<たまむすび>

pressココロ上




 僕はTBSラジオの平日午後にやっている「赤江珠緒 たまむすび」という番組をよく聴いています。コロッケ屋さんをやっていたときは午後の休憩中に小島慶子さんの「キラキラ」という番組を聴いていました。それからしばらくはその時間帯にラジオを聴くことができなかったのですが、去年の後半あたりからまた聴けるようになりました。
 おそらくラジオというのはそれぞれの育つ環境の中でチャンネルが固定化されていくのではないか、と思っています。僕の場合は記憶がある段階ですでになぜかTBSラジオでした。理由は全く定かではありませんが、気がついたときはTBSラジオに浸りきっていました。
 僕が子供の頃はまだカセット全盛時代ですが、以前なにかのきっかけで昔録音したテープを聞くことがありました。そのテープには昔の歌が録音されていたのですが、それらの歌はすべてラジオ番組から録ったものでした。しかも、曲の中には必ずと言っていいほどアナウンサーが曲紹介をする言葉が入っていました。
 一節には、曲の前に紹介の声が入るのは「きれいに録音させないため」というレコード会社の思惑があったからと言われていました。デジタル全盛の今から考えますと冗談としか思えないような理由ですが、レコード会社はラジオから歌を録音されることにさえ神経質になっていたことになります。
 僕が中学生時代に聞いていたのは土曜の午後にやっていたランキング形式の歌番組でした。おいらの中で最も記憶に残っている歌は「もんた&ブラザーズ」の「ダンシング・オールナイト」です。
 それはともかく昨年後半からラジオを聴くようになったときにやっていた番組は「たまむすび」という番組です。小島さんの「キラキラ」はいろいろと騒動があっておしまいになったようですのでその「あと番組」をやるのは勇気が必要だったのではないかと想像していました。
 小島さんについて少し書きますと、僕の中では「キラキラ」は女子アナと呼ばれる若い女性ではなく、30代女性の魅力が出たことで小島さんがブレイクしたように思っていました。日替わりでパートナーが変わりそれぞれが持つ個性とのやり取りに面白さや楽しさを感じていました。
 しかし、その個性がいつの間にか「我」になっていたように思います。本人は自分の素を出すことや「出る杭」になることが自分の魅力と思っていたのかもしれませんが、僕からしますとバランス感覚がずれ始めていたように思います。真相はどうかわかりませんが、どちらにしても終了したのですから、制作する側から好ましく思われていなかったのは確かでしょう。
 そのあとを受けての「赤江珠緒 たまむすび」でしたから、それなりのプレッシャーはあったと思います。私がきちんと聴き始めたのはここ半年ばかりでしたが赤江さんの魅力が全開していた番組のように感じていました。
 あとから気がついたことですが、実は僕は赤江さんを10年ほど前にテレビ見ていました。それはテレビ朝日の「サンデープロジェクト」という番組でした。ご存知のとおりこの番組は田原総一郎さんがメイン司会を務めていた番組ですが、田原さんのパートナーを務めていた女性アナウンサーが出産かなにかでお休みをしたときに代わりに出演していたのでした。
 なぜ記憶に残っていたかといいますと、進行をとてもてきぱきとスムーズにこなしていたからです。田原さんも同感だったようで、番組の終了間際に「君、とてもいいね!」と話しかけていました。のちに正式に起用されています。
 赤江さんはその後も多方面で活躍するのですが、「やはり魅力のある人」は誰からも輝いて見えるのでしょう。木曜のパートナーを務めていたピエール滝さんが面白い表現をしていまして「赤江珠緒 たまむすび」という番組を「僕らは、赤江丸という船に乗っている」と話していました。
 赤江さんの「たまむすび」のパートナーは月曜日から木曜日までカンニング竹山、山里亮太、博多大吉、ピエール滝さんたちでしたが、ラジオを聴いていて赤江さんが最も好きだったのはピエール滝さんだと思います。やっぱり声のトーンといいますか質が違っていました。人間って声だけでもどこかに本音が出るものですね。
 その赤江さんが番組を去るのは妊娠をしたからです。これもよくあることですが、僕が赤江さんの素晴らしさを感じたのは「休む」のではなく「降板」を選択したからです。人間という生き物は悲しい性があり、一度華やかな世界を経験してしまうと未練がどうしても残ってしまいます。ですから「休む」という選択肢もあったはず、実際に番組の側からは「休む」を望まれたそうです。その状況の中で敢えて「降板」を選ぶ心持が偉いではないですか!
 もしかしたなら将来芸能界に戻ることもあるかもしれませんが、おそらくそれはお子さんがある程度大きくなって生活に余裕ができたときだと思います。赤江さんは家族を一番に考えて生きていくのではないでしょうか。繰り返しますが、一度華やかな世界を経験した人はその世界に対して未練がある人のほうが圧倒的に多いのです。言葉を変えるなら、「母親でいるよりも女でいるほうが気分的に楽しい」のです。その中での赤江さんの決断は素晴らしいことだと思います。
 そんなことを頭で考えながら歯医者さんの椅子に座っていました。僕は先週、新しい入れ歯を入れたのでした。僕はおそらく歯周病というヤツです。若い頃に歯を磨かなかったことの災いですので自業自得ですが、歯がどんどんなくなっていきます。
 なくなり始めた当初は部分入れ歯でも本数が少なったのであまり気にならないものです。しかし、部分入れ歯の欠点は入れ歯を支えている歯に負担がかかることです。今度はその支えていた歯が負担に耐え切れなくなりグラついてきます。そして最後には抜けてしまいます。そうした流れの連鎖により次々と歯が失われることになります。僕もそれほど遠くない将来に総入れ歯になるのでしょうか。齢を重ねるということはいろんなものを失うことだと実感しています。
 安倍首相の周りもグラグラしてきましたが、いつか倒れるのかなぁ。
 じゃ、また。




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