<Chat GPTとGemini>

pressココロ上




僕はこれまでに幾度か武田砂鉄さんというライターをこのコラムで取り上げています。この方の物事に対する視点に共感することが多いからです。この方を知ったきっかけは、デビュー作『紋切型社会』が「第25回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞」を受賞していたことでした。たまたま本屋さんで見かけてパラパラと読んでみたところ、面白そうだったので購入しました。

あとで知ったのですが、この「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」というのは、ある著名な個人が「自分の好み」で受賞者を決める賞だそうです。変わっていますよね。普通は複数人で合議をして決めるものです。芥川賞や直木賞のような有名な賞は、それなりの人たちが複数人集まって受賞者を決めています。それをたった一人で決めるなんて、その選定方法もなかなかユニークです。

その武田さんは、TBSラジオで「武田砂鉄のプレ金ナイト」という番組のパーソナリティーを務めています。放送時間の都合でリアルタイムには聴けないので、毎週妻とドライブする日の帰りの車の中で聴いています。僕は「宮藤さんに言っても仕方ないんですけど」というラジオ番組もこのコラムで取り上げることがありますが、僕の中では「宮藤さんに…」のほうが一番です。

それはともかく、先日「武田砂鉄のプレ金ナイト」を聴いていたところ、僕が普段悩んでいることと同じ悩みについて武田さんが話していました。それは、発信する内容の重複です。前にも書きましたが、僕はコラムを書く際に、内容が重複しないよう検索をかけます。同じような話を続けていてはコラムとしての魅力も薄れますし、何より数少ない読者さんに嫌われてしまいます。

武田さんほどのプロでも同じ悩みを持っているようで、武田さんによると、「パソコンに入っているコラムすべて」で検索をかけるそうです。そのほか、武田さんの場合は担当の編集者がついていますので、その方のチェックも入るそうです。ですので、ある程度の重複は避けられるそうですが、それでも重複に対する不安はつきまとうそうです。

その武田さんが、文章家のある先輩に「内容が重複することへの不安」について尋ねたときの回答を話していました。その先輩は、「そういうときは、『前にも書いたことがあるかもしれないけど…』と前置きをしておけばいいんだよ」と教えてくれたそうです。僕も先ほど使いましたが、それを聴いて、お墨付きをもらったような気がして悩みがなくなりました。
(^_-)-☆

実は、本日のコラムは「世界と地方」を主題に書こうと思っていました。そこで検索をかけたところ、これまでにも幾度か書いていたことがわかったので、それはやめにしました。簡単に書きますと、意識高い系の人たちは「世界を目指せ!」と若い人たちに発破をかけますが、「みんなが世界を目指したら、地元に人がいなくなるじゃん!」という内容です。地元で活躍する人がいてこその「世界」です。そうした視点も必要ですよね。――と書きたかったのですが、似たようなことを数年前から書いていました。僕って進歩がないですね。
(-_-;)

僕はコラムを「Chat GPT」に校正してもらっているのですが、数回ほど「Gemini」にお願いしたことがあります。理由は、課金するツールを「Chat GPT」から「Gemini」に変更したからです。一般庶民の僕が二つも課金するのは、やはり躊躇するものがあります。変更した理由は「漫画力」と「金額」です。特に「金額」は大きな理由で、「Chat GPT」は円安の影響を大きく受けます。1か月20ドルですが、1ドル=150円ですと3,000円、1ドル=160円になりますと3,200円です。これに消費税もかかりますので、それなりの出費になります。

「Gemini」は円安の影響を受けません。理由は、「円建てでの固定価格制」を採用しているからです。これも大きいのですが、実は最初に「Gemini」への移行を考えたきっかけは「漫画力」にありました。僕は最近『本当の嘘』という名作(?)をAmazonで出版しましたが、それはほとんど「Gemini」で作成しました。「Chat GPT」では、どうしても思うようなイラストができなかったからです。

生成AIで作画を経験した人はわかると思いますが、生成AIは「キャラを統一させる」のが苦手です。最初に利用した生成AIは「Chat GPT」でした。当初こそ「こんな素晴らしい漫画ができるなんて!」と感動していましたが、何枚も描いてもらううちに、不満のほうが強くなっていきました。次第に似ていないイラストが作られる回数が多くなり、しまいにはまったく関係のないイラストが作成されるようになります。そこまでいってしまいますと、僕としても「イライラ」してくるのです。これは本当に経験している人でないとわからないと思うのですが、「イライラ」が過ぎると「怒り」さえ湧いてくることもあるのです(笑)。僕は、まだまだ未熟者です。

