<にわか労災知識2>

pressココロ上




先週のつづきです。まず、簡単なおさらいから。

「労災」は仕事中や通勤中にケガなどをしたときに支払われる保険のことです。そして、この保険で支払われるのは「治療費」と「休業補償(お給料)」です。「治療費」は全額が支払われますが、「休業補償」は通常のお給料の8割が補償されることになります。

ここまでが「労災」の基本的な内容ですが、僕がここで書きとめておきたいのは、具体的な手続きについてです。先週も書きましたが、「労災」について大まかなことは漠然と知ってはいても、「具体的な手続き」については知らない人のほうが多いはずです。なにしろ、「労災」を使うような場面に遭遇することはほとんどの人がないのが普通だからです。

さて、先週は病院に「労災で診療」を伝えたことと、会社に「労災を申請」を連絡したことまで書きました。そして、会社の上司の方が「労災」を知っているようで、実際はあまり詳しくないことが判明しました。その根拠は「労災を申請したい」とお願いしたにもかかわらず、本社から「健康保険の申請用紙」を取り寄せていたからです。

基本中の基本らしいのですが、「労災」の場合は、「健康保険を使ってはいけない」ことになっています。もし、間違って「健康保険」を使って診療を受けたときは、健康保険が負担した診療代金をわざわざ自己負担にする形にしてから、「労災」を申請しなければいけないようです。「自己負担にする形」にするための手続きが必要になりますので、その分手続きが増えますし、その分給付までの日数が余計にかかることにもなります。

大部分の方は「健康保険が負担した診療代金」の意味をご存じだと思いますが、念のため簡単に説明します。日本は「国民皆保険制度」をとっていますが、「健康保険」で診療を受けますと、一般的には自己負担をするのは3割で残りの7割は健康保険組合が支払ってくれています(例外の方もいます)。ですが、「労災」が適用されるときは「健康保険は使えない」ことになっていますので、一旦すべてを自己負担の形にする必要があるそうです。

それでは「治療費」の具体的な手続きについて説明します。「労災」を申請する場合、診療を受ける病院も重要になってきます。どういうことかといいますと、「労災病院または労災指定病院」と「その他の病院」では、申請書の提出先が変わってくることです。「労災病院または労災指定病院」の場合は申請書を病院に提出しますが、「その他病院」の場合の場合は労働基準監督署に提出することになります。

妻の場合は救急車で担ぎ込まれた病院がたまたま労災指定病院でしたので「病院に提出」することで済みそうです。なお、申請書は「仕事中」と「通勤中」では様式の用紙が違いますので、取り寄せる際は注意が必要です。妻は病院に「労災」と連絡した際に様式番号を教えてもらえましたのでとても助かりました。

病院に申請書を提出する一番のメリットは、申請が認められたあとは「治療費を支払う必要がなくなる」ことです。これまでは「労災」で支払われる分を自分で建て替えていたのですが、それをしなくて済むことになります。病院が労災に直接請求するようになるからです。

と、書いてはいますが、現時点ではまだ手続きを終えていませんので、実際にどうなるのかはわかっていません。現状は、妻が記入した申請書を会社に提出してその返信を待っている状況です。

入院費の支払いが70万円以上あり、その期限が今月末に迫っていることは書きましたが、一昨日その申請書が会社から返ってくるのが来月になってしまうことがわかりました。そこで病院に問い合わせたところ、期限を延長してもらえることになりました。もしかしたなら、そういう人は結構いるのかもしれません。妻は、診療とリハビリで週に2回通院していますので手続きがはやく進むことを願っています。

治療費については、一応手続きの目途がつきましたが、休業補償は難題です。休業補償の流れも治療費と同様、申請書に事故の内容などを記載し、会社に証明してもらい、それを事故に遭った当人が労働基準監督署に提出し、支給が決まるとお金が口座に振り込まれる流れになっています。

ネットでいろいろと調べてみますと、給付金(休業補償)が支払われるまでには意外に日数がかかるようですが、働いている側からしますと、その間無収入になることを意味します。そうした不安を取り除くために「受任者払い制度」という制度があります。

「受任者払い制度」とは、会社が労働者の代わりに労災の手続きをすることで、会社が労働者に先に給付金の支払いをしておく制度です。ネットでは労働者が不安にならないように、会社側が積極的にこの制度を利用することを勧めていました。僕は事前にこの制度について調べていましたので、試しに会社の上司の方にこの制度について尋ねてみたのですが、全く知りませんでした。

上司の方には「受任者払い制度」も含めて「本社の労災担当の方に確かめてほしい旨」お願いしていたのですが、先日の電話での説明では「受任者払い制度」の話が全く出てきませんでした。仕方ないので「受任者払い制度」の利用はあきらめることにしました。あまりしつこく問い合わせて妻の印象を悪くしては大変です。妻はケガが治ったあと、また働くわけですから、立場というものがあります。

休業補償の手続きについて整理をしますと、治療費とは別に休業補償用の用紙を取り寄せ、記入後に会社に証明をもらい、その用紙を労働基準監督署に提出する流れになります。ネットで調べますと、休業補償に関しては1カ月毎に申請するのが一般的なようです。申請するための用紙は、妻は会社からもらっていましたが、ネットでダウンロードできることがわかりました。

病院の治療費が「労災」で支払われることは書きましたが、ケガを治すには病院の診療やリハビリのほかに薬も必要です。診療の際には薬の処方もなされるのですが、この薬代もバカにできない金額です。ですので、この薬代金も「労災」で補償されることになっています。

そのためには、病院に提出した用紙と同じ用紙を薬局に提出するのですが、その用紙も会社から取り寄せることになります。このように見て行きますと、今後も申請用紙が必要になるのですが、そのたびに会社から取り寄せるのはあまりに不合理です。しかし、ほとんどの申請用紙がネットからダウンロードできるようですので、今後はそれを利用しようと思っています。

「労災」における休業補償は、通常のお給料の8割が給付されると書きましたが、所得税がかからないそうです。つまり手取りで考えますと、おおよそ9割くらいは受け取れる計算になりますが、それ以外にも朗報が見つかりました。

妻は民間の保険にも入っているのですが、それらの保険は労災適用の有無は全く影響を受けないことを知りました。つまり、労災で給付される以外に民間の保険からも保険金を受け取れることになります。このように考えて行きますと、最終的には普段のお給料と同程度の金額を受け取れることになりそうです。

僕のこれらの情報が間違いでないことを願いつつ、終わりにしたいと思います。

最後に、先週、今週と、「労災」の手続きについて説明していましたが、あくまで「にわか」の知識でしかありません。素人がネットで調べた範囲での情報ですので、間違っている可能性もあります。ですので、正しい手続きを知りたい方は、ご自分で調べていただき対応していただくようお願いいたします。

来週は選挙ですが、皆さん投票に行きましょう。そして、信頼できる候補者、党に一票を投じましょう。

じゃ、また。




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