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pressココロ上




結局、都議選は都民ファーストの圧勝で終わりましたが、自民党に対するイメージが最低の状態でしたので当然のことのように思います。それにしても僕が残念なのは投票率です。一応なんとか50%は超えていますが、投票権を持っている人の責任としては70%前後はいってほしいところです。それが無理とするなら最低でも60%は超えるのが選挙民の義務というものです。
自民党の敗北の原因はいろいろあるでしょうが、投票日前日の安倍首相の街頭演説もかなり大きな要因のように思っています。「安倍、辞めろ~!」コールのうねりに感情的になってしまい「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と応じてしまったのは、相手の思うツボにはまる結果となりました。政治に精通した人の見立てでは「安倍辞めろ!」コールを絶叫していた人たちは「その道のプロ」だそうですから、感情的に反応してマスコミに報じられたのはやはり間違った対応ということになります。
以前から書いていますが、安倍さんが政権を長く続けられている理由は「世論を感じ取る力に優れていること」と思っています。少しでも評判が悪くなりそうになると、国民受けしそうな経済政策を発表するということを繰り返しているからです。こうしたやり方は国民を甘くみているからにほかなりませんが、その感性がここにしてかなり鈍くなっているように感じます。それを示していたのが、今回の街頭演説での「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言です。
大分前ですが、自民党の幹部にまで上り詰めたK氏に密着するドキュメント番組を観たことがあります。そのときに印象的だったのは、ある地方の集会に行ったときの対応でした。
その集会は100人ほどの集まりでしたが、K氏が登壇し演説を始めてしばらくしたときに聴衆の中の60才くらいの男性が大きな声で演説内容について質問をし始めました。K氏はその話を丁寧に聞き、それなりに答えていたのですが、男性はしつこいくらいにさらに絡んできました。そのときK氏は、「細かい話はあとでお答えしますので」と言い演説を続けたのですが、「さすが!」と思ったのは演説を再開する前に秘書に「あの男性から話を聞いてくる」よう指示を出したことです。
実は、この指示は男性の話を聞くことが目的ではなく「男性の素性」を調べることでした。つまり、他候補の支持者とか単なる嫌がらせの目的なのかなどを確認するのが目的でした。一見、なにげない演説者と聴衆者のやり取りですが、政治家の奥の深さを垣間見た光景でした。
もちろん安倍首相もこの程度のテクニックは身につけているはずですが、それにも関わらず街頭演説での失態は「脇が甘くなっている」「一強に慣れすぎて驕っている」という批判が当てはまるのかもしれません。
こうした姿勢はほかの場面でも見ることができます。国会でのやり取りの際に質問者に対して自らが野次を飛ばしたり、反対に外野からの野次に無闇やたらに反応したりと首相という立場を忘れているかのような振る舞いでした。
本来、首相という役職は日本で最も責任の重い任についている立場ですので慎重な言い回しが求められるはずです。ちょっとした発言が社会をひっくり返すほどの力を持っているのですから当然です。ですから、慎重さを追い求めるあまり発言が「門切り型」であったり「曖昧」であったりと、面白みに欠ける発言が多いのが特徴でした。
そうした姿勢をひっくり返したのが「自民党をぶっ壊す」と声高に訴えて首相に就いた小泉さんでした。忘れもしません。国会という場でそれまでの首相では考えられないような答弁をしたのです。
2004年11月の衆議院での当時の民主党の岡田氏と小泉首相のやり取りです。当時、イラクへ自衛隊を派遣する際の条件が問題になっていました。「戦闘地域には自衛隊は派遣しない」という中で、岡田氏から「非戦闘地域の定義を言ってほしい」と問われた小泉首相は「自衛隊が行くところが非戦闘地だ!」と言ってのけたのです。このニュースを見た時、僕はいい意味でも悪い意味でも「すげぇな」と思った記憶があります。
安倍首相は、明らかに小泉節を真似ています。しかし、どんなことでもそうですが、物事が受け入れられるには「時(time)、所(place)、場合(occasion)」が大切です。あのときのあの状況での小泉首相の発言だったからこそ受け入れられた発言です。
安倍首相は二度目の登板ですが、最初のときは1年あまりで退陣に追い込まれています。そして、そのときは「弱い首相」というイメージがついてしまいました。今の安倍首相を見ていますとその弱いイメージを払拭することに懸命になっているように映ります。野次の飛ばし方や強弁などを見ていますとそのように感じます。しかし、今の安倍首相の振る舞いは「度が過ぎている」というのが僕の感想です。
ところで…。
首相に限らず「度が過ぎています」と変えたくなってきます。実は、先日キーボードを交換しました。理由は「度が過ぎて」いたからです。キーボードの「度」は「フレーズ」する「度」でした。
以前、パソコンが動かなくなりマザーボードの電池を交換した話を書きました。しかし、その後もパソコンの調子は今一つで、文章を書いている途中でキーボードが反応しなくなったりしていました。調子が悪くなると再起動するのが基本ですが、最近は再起動させなければいけない状況になる頻度が高くなっていました。
普通、パソコンの調子が悪くなるときは前兆というものがあります。今回の場合は起動させたあとwindowsの表示がでる前に「カチカチ」という音がするのが前兆でした。「カチカチ」の音がしてからwindowsが立ち上がるときは必ずキーボードが反応しないのでした。これまでですと、そのあとに再起動をさせることで直っていたのですが、先週はそれでも直らなくなってしまったのです。
僕はどんなものに対してもそうなのですが、壊れると自分で直したくなる性分です。ですから、今回もまずどこに不具合があるかを調べて自分で直すことを考えました。しかし、いろいろと調べていきましたところ買い替えるのが最も手間がかからず費用もかからないことがわかりました。「わかりました」と言いながら、その時点ではまだ予想でしかありません。それでも買い替えることにしたのはキーボードが思いのほか安いことを知ったからです。
結論を言いますと、大手家電チェーン店で820円で有名ブランドのキーボードを購入しました。早速帰宅しUSBを差し込みますと数分でデバイスがインストールされ、なんの問題もなく使えており、満足しています。
実は、買い替える前はたびたびフレーズしていて、そのフレーズを解消させるのにいつも5分くらい時間がかかっていました。そうした煩わしさを感じずにこのコラムも書いていますので気分よく終えることができます。
因みに、私たち夫婦は結婚して35年経ちますが、幾度も壊れそうになっています。それがまだ続いているのは「僕が直すのが好きな性分だから」です。妻が「度が過ぎない」のも一応はありますが…。
じゃ、また。




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