国民的アイドルグループと言われている「嵐」の解散コンサートがメディアで報じられていました。ファンの方々には申し訳ありませんが、僕はあまり興味がありませんでした。ですが、これだけ報じられますとやはり気になります。ニュースによりますと、コンサート会場周辺のホテルは「予約が取りにくい」とも報じられていて、日程によっては大学受験と重なり、受験生にも影響があったそうです。それほど人気のあった「嵐」が先週日曜日に最後のコンサートを終え、活動を終了しました。実際に活動を休止したのは2020年だそうですが、それから6年経っても人気が衰えていないことに驚かされました。
僕が記憶に残っているアイドルグループといいますと、「嵐」の先輩にあたる「SMAP」です。娘が「SMAP」のファンだったからですが、「嵐」よりも10年ほど先輩でしょうか。生成AIには「“SMAP”がアイドルのバラエティ進出への道を切り開き、それを“嵐”が受け継いだ」と解説してありました。僕が最初に「SMAP」を知ったのは、深夜に放送されていた「夢がMORI MORI」という番組です。妻が見ていたので、晩御飯を食べながら一緒に見るようになりました。
「嵐」の人気もすごいですが、当時の「SMAP」の人気も凄まじいものがありました。何をやってもヒットしていたのですから、「勢いに乗る」ことの重要性を教えてくれていました。僕には、「SMAP」に関して強く頭に刻み込まれている場面が三つあります。
一つは、まだ幼かった香取慎吾さんが番組内でしきりに「ことわざ」というより、教訓めいた言葉を連発していた場面です。バラエティ番組内でのことですが、慎吾ちゃんが幾度も「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と楽しそうに口にしていました。あとになって知ったのですが、慎吾ちゃんは当時あまり学校にも通っていなかったそうです。ですので、そうした勉強はほとんどしていなかったはずです。その慎吾ちゃんがおそらく何かのきっかけでその言葉を知ったのでしょう。そして、その言葉に感動した気持ちが抑えられなかったのだと思います。僕は、その言葉に感動してうれしそうに話している慎吾ちゃんが素敵に見えました。
次のシーンは、キムタクこと木村拓哉さんが結婚を発表したとき、芸能レポーターに囲まれた場面の映像です。アイドル絶頂期に年上の女性アイドルとの結婚、そして妊娠の発表でした。一つ間違えれば芸能生活が終わってしまうような場面でしたが、木村さんは偉かったです。本当に「偉かった」という言葉がふさわしい振る舞いと対応をしていました。
コンサートが終わったあと、楽屋の出口で待ち構える芸能レポーターの集団に真正面から向き合い、堂々と、というよりは「淡々と」と言ったほうが合っていると思いますが、とにかく逃げずに正面から答えていました。木村さんは当時28歳でしたが、並の芸能人ではできない芸当です。繰り返しますが、人気絶頂の国民的アイドルの結婚、しかも妊娠の発表です。そのときの毅然とした振る舞いと対応を見て、僕は一気にファンになりました。
次も木村さんなのですが、これにはグループの一員である草彅剛さんが関係しています。2009年、草彅さんは深夜に裸で公園にいて、「公然わいせつ容疑で現行犯逮捕」という事件を起こしています。僕に刻み込まれているシーンは、そのあとの草彅さんのテレビ出演時の光景です。番組では草彅さんが神妙な表情で謝罪したのですが、その謝罪を終えた草彅さんに木村さんがすぐに近づき、肩を抱き寄せたのです。
「公然わいせつ」ではありますが、昭和の人間である僕からしますと、「酔っぱらって裸で公園にいる」というのはいかにもありそうな出来事で、たまたま芸能人だったために問題が大きくなったように思っていました。それはともかく、木村さんの「男気」が感じられる場面でした。
ここまで木村さんの「男気」を褒めることを書いてきましたが、実は「SMAP」は木村さんとほかの4人との関係性が気まずくなり、解散に至っています。ここまで書いたこともそうですし、これから書くことも同じですが、僕が書く内容はあくまでいろいろな情報から得た個人的な見解です。「正確かどうかは定かではない」ことをご理解のうえでお読みいただければと思います。
