僕は4月あたりから「再審制度」について書いています。そもそものきっかけは稲田元防衛大臣が自民党の会議で“マスコミに注目される”ように発言したことでした。稲田さんの行動によって、「再審制度」の不備と言うと叱られるかもしれませんが、その問題点に多くの人が関心を持つようになりました。その流れを作ったのが稲田議員でした。
実はそれ以前にも、もう一人の中心人物である柴山元文部大臣も「再審制度」の問題点についてメディアのインタビューなどに答えてはいましたが、正直、今ひとつインパクトに欠ける部分がありました。世の中に知ってもらうには、“きっかけ”、とりわけ“インパクト”はとても重要です。
その後、法務省側と自民党側とのやりとりが数回あり、最終的には「検察の不抗告(検察が抗告しない)」という文言が『本則』に盛り込まれることで決着しました。今、“『本則』に盛り込まれた”と書きましたが、この『本則』に入れるまでがまた大変でした。なぜなら、最初法務省側は『本則』ではなく『付則』に入れることで終わらせようとしていたからです。それで「お茶を濁そう」と考えていたのですが、それさえも拒否した稲田議員たちには尊敬の念しかありません。
僕からすると本当に画期的なことなのです。これまでは、自民党が意見を言ったとしても、「ああ、そうですか」で終わるのが通例でした。なので、自民党側の意見を少しだけ取り入れて、それで「チャンチャン」という形で終わっていました。
ところが、今回自民党側はそうした流れに真っ向から抵抗しました。簡単に「チャンチャン」で終わらせなかったのです。そうした動きに僕は稲田議員の本気度を感じていました。実際、稲田議員は世論を盛り上げようと、いろいろな番組に出演していました。その行動力に心の底から感服していました。
実は、僕はこれで「決着」と思っていたのですが、その後のニュースを見ていたところ、「再審制度改善の“政府案”を国会に提出する」という記事を目にしました。恥ずかしながら、僕はあの法務省と自民党の会議の結論が、そのまま世の中に適用されるものだと思い込んでいたのです。普通に考えるなら「法律を変える」のですから、自民党や政権が勝手に決めることはできないはずです。なのに、僕は思い込んでいました。
誠に「恥ずかしながら」なのですが、僕は「閣議決定」という言葉がよくわかっていませんでした。「閣議決定」についてはこのコラムで書いたような気がしていたのですが、過去のコラムを検索したところ、文脈の中で使ったことが2度ほどありましたが、きちんと書いたことがないことがわかりました。
僕が最初に「閣議決定」という言葉が気になったのは、2014年に当時の安倍首相が『集団的自衛権の解釈』を変更したときでした。うろ覚えなので正確性に欠けるかもしれません。正確に知りたい方は「ご自分でお調べください」と前置きしたうえで、安倍首相は集団的自衛権を行使するために「憲法解釈を変更する」閣議決定をしました。そのときに僕は「へぇー、そんな大事なことが閣議決定で決められるんだ」と思ったのを覚えています。それから「閣議決定」という言葉が頭の隅でずっとくすぶっていました。
これに関する余談ですが、当時安倍首相は憲法解釈をめぐって、内閣法制局長官の人事に手を加えています。このような断定的な書き方をするのもどうかと思いますが、僕はそう感じています。本来、長官人事は内部昇格が通例だったのですが、安倍首相は外務省出身の人物を長官に起用しました。当時は、集団的自衛権をめぐる憲法解釈の見直しへの布石ではないかという見方が広がりました。僕自身もそのように感じています。
それはともかく、それ以来ずっと「閣議決定」という言葉が気になっていました。「閣議」ですから、「内閣で決まったこと」という意味です。そして僕の感覚では、その次の手続きは「内閣で決まったことを国会で審議する」となるはずです。ですが、先ほども書きましたように、「閣議決定」だけでそのまま世の中に適用されることがあったのです。僕は、それが不思議でした。
もちろん、ネットで調べたり、詳しそうな人に聞いたりしていました。ある日、たまたま市議会議員S氏が訪ねてきました。「政治家なら知っているだろう」と質問したところ、「正確にはわからない」との返答でした。恐縮した感じで「役所で調べてきます」と帰って行きました。このように書きますと、僕がS氏と親しい感じを受けるかもしれませんが、僕は偉い人とは知り合いにならないことに決めていますので、そうではありません。本当に「たまたま」です。
そのS氏は年齢は50歳半ばで議員歴もかなり長いので、「わからない」と答えたのには驚きました。市議会議員とはいえ政治家です。その政治家でも「わからない」のですから、平民の僕がわからなくても当然です。などと自らをなぐさめていたところ、S氏が答えを持ってやってきました。
S氏曰く、「役所に国会に出向していた人がいたので、その人に聞いてきました」。簡単に言いますと、「法律の大まかなことは国会で決めなくてはいけないけど、その中の細かい部分は閣議決定で決めてもいいらしいですよ」ということでした。その出向していた人も「正確にはわかっていなさそう」というS氏の口ぶりでした。うーん、わかったようなわからないような……。
ある本では、女性ジャーナリストが「自民党は数が圧倒的なので、閣議決定ですべて決められる」という書き方をしていました。こうした表現も僕を混乱させます。そんなある日、「ああそうだ! 生成AIに聞いてみよう」と思いつきました。僕は年齢の割には「生成AI」を活用しているほうだと思いますが、「閣議決定」について質問したことがありませんでした。灯台下暗しでした。「閣議決定」について疑問に思い始めたのは「生成AI」が出てくるずっと前でしたので、生成AIに質問することを忘れていたのです。
結果、生成AIの答えが一番わかりやすかったです。長いですが、皆さんの参考になるように下記に記します。
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「閣議決定」とは、内閣(首相+全大臣)が意見をそろえて、あることを正式に決めたという手続きです。
つまり、「政府の中で一本化された方針が決まったよ」ということであって、それ自体が法律になるわけではありません。
なぜ「法律が決まったように報道される」のか?
① 法律がいらないケースがある
国のルールのすべてが「法律」で決まっているわけではありません。
・法律 → 国会の議決が必要(例:刑法、教育基本法)
・政令 → 内閣が決定(法律の委任を受けて定める)
・省令 → 各省庁の大臣が決定
・方針・ガイドライン → 閣議決定や大臣発言で決定することも
つまり、法律の枠内で動くルール変更(たとえば増税の実施時期変更など)であれば、国会を通さずに「閣議決定」で済む場合があるのです。
②もあるのですが、それは省略。
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これを読みますと、S氏の説明もまんざら間違いでもなさそうです。大まかなことは国会に拠らなければいけないのですが、細かい部分は「内閣だけで決めてもいい」のです。先ほど書きました安倍元首相の集団的自衛権の「解釈変更」ですが、生成AIによりますと、翌年には安全保障関連法として国会で審議・成立しているそうです。
冒頭で書きましたように、自民党と法務省の議論の末、決まった内容が国会で審議されることになります。自民党は国会への提出期限を考慮して、自らの要望を自制した問題点がありました。それは証拠の取り扱いです。現在は「検察だけが証拠を全部持っていて、被告側は何があるかさえ分からないことがある」という状況になっています。僕には、これほど不公平なことはないように思えます。国会ではこれが修正されることを願ってやみません。
じゃ、また。