<不満とウネリ>

pressココロ上




 先週は「男たちの大和」を観てきました。招待券をもらったからなのですが全体的な感想としては上・中・下の中といったところですか。ただ映画を観て一番感じたのは組織というもののあり方についてでした。先週の読売新聞では特攻隊について特集を組んでいましたが、敗戦間際の軍隊という組織はまさに末期状態であったことがわかります。組織が全く機能していないようでした。そして末期状態の組織で最も損な役回りをさせられるのは末端・現場にいる人たちです。映画を観終わったあと私は思いました。
「組織は末端・現場にいる人たちを最も大切にするシステムでなければならない。間違っても上司が楽をするための組織であってはならない」と。
 パレスチナでハマスが大勝しました。ハマスは武装闘争も辞さないことを標榜している政党ですので国際社会にとっては由々しき問題です。ハマス大勝の底には国民の不満があるようです。この状況がナチスが台頭してきたときと類似していると想像した人は多いのではないでしょうか。ナチスが躍進した底にも第一次世界大戦の戦勝国によって賠償金がドイツに課せられたという事実があります。不満はときとして大きなエネルギーとなりウネリとなります。パレスチナ・イスラエル両国の政権がバランスのとれた平和的対応をとることを願います。
 現在、日本での大きなウネリといえば堀江バッシングです。逮捕後は堀江……、今の状況で呼称には戸惑いがあります。テレビで伝えるキャスターの方も「氏」「さん」など呼称に神経を使っているのを感じま した。逮捕した段階ではまだ容疑者でしかなく犯罪人ではないからです。識者の中には報道が検察のリークなどによるものであり「検察が世論を誘導しようとしている」と懸念を示す人もいます。私たちも冷静 に反応する必要があります。
 堀江元社長逮捕の報道で真っ先に浮かんだのは元リクルート社長江副氏の「かもめが跳んだ日」でした。江副氏も東大時代に起業した学生経営者でしたが堀江氏と重なる印象があります。その江副氏が「堀江元社長逮捕」の報道に関して自分と関連づけて報道されたことで朝日新聞社を提訴したようです。江副氏にしてみますと同列に扱われることに抵抗感があったのでしょう。人間には外からはわからない自分だけの真意があっても不思議ではありません。
 逮捕後のアンケートによりますと堀江元社長を批判する意見が圧倒的でしたが、そうした結果も一般 の人の自然な気持ちです。やはり「逮捕=悪いことをした」と感じて当然です。この流れに呼応するかのように出てきたのが市場主義を批判する論です。そしてその論は小泉首相が進める改革にまで及んでいます。武部幹事長が堀江元社長を「わが息子」と持ち上げた映像と相まって「堀江逮捕は小泉首相の改革が原因である」と批判しています。でも……。
 私は小泉首相の改革は今まであった社会の無駄・不公平を正すのが目的だと思っています。その手段として規制緩和、市場主義を取り入れているに過ぎません。もし今までのままであるなら国地方合わせて700兆円といわれる借金はどうなるのでしょう。銀行など金融機関のみが国によって保護されていたという不公平はどうなるでしょう。談合などに代表される既得権益者のみが利益を貪る構造はどうなるのでしょう…。どんなことでも今までのやり方を変えるときに反対する人たちはいます。反対派とは既得権益者です。そして反対派は変えたあとに問題が起きるとこぞって「変えたから悪いんだ」と合唱します。確かに問題はあると思います。しかし「問題」は起きたときに修正すればよいのです。個人的には社会格差が問題だと思っています。下流社会という本が売れましたが下流であろうが普通の人が普通に暮らせなくなる社会が幸せな社会であるはずがありません。もし格差が開きすぎるなら修正すべきです。不満がたまり正しい判断ができないままウネリになってはこれまた幸せな社会は望めません。政治家の皆さんは修正をしつつ目的に向かって励んでほしいものです。まだ始まったばかりの改革を止めてはならないと思います。
 ホリエモンショックのあとに起きた小泉改革に対する批判の流れがウネリになるかどうかは私たちにかかっています。ウネリが起こる前に私たちは一生懸命考えることが必要です。ヒョイヒョイと軽いノリで考えてはいけません。本当に必死に考えなければなりません。
 どれくらいかって?
 そうですねぇ…、ウネァリゥほど。(唸るほど)
 ……ん~、ちと苦しい…。
 じゃ、また。




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