そうしたイライラや怒りを感じながら「Chat GPT」でイラストを描いていたある日、「Nano Banana」という生成AIの作画能力の高さが耳に入ってきました。その作画能力は「半端ではない」らしく、僕の怒りの根源である「キャラの統一」も何の苦もなく成し遂げてくれるとのことでした。僕が興味を持たないはずもありません。

「Nano Banana」は「Gemini」が提供している生成AIでした。なので、僕は価格も安くなり、作画能力も高まり、「言うことなし」のはずでした。ところが、人生というのは本当に簡単なものではありません。「作画能力の高さ」と「キャラの統一」が魅力であるはずの「Gemini」なのですが、実際に使ってみると、そうでもありませんでした。結局は「Chat GPT」と同様、幾度も作画を繰り返しながら、求めるイラストを作ることになっています。ですが、価格が安いという魅力は変わりませんので、もう少し使ってみようと思っています。

現在、作画には「Gemini」を使っていますが、文章の校正には「Chat GPT」を利用しています。理由は至極シンプルで、「校正力」は「Chat GPT」のほうが上だと思うからです。一度、試したことがあります。同じコラムを両方に送って、どのように校正するかを比べてみました。その結果、「Chat GPT」のほうが優れているように感じました。まぁ、これは感覚ですから、人によって感じ方は違うかもしれませんが、ちょっとした言葉のつなぎ方や入れ替えは、「Chat GPT」のほうが勝っているように思いました。

最近は生成AIに代替される仕事が注目されていますが、事務的なことを除くなら、代替される仕事は限られるのではないでしょうか。特に「創造する」ことが求められる職種では、使い物にならない感じがしています。その理由は、生成AIはあくまで過去の情報の集大成でしかないからです。集大成というと少し大仰な印象がありますが、要は「寄せ集め」です。過去の情報を寄せ集めても、新しいものを作ることはできません。「創造」が新しいものであることは言うまでもありません。

『本当の嘘』を書き終わったあと、また新しい漫画を作り始めているのですが、「これまでよりも効率化したい」と思い、やり方を変えてみようと試みました。作画にあまりにも時間がかかるのが嫌だったのです。これまでは、例えば「こういうポーズをしている画像を描いて」とリクエストするやり方でした。ですが、このやり方では思うようなイラストを作るのにかなりの時間を要していました。たまにほんの数分でできることもありましたが、そんなケースはまれで、全体的には効率の悪いやり方でした。僕が頭の中で思い描いているイラストを描いてもらうのは、本当に大変だったのです。

そこで新たな方法を試みようということで、原作を文章のまま「Gemini」に丸投げして、「これを漫画化して」とリクエストしてみました。すると、「Gemini」は困惑したり拒否したりするかと思いきや、なんとどこかうれしそうな返答をしてきました。「Gemini」が言うには、「原作を基に自分がネームを作り、それをあなたに見せて、お互いに納得したうえで作画に入る方式にしましょう」と提案してきました。これ、すごいですよね!

その後、「Gemini」からネームが送られてきたのですが、そこであることが判明しました。「Gemini」は文章を読むことには長けています。なにしろ3千~4千文字を一瞬で校正してくるのですから。しかし、内容を理解することには難点があるのです。極端な例を挙げますと、悔しさを表す意味で「右手を握った」と文章に書いてあった場合、「Gemini」は単純に「右手を握る」だけのネームを書いてくるのです。全体の流れから「人の心の機微」をくみ取る能力に欠けているようです。

ということで、現在はまたこれまでのやり方に戻って作画を行っています。先日、NHKの番組で「生成AIをどれだけ利用しているか」のアンケート結果を紹介していました。若い人から年配の方まで、多くの人が利用しているようです。ニュースでも話題になりましたが、ジャイアンツ・阿部監督の娘さんが真っ先に相談した相手が「Chat GPT」だったことも注目を集めました。そこまで浸透しているのかと驚きましたが、あくまで生成AIはツールです。相談相手にはふさわしくないはずです。ツールは利用する人の使い方次第で、良いものにも悪いものにもなることは肝に銘じておきたいものです。

あ、そうそう。このコラムを今から「Chat GPT」に校正してもらうんだけど、大丈夫かな。

じゃ、また。




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