< X (エックス)>

pressココロ上




 先日、食事中に娘が職場での話をしていました。その中で「コピーをとる」話題になりますと妻が言いました。
「お母さんが働いていた頃って、コピーには二通りの方法があった」
 妻の話を説明いたしますと…。
 今から30年ほど前は、現在のコピー機のような性能のよい機器はとても高価でした。ですので企業などは、複写用紙が紫がかって出てくる安いコピー機と普通の白いコピー用紙に複写するコピー機とで使い分けていたのです。当然後者のほうがきれいにコピーできます。妻の同僚で本社に勤めている友だちは「安易にきれいにできるコピー機を使う」と先輩から叱られたそうです。昔から企業がコストダウンを意識していた証です。
 妻の話を聞いていて私も思い出したことがあります。私が学生時代にバイトをしていた職場での話です。
 私のバイト先は大企業でしたのでコピーをするときは紫がかったコピー用紙が出てくるコピー機は1台もなく普通紙にコピーする高価なコピー機のみを使っていました。
 あるとき社員から「ゼロックスしてきて」と依頼されました。「ゼロックスする」とは「コピーをする」ことです。その際に社員は私に聞いてきました。
「ねぇ、知ってる? 『ゼロックス』って会社の名前なのよ」
 因みにこのときの社員は女性でとてもきれいな方でした。僕、憧れてたんですよねぇ…。
 それはともかく、当時は「コピーする」ことを「ゼロックスする」と言うのが一般的だったのです。「富士ゼロックス」のことです。たぶん当時はコピー機のシェアを富士ゼロックスが大半を占めていたのでしょう。このコラムを書いていて試しにと思い、「ゼロックスする」で検索をしてみますとやはりありました。今でも一部の人は使っているようです。それにしても「あることの行為」として企業名が一般化されていることはすごいことです。
 そんなことを思い出していましたら次に僕の頭に思い浮かんだのが「エックス」についての記憶です。
 世の中にはブームというものがあります。イラストレーターの三浦じゅん氏が「マイブーム」という言葉を広めましたが、「マイ」ではなく世の中の「ブーム」です。いわゆる「流行」ですね。ブームは風俗だけでなく経済界にもあります。
 先週はISOについて触れましたが、私はISOも同様のように思っていました。ISOが言われだした頃、企業は猫も杓子もISOの認証を得るようになっていました。そして認証を得たことを前面に出して企業の優良性をアピールしていました。ISOがブームだったのです。私は、企業がISOを前面に出せば出すほど「煽られてる」「踊らされてる」と思っていたものです。先週はそんな私の気持ちを書きたかったのです。
 同じようなブームとして十数年前にCI (コーポレートアイデンティティ)というマーケティングがありました。深く言えば「企業の特徴を整理し再構築すること」ですが、浅く言えば「企業の社名やロゴマークを変えること」です。「リストラ」という言葉が、深く言えば「企業の再構築」ですが、浅く言えば「首切り」ということと似たような感じです。
 現在オリックスという会社がありますが、オリックスもその当時に社名変更しました。それ以前はオリエントリースという社名でした。オリックス(ORIX)の「ックス」にあたる「X(エックス)」には「未来永劫」という意味が込められている、と雑誌で読んだ記憶があります。富士ゼロックスも同じように「ックス」に「未来永劫」の意味が込められている、と想像したのですが、定かではありません。
 「X(エックス)」に「未来永劫」の意味があるというのはそのときに知ったのですが、疑問が1つあります。ではなぜ「X ジャパン」は解散したのでしょう…。う~ん、あっそうだ!「X」が単語の最後じゃなくて最初に付いているからだ。「X」は単語の最後についたときのみ「未来永劫」の意味となるのです。
 三面記事には定期的に痴漢やセクハラで逮捕される事件が報道されています。しかも中高年50才以上の男が犯人であることが多いのです。僕は若い頃、「年をとるとエロ欲望はなくなる」と思っていましたので不思議でした。でも違うんですよねぇ。エロ欲望は未来永劫続くのでした。
「エス イー 『 X 』」
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする