<引退した選手とyoutube>

pressココロ上




先週のビッグニュースといいますと、やはりサッカー日本代表チームがワールドカップでドイツを破ったことでしょう。明るいニュースに飢えているテレビ界にとってはこれ以上ない朗報だったと思います。なにしろストーリーが好きなテレビですので、活躍した選手が代表に選ばれるまでの背景や幼少時から学生時代までの友人・知人などの登場が目白押しでした。僕的には、そこまで放送しなくてもいいのに…、と思っていましたが。

それはともかく同点弾を決めた堂安選手、勝ち越し弾を決めた浅野選手の喜ぶ姿からは見ているこちらにも興奮が伝わってきます。特に堂安選手はゴールを決めたあと、抱きついてきた鎌田選手を振り払うほど興奮していましたが、その光景から僕は堂安選手の心の中に溜まっていたうっ憤が見えたように思いました。

僕は試合をリアルでは観ておらず翌朝ニュースで知ったのですが、堂安選手、浅野選手ともに途中出場ということでした。堂安選手はどちらかといいますと「ビッグマウス」的なところがあり、前の日本代表・本田圭佑さんに似ているイメージを持っていました。そうした雰囲気の堂安選手でしたので、おそらく先発メンバーからはずれたことには、心中では不満を持っていたことが容易に想像できます。

ですが、後半途中から出場するときに森安監督に呼ばれた際、グータッチをし監督の指示に強くなんどもうなづいている姿を見て、チームの一員になっている覚悟がわかりました。選手起用に納得していなくとも、それを受け入れチームに貢献するのが選手の務めです。そうでなければチームとして力を発揮することはできません。そうしたことをひっくるめての、あの堂安選手の興奮だったと思います。

浅野選手については、なんといっても一番の素晴らしさは「あのトラップの正確さ」です。あれがすべてと言っても過言ではありません。後方から大きく蹴られたボールを柔らかくトラップすることの難しさは素人の僕でも容易に想像がつきます。あのトラップがあったからこそディフェンスの選手は浅野選手についていけなかったのです。あとからのニュースで知ったのですが、その少し前にドイツのディフェンダー(抜かれた選手とは別の選手)がディフェンスの裏に抜けようとした浅野選手と並走しながら小ばかにするような走り方をしていたそうです。

僕は実際のその映像を見ていませんが、おそらく足の遅さを揶揄したのだろうと思います。ですが、サッカーは足が速いことを競うスポーツではありません。ボールを扱い得点するゲームです。その振る舞いからわかるのは、ドイツの選手たちが日本チームを見下していたことです。そうした傲慢さが心の隙につながったと僕は考えます。どんなスポーツでも、いえいえスポーツに限らずですが「油断、、大敵」です。

僕は時間があるときはテレビ朝日の報道ステーションを見ているのですが、日本の勝利を伝えるスポーツコーナーに先ほど少し触れました本田圭佑さんが解説者として出演していました。本来本田さんは報道ステーションの解説者のレギュラーではないらしいのですが、ワールドカップということで特別に出演していたようです。

その本田さんに関して、数日前ネット上で「AbemaTVでの本田氏のコメント」が話題になっていました。その理由は、本田さんが後輩である選手に対して親しい人以外すべてに「さんづけ」で呼んでいたからです。本田さんは出演のあとに「当然の事」と話していたそうですが、「生意気」とか「ビッグマウス」と揶揄されることが多かった選手だけに意外にも思えました。

その本田さんは報道ステーションに出演中、サングラスをしていたのですが正直「なんで夜中にサングラス?」と思っていました。ほかの出演者とのやりとりをしている間もずっとサングラスはつけたままだったのですが、現地での解説のやりとりがひと段落して東京のスタジオのメインキャスターである大越さんとのやりとりの段になりますと、さりげなくサングラスをはずしたのです。

「礼儀正しさ」を感じずにはいられませんでした。

儒教の教えに染まっていると言ってしまえばそれまでですが、日本人としてはやはり感動してしまいます。感動したのは僕だけではなかったようで、スタジオで大越さんの隣に座っていた徳永キャスターはスポーツコーナーの最後に「本田さんの振る舞いについて」わざわざ話していました。「目上の人に対して心遣いをする人柄」に感動した、という意見に僕も賛成です。…だって、僕も年長の部類に入りますので。 (^o^)

しかし、年をとっていれば誰でも尊敬すべき相手か、というとそうではないことは少し周りを見渡せばすぐにわかります。販売員や店員に怒鳴り散らしている年配者やわがままを言っているお年寄りがいるのも事実です。少し前にも書きましたように、僕は子供の頃おっちょこちょいだったのですが、大人になったら治ると思っていました。しかし、未だおっちょこちょいのままです。同じように、高齢になっても他人に対して傲慢に振る舞う人がいてもおかしくはありません。大切なのは幼少の頃から、というか持って生まれたかもしれませんが、つまりはその人が持って生まれた人間性のようです。

年金制度の関係だと思いますが、企業の定年が伸びています。しかし、役職定年という言葉があるとおり、一定の年齢になりますとお給料が格段に下がるのが実態です。不満を持つビジネスマンもいるでしょうが、ベテラン社員が居座って困るのは若い人たちです。自分の席を譲るのもベテラン社員の務めのように思います。下からどんどん人が上がってくるのですから、上の人たちが退くのは当然です。

これはスポーツの解説者の世界でも同様で、現役時代に活躍した著名な選手たちが引退して続々と解説者の世界に参入してきます。サッカー界を見渡しますと、新しく解説者になった人として先ほどの本田選手のほかに内田篤人さんや中村憲剛さんなどがいますが、その前から解説者として活躍していた先輩の方々もいますので競争が大変です。

どのスポーツ業界にも当てはまりますが、解説者として座れる席は限られています。メディアの数が限られているからですが、そうした状況に風穴を開けたのがyoutubeです。僕は以前より格闘技系youtuberとして活躍している朝倉未来選手について書いていますが、それはいわゆる不良系の若者たちの新たな働き方の一つになっていると思うからです。しかも朝倉選手たちはそうした人たちをサポートしています。昔ですと、社会の落ちこぼれに一度なってしまいますと、そこから進む道はほぼ一つと相場が決まっていました。ですが、今は違います。

同じことがスポーツ選手にも言えます。プロの選手になれるほどスポーツに打ち込んできた若者たちは学生時代ほかの世界を知らないまま過ごしています。そうした若者が現役を離れざるを得なくなったとき、活躍の場をyoutubeに求めることができます。サッカー界とか野球界などにおいても、引退選手がどんどん出てくる中で解説者の席は決まっていますので、以前ですとそれまでの実績を活かすことができませんでした。しかし、youtubeを活用することでそれまでとは違う進路が広がってきました。

先日読んだ記事によりますと、最近はテレビ業界の人たちがどんどんyoutube業界に進出しているそうです。これはスポーツ関連番組にも当てはまりますが、このことはつまりメディアが増えることを意味し、それはとりもなおさず引退したスポーツ選手の「座れる席」が増えていくことになります。

なにかで読みましたが、youtubeのメリットはマスを追わなくても成り立つことができることだそうです。もちろんyoutubeを生業にすることは並大抵ではありませんが、既存のメディア界の椅子の数に比べますと格段に多いのは間違いありません。引退したスポーツ選手が活躍できる場が増えることは悪いことではありません。

ですが、繰り返しになりますが、youtubeで収入を得ることは本当に大変です。登録者数がたった1人の僕には十分わかっています。

じゃ、また。




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