<ネコニャ~ン>

pressココロ上




年をとってからの僕はあまりドラマを見なくなったのですが、それでもたまに面白そうなドラマは見ています。最近ではNHKの朝ドラ「ブギウギ」とTBSの「不適切にもほどがある」を見ていました。ですが、残念ながらどちらも先週で終わってしまいました。この2つのドラマに共通しているのは、妻と一緒に見ていたことです。実は、ここ数年は妻とドラマを仲良く見ることはなくなっていました。

別段、「仲が悪くなった」ということでもないのですが、いつしか2人の好みが違ってきていたからです。朝ドラを別にするなら、妻と一緒に見た最後の民放ドラマは「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」です。人気がありましたので覚えている方も多いでしょうが、もう8年も前のドラマです。

このドラマ以降は民放ドラマを妻と一緒に見ることがなかったのですが、久方ぶりに「不適切にも…」を仲良く見ました。僕がこのドラマを見たいと思ったのは、以前よりこのコラムで書いています「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」というラジオ番組を聴いたのがきっかけです。その番組にドラマに出演している仲里依紗さんが出ていたからです。いわゆる番宣だったのですが、「面白そう」と思わせるトークでした。

「いつかこの恋を思い出して…」の時代と現在ではドラマの見方が変わっています。当時は放映時間を逃すと見ることができませんでしたが、今はネットで見ることができます。僕たち夫婦はそれを活用しているのですが、もし、この方法がなかったならどちらも見ることはなかったでしょう。毎週、それらのドラマが放映されている時間に見られる状況ではなかったからです。本当に便利な時代になりました。

特に朝ドラの場合は、ネット環境がなければ見ることはできませんでした。二人とも朝8時はもう仕事にでかけている時間です。ですので、今は仕事から帰宅後、二人そろって午後6時頃に見ています。なにかの記事で「ブギウギ」が「終盤に向かって段々とつまらなくなりそう」と書いてありましたので、少しばかり心配していましたが、実際はそんなことはなく最後まで惹き込まれていきました。

実は、「ブギウギ」の放映がはじまってからしばらくの間、僕は勘違いをしていました。主人公のモデルになっている笠置シヅ子さんを昔NHKで放映されていた「ジェスチャー」というバラエティ番組に出演していた人と思い込んでいたのです。その番組は僕が小学低学年の頃に放映されていた番組ですが、男女がそれぞれ紅組・白組のチームに分かれ、「文章で書かれたお題を身ぶり手ぶりだけで表現し、時間内に当てるというクイズ番組の草分け」といわれる番組です。

その紅組の「キャプテンを務めていたのが笠置さん」とずっと思い込んでいました。僕の記憶の映像では笠置さんが映っていたのですが、実際は笠置さんではなく水の江滝子さんという方でした。水の江さんも同時代に活躍した方ですが、頭の中で映像として思い出していたにもかかわらず、勘違いをしていたのが自分でも不思議です。本当に人間の記憶はあてにならないものだと痛感しました。

新しくはじまった朝ドラ「虎に翼」も出だしから面白そうで、今後の展開が楽しみです。一視聴者としては、ドラマは最初の掴みが重要だと思っていますが、「虎に翼」は出だしの1週間で妻と僕の心をガッチリと掴みました。一般的な傾向として、ドラマは出だしの良しあしで、そのドラマの面白さを判断しますが、それはドラマだけに限らず、インターネットのサイトにもあてはまります。

サイトでの「出だし」にあたるのはトップページですが、その中でも特にアイコンは大きな意味を持ちます。ただ文字が並んでいるのと、なにかしら画像があるのでは印象がまったく違ってきます。以前、あるニュース関係のサイトを訪れていた時、そのサイトの運営者が「堅めのニュースはどうしても人気がでにくく、かわいいネコなどを映しているサイトには視聴回数でかなわない」と嘆いていました。しかし、その方は「それでも、地道に正しい報道を続けていきたい」とつづっていました。ジャーナリストとしての矜持を感じさせる言葉です。

テレビのCMを見ていてもそうした印象を強く感じます。ネコを使えば及第点とでも思っているのか、いろいろな商品のCMにネコが使われています。ネコ以外の動物が登場することも多々ありますが、「動物を使っていれば好印象」と決めつけているように思えて仕方ありません。

前にも書いたことがあるのですが、ビールのCMはあまりに工夫がなさすぎると思っています。世間的に好印象な芸能人を数人引っ張り出してきて、ただただ「おいしい!」「うまい!」を笑顔で連呼させるCMばかりです。メーカーも広告制作者もだれも違和感、疑問を感じないのでしょうか。それが不思議でなりません。

ネコを使う発想はネット界隈にも広がっているようで、僕が利用している投稿サイトでもアイコンにネコを使っている記事が多数あります。運営側でも単に記事を投稿するよりも画像を表示させることを勧めていますが、だからと言って安心牌のネコを使うのはあまりに安易です。画像にネコを使うのは第一印象というイメージをよくするのが目的だろうと思いますが、真に大切なのは、イメージという表面的なことではなく中身のはずです。

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最近の岸田首相を見ていますと、就任当初よりも強権なイメージがあります。就任当初は所属していたのが5番目の派閥ということで、上位の派閥に気を使っている感がありました。ですが、いわゆる「キックバック」が問題になったあたりから姿勢に変化があらわれたように思います。特に、政治倫理審査会に出席したことが転換点だったのではないでしょうか。

それを境に、一気に上位派閥つぶしに舵を切ったように見えます。ネットでは「岸田一強」とまで書いている記事もありましたが、今の状況はまた少し変わってきている印象です。どちらにしましても、支持率が20%前後の岸田政権ですので安泰ということはあり得ません。

それにしても昔の自民党だったなら、とうの昔に党内で岸田おろしが起きていたはずです。これだけの低支持率でも倒閣の動きが起きない自民党が一番の問題です。そうは言いつつ、僕は支持率というものにも懐疑的です。例えば、これまでも自民党の支持率が低くとも、選挙になると、自民党勝利の結果になっていたことが幾度もあります。本当に支持率が低いなら選挙で負けるはずです。

そもそも一般の人は真剣に考えて投票していません。低い投票率を見てもわかるように、政治に関心を持っていないのが実情です。僕にしても、20代の頃は仕事と子育てに忙しく政治のことまで真剣に考えていませんでした。新聞やテレビニュースなどで軽く見る程度です。そうした僕が投票をするときに基準としたのは、今思うと政党だったり候補者のイメージだったように思います。

その意味で言いますと、政党や政治家がイメージをよくすることに注力するのも当然といえそうです。だとするならば、政党や政治家が一般の人に好印象を与えるためにネコをイメージ戦略に使うことも意味があることになります。CMとまったく同じです。

そういう中で有権者が気をつけなければいけないのは、イメージに惑わされないことです。仮に、ネコをサイトのトップページなどに使っている政党もしくは政治家がいたなら、そういう政治家にはより注意が必要です。イメージを上げることにだけ力を注いでいる可能性があります。

皆さん、「ネコだまし」にはだまされないようにしましょう。

じゃ、また。




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