<資本主義の縦系列>

pressココロ上




僕は毎日、晩御飯を食べたあと小一時間ばかりニュースをチェックするのを日課にしています。「日課にする」というよりも「チェックせずにはいられない」という気持ちになります。なんと言ってよいのか、自分でもわからないのですが、ニュースを見ないと落ち着かないのです。

基本的に僕は妻とふたりで仲良く(?)晩御飯を食べるのですが、食事のあとにテレビを見るのも含めて30分くらい妻と一緒に時間を過ごしています。それが終わってから寝室に行ってパソコンでいろいろなニュースをチェックしています。

前にも書きましたが、かつてはその時間は新聞を読む時間にあてていましたが、そのやり方でニュースを見ていますと、どうしても情報の偏りが生じてしまいます。そこで、新聞を読むのをやめ、いろいろなサイトをサーフィンするやり方に変更しました。

そのようにして新たに読むようにしたニュースサイトにNHKがあります。いろいろ問題はあるでしょうが、やはり公共放送を謳っていますので、一応は中立な立場で報道しているように思っています。ときには「おや?」と思たり、ほかのサイトで報じていることを報じていなかったりなどしていますが、ほかのサイトを見ることでバランスをとるようにしています。

ネットでニュースを見るようになってから、気に入っているのが「NHK NEWS おはよう日本」というテレビ番組です。タイトルからわかりますように朝のニュース番組ですので速報性には欠けますが、ニュースを解説するコーナーはとても参考になります。それにしても、朝の番組をいつでも好きなときに見られるのですから、本当に便利な世の中になったものです。

「メディアの便利さ」について触れたついでに書きますと、今僕がよく利用しているスマホアプリの一つに「ラジコ」というアプリがあります。これは1週間以内という期間限定ではありますが、自分が聴きたいラジオ番組をあとから聴くことができるアプリです。昔ですと、好きなラジオ番組をリアルタイムで聴けない場合は、わざわざ録音する以外に聴く方法はありませんでした。しかし、「ラジコ」を利用しますと、あとから好きな時間に聴くことができます。

このようにラジオには、そのシステムゆえに「聴く機会の限定」という欠点があります。ラジオ番組が流れている時間に聴けない場合、聴くチャンスがなくなることです。ですから、夜の時間帯に流れている番組はまだしも、仕事とか学校などのようなほかに用事があるお昼の時間帯のラジオ番組を聴けるのは限られた人だけです。

そうした欠点を解決してくれるのが「ラジコ」です。1週間以内ですと、あとから好きなラジオ番組を聴くことができます。しかも、好きな部分だけを聴くことも可能です。こんな便利なツールはありません。また、「ラジコ」はネットですので、どこにいようとも聴くことができます。関東のラジオ番組を北海道や沖縄の離島でも聴くことはできます。それどころか世界のどこにいても聴くことができます。科学の進歩に感嘆せずにはいられません。

話を戻しますと、「NHK NEWS おはよう日本」です。その番組内には「おはBiz」というコーナーがあるのですが、「Biz」は「ビジネス」を略したもので、ビジネスに関するニュースを解説しています。先日、その「おはBiz」で「サプライチェーンに潜む“人権リスク”」というテーマが解説されていました。

端的に説明しますと、今の時代は世界のあらゆるところから原材料や製品を集めてきて商品を作りますが、資本主義の原則からできるだけ経費のかからない地域を選択することになります。そして、「経費のかからない地域」とは一般的に政治的に未熟なところが多く、それらの地域では「人権」がないがしろにされているケースが多々あります。

“人権リスク”とはまさしくそれを指しています。最近問題になったのがカジュアル衣料品で有名なユニクロです。ユニクロが仕入れている原料の産地では「人権が無視された労働」が行われていることが問題視されました。つまり、どんなに魅力的な商品を作ったとしても、その商品ができる過程において「人権がないがしろにされている」状況があったなら、その商品および販売している企業には、経済活動をする資格がないと判断されてしまう“リスク”です。これからの企業は商品が完成する過程についても目を光らせる必要があります。

最近、車を運転しているときによく見かけるのが「デリバリー業者」です。ロゴの入ったリュックを背負い自転車で走っています。ニュースで無謀な自転車走行が報じられることがありますが、無謀な走行の背景には「出来高制」という報酬システムがあります。

デリバリー業は米国が発祥の地だそうですが、日本に入ってきた当時、僕が毎日チェックしているサイトで体験者の記事を読んだことがあります。当時はまだ世の中に浸透していませんでしたので、物珍しさがありましたが、今の状況を見ていますと隔世の感があります。まさかここまで広がるとは思ってもいませんでした。

デリバリー業界がここまで大きくなりますと、いろいろな問題が起きてきます。その一つが働き方と言いますか、報酬システムが問題視されるようになってきました。基本的に、デリバリー業界に従事する人は個人事業主という立場です。つまり、デリバリーを手配する企業と配達員の間には雇用関係ではなく、“業務請負い”わゆる“下請け”という関係です。

雇用関係がありますと、仕事に従事している人は法律面で労働者として守られますが、“下請け”の関係ではそうしたものは一切ありません。デリバリーを手配する企業が“雇用”ではなく“下請け”という関係をとるのは一にも二にも経費の問題です。雇用関係を結んでしまいますと、労働者を保護する義務が発生し、それに伴い負担する経費が多額になります。それを避けるために“下請け”の関係をとっています。

本コラムの前半で「人権リスク」について書きましたが、このリスクは「業務を発注する親企業も“下請け”で働いている人たちに対して、人権に対する責任を負う義務」があることを示しています。それに倣うならデリバリー業界の手配企業と配達員の関係においても「人権リスク」があってしかるべきとなります。

NHKの現在の大河ドラマは「近代日本資本主義の父」と呼ばれている福沢諭吉さんの生涯を描いています。かつて地球上には「資本主義と共産主義」の戦いがありましたが、一応は資本主義の勝利となりました。しかし、資本主義が完ぺきではないことは、現在の社会が示しています。

その資本主義の基本的な構造は「縦系列」であることです。親会社がありその下に子会社があり、またその下に孫会社があり、といった縦系列が基本になっています。それぞれの階層で競争があり、その競争に勝ち残るために下の階層の会社に無理を強いるシステムになっています。資本主義の問題点はこの「縦系列」にあるように思います。

NHKのニュース番組ではそこに焦点を当てて警笛を鳴らしているのですが、実は、そのNHK自身も番組制作は子会社に発注しています。つまり「縦系列」の頂点に君臨しているのですが、テレビ制作業界の労働環境の劣悪さも注意喚起がなされています。

灯台下暗し、…。

じゃ、また。







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