<年の瀬も押し迫って…>

pressココロ上




今年最後のコラムとなりました。今年も本日を入れてあと3日ですが、実は僕自身はなぜか年末の気分になっていません。昔でしたら、もう少し気持ちが高まっていたと思いますが、平静な気持ちで日々を過ごしています。

年末に対してもそうですが、今年はクリスマスのときも気分の高揚がありませんでした。もうおじさんですのでクリスマスで気持ちが昂ることがなくて当然とも言えますが、おじさんということを差し引いても、「盛り上がり」がなさ過ぎたように思います。そのせいかわかりませんが、街中やショッピングセンターを歩いても、クリスマスソングをあまり聞かなかったような気がします。

以前ですと、早すぎると感じくらい11月に入ってすぐにいろいろなところから「ジングルベル♪ ジングルベル♪」のクリスマスソングが聞こえていたように思います。ですが、今年はクリスマスソングを聞いた覚えがなく、あっという間に12月25日が終わったように感じます。

そんなことを考えていましたら、「そういえば、昔はこの時期になると、毎年『山下達郎さんのクリスマスイブ』が流れていたよなぁ」と思い出しました。山下さんのこの歌は80年代後半から90年代にかけては、年末になると必ずどこかから聞こえていました。

この歌が多くの人に知られるようになったきっかけはJR東海のCMに使われたからですが、レコードが発売されたのは1983年です。CMに使われたのが1988年ですから、5年間は日の目を見なかったことになります。

ウィキペディアに寄りますと、山下さんの「クリスマスイブ」は、1980年代に日本で発売された楽曲で売上が最も多いシングルで、2015年時点でオリコンチャートに30年連続でトップ100入りしており、「日本のシングルチャートに連続でチャートインした最多年数の曲」として2016年3月、ギネス世界記録に認定されたそうです。

先ほど「レコード」と書きましたが、当時楽曲が発売されていたのは「CD」でもなく「配信」でもなく「レコード」でした。いかにも昭和を感じさせる言葉ですが、その当時楽曲を聞く方法はレコードがラジカセしか方法はありませんでした。

この当時、記憶に残っている場面があります。

どこのチェーン店かは忘れてしまいましたが、ラジカセ売り場で販売員の方と話す機会がありました。その頃僕は楽曲をラジカセで聴くことが多かったのですが、僕がラジカセに対して感じていた不満は、「聴きたい曲の先頭をワンタッチで出せない」ことでした。例えば、今の時代はアルバムの中で好きな曲だけを何度も聴くことができますが、ラジカセではそれは不可能だったのです。

そこで家電製品の販売員の方にその不満を質問したところ、「ラジカセはアナログだからダメなんですけど、デジタルの時代になったらそれができますよ」と教えてくれました。当時はアナログとデジタルの違いもよくわかりませんでしたが、とにかくカセットテープを使うラジカセでは無理ということを知りました。

あれから40年経ちますが、今はデジタルのCDからさらに配信へと進歩しています。時代の変革を感じずにはいられません。

山下達郎さんの「クリスマスイブ」を思い出しますと、やはり当時のJR東海のCMを見たくなります。今の時代は本当に便利な時代です。youtubeですぐに見つけることができました。こちらをご覧ください。50歳前後以上の年齢の方には、青春が蘇りなつかしさ満杯の映像があります。

このCMに出ていた方を順に紹介しますと、深津絵里さん、牧瀬里穂さん、高橋里奈さん、吉本多香美さん、星野真里さんの方々です。ときたまテレビ等で見かける女優さんもいますが、今でもリリー・フランキーさんと夫婦役でCMに出ている深津さんはきれいに年を重ねた印象です。

ウィキペディアに寄りますと、このCMは1989年~1992年に放映されたクリスマス・エクスプレスというシリーズで遠距離恋愛をテーマにして作ったCMだそうです。わずか15秒から30秒という短い時間に時代の雰囲気を映し出しているのですが、やはり第一作目の深津さんのCMが一番インパクトがあったように思います。

ちょうどこの頃からでしょうか。CMにおけるコンセプトの重要性が一般の人にも知られるようになりました。同時に、広告業界がビジネス界で重要な位置を占めていることが世間に知られるようになりました。

今では「ほぼ日」の創業者として有名な糸井重さんですが、元々はコピーライターとして世に出た方です。コピーライターという職業が誕生したのは70年代後半です。当時時代の先端を走っていた西武百貨店が革新的なCMを次々に打ち出して注目を集めていました。その先端を走っていたのが糸井さんたちのような広告業界の人たちでした。

この頃から、それまで裏方的な立ち位置だった広告会社が少しずつ前面に出るようになってきました。現在では、コピーライターやデザイナーまたは広告プロヂューサーの方々は経営分野にまで進出しています。

僕はこれまでにかなりの量のビジネス書を読んできましたが、読んでいくうちに驚いたのは広告関連の人たちが経営に大きな影響力を与えていることでした。そのことを最初に僕に感じさせたのはリクルートの創業者・江副浩正氏の本でした。

リクルートは1989年に政財界を震撼させたリクルート事件を起こしますが、それまでは東大出の創業者の立身出世ぶりが称賛されていました。その江副さんの本に亀倉雄作さんというグラフィックデザイナーが出てくるのですが、江副さんは大事な場面で必ず熊倉氏に教えを乞うています。それだけ頼りにしていたことになりますが、それだけ実力があったことの表れでもあります。

この亀倉氏は日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)初代会長を務めた方ですが、おそらく草分け的な存在だったのかもしれません。デザイン関係者の間では神のような存在だったことが想像できますが、広告業界を知らない僕からしますと、驚きの連続でした。

これをきっかけに僕は広告業界に興味を持つようになるのですが、時を同じくしてちょうど広告業界の人たちがビジネス界の表舞台に出てくるようになってきていました。例えば、佐藤可士和さんというグラフィックデザイナーはユニクロのCMやセブンイレブンのコーヒーを成功させたり、またはビジネス書でもベストセラーを連発しています。

そのほかに同じ佐藤という苗字ですが、佐藤オオキさんというデザイナーも日本の大企業から世界的な企業までいろいろな企業から仕事のオファーを受けています。今の時代は、経営も創作の一つになっているのかもしれません。

ネットの世界で有名になり、それからテレビなどにも進出している「はあちゅう」さんという女性がいます。「はあちゅう」さんは電通という広告会社で働いていた経験を元に、自分で情報を発信して成功しているのですが、インパクトのある記事が魅力となっています。

先日、その「はあちゅう」さんが発した印象に残るツイッターを知りました。ツイッター自体は今から3年くらい前のものですが、内容が衝撃的で当時炎上したそうです。

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「CMは偏差値40の人にも理解できるものじゃなきゃダメ。この会社にいる時点で普通ではないと自覚しろ。世間にはおそるべき量のおそるべきバカがいる。そしてそれが日本の『普通の人』だ」

って言ってたの、一番役に立ってる教えの一つだ。

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はあちゅうさんは意図的に炎上するようなツイッターを発信することで有名なのですが、これもその一環だと思います。世の中の「普通の人」を見下したような内容ですが、偏差値の高い人の本音を暴露したとも言えます。

政治の世界では「説明責任を果たす」と言いながら、説明になっておらず、また「私が関与していたなら、政治家を辞める」とまで言いながら、「関与の確定をごまかしたまま」にしているお仁がいます。言葉と行動が全く一致していないのですが、それを何とも思っていないのは「国民はそのうち忘れる」と高をくくっているからです。

ほかの大国でも一部の支持者のご機嫌さえとっているなら、人種差別をあおろうが環境問題を無視しようが、自分さえ当選するなら関係ないと思っている大統領がいます。

世界の至ところで「偏差値もさほど高くない普通の人たち」が偏差値の高い人たちにいろいろなツールを使ってマインドコントロールされているように思えて仕方ありません。

そろそろ普通の人たちは偏差値の高い人たちに利用されていることに気づかねばならいときです。

来年こそは、世界各国の政治の世界で「self first」ではなく「earth first」の考えの持ち主が当選することを願ってやみません。

なお英語の表記が正しいかどうかは自信がありません。なにしろ偏差値が高い人ではありませんので…。

じゃ、また。

今年一年ご愛読くださいましてありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。




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