<時代は自分で選べない>

pressココロ上




マザー・テレサさんが「愛の反対は憎しみではない。無関心だ」と訴えていましたが、その言に従うなら、僕が最近とても気になっているのはミャンマーとロシアと中国です。徒に、対立を煽るつもりも、政治的思想を非難するつもりもありませんが、これらの国々の独裁的な政治姿勢には不安を感じています。

政治の専門家でもない、ごく普通のおじさんに過ぎない僕がなにを言おうとなんの意味も意義もありませんが、自らの思いを書かずにはいられません。これから書く内容は、普通のおじさんがマスコミを通じて得た情報をもとに書いていることをご理解いただき、信ぴょう性については、各人で確認していただきたく思います。

わざわざこうした注意を促しますのは、ネットを見ていますといわゆる“とんでも歴史観”といわれるものが堂々と流れているからです。学識の浅い僕が、知らず知らずのうちにその“とんでも”情報に惑わされている可能性もなきにしもあらずです。そうした自覚もありますので、わざわざ注意を促してみました。

さて、ミャンマーはここ10年ばかりは民主化が進んでいたように見えました。ですが、それはあくまで張りぼての民主化だったようで、国軍の影響が残ることが前提となっていたことが判明しました。アウンサンスーチー氏が軟禁されたことが証明しています。

今回のクーデターは、昨年の選挙でアウンサンスーチー氏が率いる政党が大勝したことがきっかけです。そのことによって影響力が失われることを恐れた国軍が実力行使に打って出た結果です。これはまぎれもなく民主化の後退ですが、一般の国民からしますと、到底許せるものではありません。抗議デモが起きるのも当然です。

その抗議デモが頻繁に起こっているようですが、デモを鎮圧する国軍との間で戦いが起きています。しかし、武器を持つ国軍とデモしか術がない国民では力の差は歴然です。報道では死者もたくさんでていることを伝えていますので、民主化している国際社会は手を携えて対応する必要があります。

ロシアという国も不思議でなりません。5~6年前に野党の指導者が暗殺されていますが、その真相解明は曖昧のままで、現政権の仕業という指摘もなされています。現在も民主派野党指導者ナバリヌイ氏が逮捕されていますが、さらにそれ以前にも同じような政治的迫害が幾度も起きています。それにもかかわらず、プーチン氏が大統領の地位にいられるのが不思議でなりません。

そもそもエリツィン氏のあとを引き継いだプーチン氏が権力を握って以来、権力の座につき続けていることが異常です。元々は憲法の規定により、大統領の地位には8年しかいられなかったのですが、プーチン氏は策を弄してなんと2036年まで憲法を改正してしまいました。

一応ロシアにも選挙制度がありますが、プーチン氏の支持率は毎回高い数字を出しています。少し古いですが、2017年の選挙での支持率はなんと80%を超えていました。普通の民主国家では考えられない支持率です。この異常な高支持率を見ていますと、僕などは“選挙の正当性”に問題があるように思えてしまいます。

しかし、先日読んだロシア専門家の記事によりますと、「いろいろ問題がありながらも、ロシア国民はプーチン氏を選んでいる」と解説していました。普通の日本人がロシアと聞いてすぐに思い浮かぶのは、フィギュアスケートだろうと思います。

現在はスケートを休んでいるようですが、秋田犬をプレゼントされたザギトワさんなどは日本でも高い人気を得ています。ザギトワさんのあとに続く選手の人たちも実力が高く、世界選手権では上位を独占したりもしています。

そうしたことと野党指導者への異常な取り締まりがなかなか結びつきません。果たして、ロシアは民主国家なのか独裁国家なの…。

先日amazonプライムで「活きる」という中国映画を観ました。「1940年代~60年代、激動の中国を生き抜いた家族を描く大河ドラマ」ですが、具体的には一組の中国人夫婦の人生を描いた作品です。もう10年以上前だと思いますが「ワイルド・スワン」という、やはり同時代に生きた中国人女性の自伝的ノンフィクションを読んだことがあります。

この本は1991年に発表(日本では1993年出版)され、全世界で大ベストセラーとなりましたが、激動の時代を生き抜いた逞しい女性の半生が綴られています。「活きる」の映画もそうですが、この時代の中国の生活が描かれた作品に興味を引かれるのは、ちょうど文化大革命が起きた頃と重なるからです。

僕が中国のこの時代に興味を持ったのは、映画「ラストエンペラー」がきっかけです。主人公溥儀が皇帝から一庶民へと転落する過程が心を揺さぶりました。特に皇帝だった人物が年端もいかない紅衛兵に首から罪状のプラカードをぶら下げさせられ、連れまわされる映像は大きな衝撃を受けました。

「活きる」でも描かれていますが、「社会の価値・常識」または「正しいこと・行い」というものが、『いかに脆いか』ということを考えさせられました。現在、中国は新疆ウイグル自治区における人権問題に関して、米国などから批判されています。もし、報道が真実であるなら新疆ウイグルで暮らしている人たちは悲惨な日常を送っていることになり、とても心配です。

最近はあまり報道されませんが、昨年は香港の自治についても国際的な注目を集めていました。本来50年間は独自の自治が認められるはずの一国二制度が崩壊したからです。昨年までは、抗議をする香港の民主運動家の動向が伝えられていましたが、現在ではほとんど聞かれません。新疆ウイグル自治区同様関心を持ち続けることが大切です。

新疆ウイグル自治区の人権問題について、中国は国内政治のこととして反発し、逆に米国に対して黒人差別について批判しています。その米国では最近、アジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えているそうです。例えば、普通に通行しているアジア系と見られる人が突如暴力をふるわれたりしています。

そうした中、韓国人ユーチューバーの「どっきりユーチューブ」が話題になりました。内容は、「暴言をはかれているアジア人に遭遇したときに、通りすがりの人たちはどのように対応するか」というものです。

結論を言いますと、すべての人が「アジア人を擁護する対応をとった」そうです。それを報じるヤフーニュースを読んだとき、うれしさのあまりとても胸が高まりましたので、ニュースから引用します。

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ある男性は「良くないぞ」と差別主義者(役)の男性をアジア系学生のそばから引き離そうとする。また、ある女性は「申し訳ない気持ちだ。ハグさせてほしい」と言って涙を流しながらアジア系学生を抱きしめた。

また、他の男性は「向こうで話そう」と暴言を浴びせる差別者を説得しようとし、近くにいた女性は「(自分が話す相手は)自分で決める」と言ってアジア系学生を最後まで守ろうと対抗。ある男性は「あんなやつの言うことなんて聞くなよ、俺は君がいてくれて嬉しいんだ」と肘タッチを求めた。
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米国の民主主義はまだまだ捨てたものではありません。こういうニュースに接するとき、いつも思い出す小学校時代の森山先生の言葉があります。

「この前の戦争で日本が戦争に負けた時、もしアメリカじゃなくてソ連に占領されていたら、今の日本はなかったんだよ」

ホント、そうだよなぁ…。

じゃ、また。




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