「SMAP」が解散になったきっかけは、ジャニーズ事務所からの独立が関係しているそうです。「SMAP」にはメンバーから信頼されていた腕利きのマネージャーがいたのですが、そのマネージャーと一緒に独立を考えていた4人と、ジャニーズ事務所への恩義から残ることを考えた木村さんとの対立です。このあとジャニーズ事務所は「性加害」事件で世間から糾弾されるのですが、その前の話です。
結局、木村さんと4人の溝は埋まらず解散に至るのですが、内部のことまでわからない僕からしますと、シンプルに「お互いの意見が合わなかった」、これに尽きるように思います。マネージャーと行動を共にしたいと考えた4人と、「ジャニーズ事務所への恩義」を重んじた木村さんということだけです。「どちらがいい、悪い」ということもないように思っています。
その意味で言いますと、「嵐」は最後までメンバー間のトラブルは聞こえてきませんでした。どんな分野でもそうですが、グループにしろコンビにしろ、複数人で活動している人たちにとってメンバー同士の関係はとても大切です。
それを思うとき、僕が真っ先に思い浮かぶのはピエール瀧さんの逮捕事件です。ピエールさんは「電気グルーヴ」という2人組の音楽ユニットで活動していたのですが、2019年3月にコカインを使用したとして麻薬取締法違反の容疑で逮捕されました。そのときの「電気グルーヴ」の相方である石野卓球さんは偉かった。どんなにマスコミがピエールさんを批判しようが、まったくぶれることなく寄り添っていました。偉そうに批判めいたことは一切言わず、とにかく味方になっていました。
マスコミはいつも勝手なことを書きますので、逮捕されたことで「契約違反で億単位の負債を抱える」などと書き立てていましたが、そうしたことに振り回されることなく、ずっと擁護していました。しかし、中には正反対の行動を取る人もいます。ある有名なデュエットは、一人が覚醒剤取締法違反で逮捕された際、相方のほうはテレビ番組でマスコミ同様に非難する行動を取っていました。「電気グルーヴ」の石野さんとは正反対で、味方どころか糾弾する側に回ったのです。もちろん、そのデュエットは今でも一緒に活動していません。
友人との関係性は、自分が窮地に陥ったときに本当の姿が見えてきます。
僕は30歳で脱サラしてラーメン店を開業したのですが、今思うと「若さ」だけで突っ走った感じがします。知識も社会経験もないまま開業したので、何も見えていませんでした。ですので、廃業したあとになって、「ああ、あのときのあいつの言葉はこういう意味があったのか」とか、「ああ、だから知り合いを連れてきたんだ」などと、当時はわからなかったことがあとから見えてくることがたくさんありました。
最近、『私の貧乏物語』という本を読んだのですが、この本は「自分の貧乏だった頃の話」を40人くらいの方が綴っている本です。僕が読む気になったのは、その中に武田砂鉄さんという元編集者でライターの方がいたからです。砂鉄さんは少し“ひねくれた”ところがある方ですが、大手出版社の編集者からライターという独立の道を選んでいました。
記事の中に、『独立したあとに何人もの人から「どう? やっていける?」と聞かれた』と書いてありました。そして、その問いかけには「相手を心配している」のではなく、『こちらがさほどうまくいかないことを期待している』気持ちがあると邪推していた、と書いています。
その砂鉄さんの記事の中に、「30代~40代を読者対象にした男性週刊誌の編集者」の話が書いてありました。その週刊誌では定期的に「独立に失敗した事例や、大企業に勤めながらリストラに遭った事例を並べる特集」をやっているそうです。理由は、「自分より少し下の失敗した事例」を見たいという需要があるからだそうです。僕はまさに失敗した事例を体現したわけですが、だからこそ「あのときの言葉」の本当の意味が身に沁みてわかります。
僕は「親友」という言葉にも懐疑的なところがあります。本当に「親友の関係」なのかなぁって。なんだか今の時代、「親友がいる」というのが一つのステータスになっているように思えるんですよねぇ。
じゃ、また