「義母と娘のブルース」

pressココロ上




普段テレビを見ない僕が面白いテレビドラマと出会うのは年末年始と決まっています。「決まっています」の理由は、年末年始はいつもと違う番組編成になっているからです。その関連でたまたま「ちょっと見」をすることになり、そのときに面白いと一気にはまるというパターンです。

大分前ですが、『JIN-仁-』という番組もそうした流れで「面白い」と思い、はまりました。昨年同じような経緯ではまったのが「義母と娘のブルース」というドラマです。年末に全話が再放送されていたのですが、僕が見たのは真ん中くらいからでしょうか。とにかくとても面白かったのです。僕が「面白い」と感じたきっかけは、ストーリー展開もありますが、それよりも主人公・亜希子さん(綾瀬はるか)さんのコンサルタントとしての分析と解決策が的確だったことです。

ドラマでは「パン屋さん」を成功へ導くべくコンサルタントとして解決策を提示するのですが、それらが悉く的を得ていました。一見すると当然のことのように思えるかもしれませが、飲食業の失敗談を公開している僕からしますと、これは簡単なことではありません。

ネットの情報を見ていますと、「お店の成功」への解決策となるような意見を多数見ることがあります。ですが、その多くは表面的ないかにもありそうな提案に過ぎないことがほとんどです。そうした中で、このドラマにおける改善策は本質を突いた具体的な策と思えました。僕はそこに感動しました。

そのほかには、僕が気になっていた二人が出演していたのもはまるきっかけになりました。その二人とは上白石萌歌さんと井之脇海さんです。憶えている方も多いでしょうが、このお二人はお茶のCMでも共演しています。そのCMでは、上白石さんが「HYさんの“366日”」を歌っていて、そこに井之脇さんが帰ってくる設定になっています。決してイケメンではないところが井之脇さんの魅力です。

そして僕は年末に「義母と娘のブルース」を見ることになったのですが、そのときに初めてお茶のCMの二人が、実はこのドラマで共演していたことを知りました。このドラマがあってのお茶のCMの二人だったのですね。これほど素朴で純粋な二人を描いたドラマ( CMというにはあまりにレベルが高すぎ)はないと思っていますが、あのドラマを見てこの二人をこのCMに起用した広告会社の方々のセンスには感動です。

、、、と思って念のため調べたところ、全くの逆だったのでした。逆とは、CMでの共演のほうが先だったのです。「ぎぼむす」での共演はこのCMを見ての実現だったようです。そうなりますと余計に、このお二人をCMに起用した広告会社の人の眼力の脱帽です。

そして、今回調べてまたまた驚いたことがあります。それは、はじまった当初の「ぎぼむす」では、良一さん(竹野内豊)さんも生きて登場していたことでした。僕が見はじめたときは既に他界しており、その後の亜希子さん(綾瀬はるか)の生きざまが物語の中心になっていました。僕はドラマの最初から「良一さん」は亡くなっている設定だと勝手に思い込んでいました。

このドラマをリアルタイムで見ていた方からしますと「なにを今さら」と思うかもしれませんが、僕はこのドラマの原作が「4コマ漫画」ということも知りませんでした。「4コマ」ということを知りますと、尚更このドラマでの「飲食業コンサル」の凄さに驚嘆せずにいられません。つまり、このドラマにおける亜希子さんの「飲食業コンサル能力」は原作者ではなく脚本家の力量によるものということになります。

そこで脚本を担当している方を調べますと、森下佳子さんという『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』『JIN-仁-』『わたしを離さないで』(すべてTBS系)と数々の名作を生み出している方でした。この中で僕が見たことがあるのは『JIN-仁-』だけですが、それだけでその才能の素晴らしさを想像することができます。

脚本の才能がある方がドラマのストーリー展開に秀でているのは、容易に想像できるとして、「飲食業のコンサルタント」を的確に描くのはやはり並大抵の慧眼力ではできない芸当です。ネットを見ていましても、上っ面の情報のほうが圧倒的に多いですし、そもそも「どれが核心か」を見抜く経営的な知見が必要です。

以前書いたことがありますが、僕は7~8年前あるテレビ局から電話取材を受けたことがあります。それはそのテレビ局で「飲食業の失敗談」の特集番組を制作するからでした。当時、「脱サラ ラーメン」で検索をかけますと、僕のサイトは必ず上位5に入っていました。その関連で問い合わせがあったのですが、最初は顔出しでのインタビューも依頼されましたが、さすがにそれはお断りしたところ、電話取材となったわけです。

放映された番組を見ましたが、いろいろな業種の「失敗したケース」を紹介する内容になっていました。しかし、経営的に核心を突いたものではなく、バラエティー的に面白おかしくまたは極端なケースが多く、かなりゆがめられた内容という印象を持ちました。

こうしたことはテレビ業界に限ったことではなく、ネット界隈においても本当に核心を伝えている情報は少ないのが実際のところです。そうした状況の中で「ぎぼむす」の亜希子さんが的確なアドバイスをしていることが不思議でなりませんでした。おそらく脚本を書いた森下佳子さんはかなり飲食業やコンサルタント業界について下調べをしたのではないでしょうか。そうでなければできない「パン屋さんの改善提案」でした。

今回「ぎぼむす」について書きましたが、そのきっかけはたまたま昨日 YouTube で昔のドラマ「ロングバケーション」を見たからです。 YouTube には「おすすめ機能」がありますが、僕が普段見ている傾向から分析して「ロングバケーション」を紹介してくれたようです。そこでお昼ご飯を食べながら、最終回を妻と二人で仲良く(?)見たのですが、倦怠期の夫婦でも昔のドラマを見ますと会話も弾むものです。\(^o^)/

あの当時は次回が楽しみになるドラマが目白押しでした。「あすなろ白書」「ふぞろいのリンゴたち」、視聴率はイマイチでしたが「青が散る」などなど…。僕はいわゆるトレンディードラマはタイプではありませんでしたので見ませんでしたが、心に突き刺さるドラマがたくさんあったように思います。

それが最近のドラマときたら…、などと批判するつもりは毛頭ありませんが、やはり盛り上がりに欠けるのはあるように思います。もちろん昔に比べますとツイッターやインスタなど時間を過ごす媒体が増えたこともありますが、ドラマを作る側にも問題があるように思います。例えば、人気のタレントを出演させれば事足りる、とかヒットした外国ドラマのリメイクに走るとか、ヒットした漫画をドラマ化するなどです。

「ぎぼむす」を見ればわかるように、単にヒットした漫画をドラマ化すれば視聴率をとれると考えるのは間違いです。やはり、ドラマとして視聴者の心を感動させる、捉えるような作品にしませんと、視聴者はすぐに離れていきます。なにしろ時間を過ごす媒体はSNS以外にもamazonプライムとかネットフリックスなど、以前では出かけなければ見られなかった作品を家の中にいて見ることができます。

そんな中でも視聴者に支持されるようなドラマを作るのは並大抵のことではないはずです。しかし、テレビがメディアの真ん中にいるのはまだまだ続くのではないか、と思っています。是非ともこれからも、テレビドラマ製作の方々は頑張ってほしいと思っています。だって、無料ですから。(^_-)-☆

「ぎぼむす」を見ていましたら、これからのメディアについても考えさせられた今年の僕でした。

じゃ、また。




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