず週休一日だったり、残業時間が月間10時間程度と記載されていたにも関わらず50時間を越えたり、など求人票と実態がかけ離れていたならどんな理由があるにせよ、そのような企業が従業員を大切にしないことは明白です。そのような企業に長年勤めてもいいことはないと考えるべきです。
 人生の中で最も多く時間を過ごすのは仕事です。そうであるからこそ仕事を選ぶ際は自分が納得できる職場を選ぶことが大切です。
 じゃ、また。




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