最近のテレビCMで僕が最も好感しているのはamazonプライムのCMです。リビングで両親と一緒に戯れている赤ちゃんがライオンのぬいぐるみに興味を示しているのに対抗して、仲間に加わろうと被り物をして登場するゴールデンレトリバーの表情がとても微笑ましく感じます。ワンちゃんが演技をするとは思えませんが、立派に気持ちを伝えています。CMプランナーの才覚の素晴らしさを思わずにはいられません。
しかし、僕がこのCMで一番興味を持ったのはゴールデンレトリバーの表情ではなく若いお父さんの顔なのです。あのお父さんの顔がこのCMを「成り立たせている」とまで思っています。このCMからは家族の和やかな雰囲気が伝わってきますが、それを可能にしているは紛れもなくあのお父さんの顔です。
僕はこのCMを見るたびにお父さんの顔に感心していたのですが、自分でもその理由がわからずにいました。
…これだけCMに溶け込んでいるのはなぜだろう…
そんな気持ちでいたある日、そのCMを見ていた時です。お父さんがゴールデンレトリバーとアイコンタクトを取るように正面の顔がアップになる場面があります。その顔を見て「あっ！」と気づいたのです。
…ああ、そうだったのか…
テレビ業界にはサブリミナル効果というものがあります。サブリミナル効果とは「意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のこと」（ウィキペディアより引用）ですが、僕が知ったのは1995年にオウム真理教の事件があったときです。
具体的なやり方は、知覚できない程度の速さや音量の映像・音声等を繰り返し挿入するのですが、無意識の中で記憶に刷り込むことができるわけですから悪徳宗教などが悪用することも可能です。ですからテレビ業界は番組放送基準でサブリミナル的表現方法を禁止しています。
僕はこのお父さんの顔にもサブリミナル効果と似たようなものがあるのかな、とさえ思っていました。しかし、あの日お父さんのアップの顔を見て合点がいったのです。
…あのお父さんの顔はゴールデンレトリバーに似ている…
あのCMから暖かい雰囲気が伝わってくるのはお父さんがゴールデンレトリバーと心が通じ合っているからです。そして、それを伝えるために必要だったのはゴールデンレトリバーに似たお父さんの顔だったのです。
もちろんこれは偶然ではありません。CMを作った人はゴールデンレトリバーのような顔だちの人を探して起用したはずです。それくらいCMプランナーの人たちは意識高い系の人たちです。たかがひとりの配役を決めるだけのことでも作品を高めるためには根拠があります。「なんとなく」はありません。
中高年以上の方は覚えているでしょうが、1990年代中ごろに日清焼きそばUFOのテレビCMが注目を集めました。当時イケメンの代表であったマイケル富岡さんが戦隊ヒーローのパロディの恰好をして悪者をやっつけるCMです。その出で立ちは頭上にUFOの容器を乗せベルトのバックルもUFOの容器の形、派手なスーツの胸にはUFOのロゴが書いてありました。「ソースビーム」「青のりフラッシュ」「青のりタイフーン」「あげ玉ボンバー」が必殺技です。完全にお笑いの世界ですが、よくぞイケメンモデルのマイケルさんがこの仕事を受けたものだと思っていました。
それと同時に、CMプランナーが完全にお笑いのCMにも関わらずイケメン代表のマイケルさんを起用したことが不思議でした。普通に考えるならお笑い芸人か3枚目の男優がふさわしそうな役柄です。それが、よりによってイケメンの代表であるマイケルさんでした。
後日、知ったのですがやはりちゃんとした根拠がありました。それはソース焼きそばの「ソース」です。
イケメンには2種類の系統があります。ひとつはしょうゆ顔であとひとつはソース顔です。そして、日本一のソース焼きそばを謳っている日清焼きそばUFOですから日本で一番のソース顔を起用する必要があったのです。そして当時の一番のソース顔がマイケルさんだったわけです。たかが焼きそばのCMですが、配役を決めるにも根拠があります。「なんとなく」はありません。
小池知事が築地市場移転問題で移転先である豊洲市場の瑕疵を発表しました。小池知事は移転延期を決断しましたが、表立ってはまだ発表できない問題点を把握していそうな感じがします。小池知事の決断にもきちんとした根拠があるのは間違いのないところでしょう。そうでなければすでに豊洲市場が完成しスケジュールも決まっている中で移転延期という重い決断をできるはずはありません。しかし、議会との闘いはまだ始まったばかります。議会側からの反発が表立って出てこないのが不気味といえば不気味です。
それにしてもSMAPの解散にもきちんとした根拠があるのかぁ。もし「なんとなく」だったらあまりに悲しい。SMAPは、ファンにとっては世界に一つだけの花で夜空ノムコウで輝いているらいおんハートを持っている存在なのだから。
じゃ、また。