<技術革新>

pressココロ上




 先月、インターネットをADSL12Mから光ファイバーに変えました。「速さが違う」という広告に惹かれての決断です。ADSL12Mはもちろんアナログよりは速いですが、映像などの表示はちょっと遅く不満に感じていました。
 ADSLはNTTの基地局から離れるほど「速度が遅くなる」と言われています。我が家は基地局からかなり離れていますので12Mが3Mになるようでした。
 インターネットからはいろいろな情報を得ますが、私の場合は特に「色色」な情報を得ています。その「色色」な情報は映像のことが多いので表示が遅いととてもイライラしてしまいます。せっかく気持ちが高ぶっているのに映像がなかなか表れないと興ざめしてしまうのです。あっ、そうなんです。僕の見る映像は気持ちが高ぶるのです。
 気持ちが興ざめしないために変更した光ファイバーですが、1カ月使った感想は「期待したほどでもなかった」でした。それで思い出しました。
 光ファイバーにするにあたって事前に調べたのですが、ある大手家電売り場で担当者に「速さについて」質問したときのことです。その方も昨年光ファイバーにしたそうなのですが、「自分のパソコンが古いので表示速度はあまり変わらなかった」と話していました。
 通信手段を早くしてもそれに対応できるだけの能力がパソコンになければ光ファイバーの恩恵を享受することはできないのでした。というわけで、僕の場合も「ちょっと早くなった」程度です。因みに無線でインターネットを利用している娘と息子に光ファイバーにした感想をききましたら「今までとあまり変わらない」との返事でした。光ファイバーを検討なさっている方は参考にしてください。
 私が初めてパソコンに触れたのは1995年頃です。ウィンドウ95が発売されパソコンが一気に普及した時期です。当時、僕はラーメン店を営んでいましたので時間的余裕もなく全く興味はありませんでした。しかし、親戚の中にパソコンを持っている人がおりその人が新しくパソコンを買ったので古いのをくれたのが最初です。
 今でもパソコンにそれほど詳しいわけではありませんが、初めの頃はもっと悲惨でした。最初はインターネットにも接続していませんでしたのでもっぱら一太郎をイジるだけでした。その一太郎が思うように使えないのです。なにしろ書きたい文字が書けないのですから…。一番印象に残っている文字がちっちゃい『っ』です。
 うーん、どうすればちっちゃい『っ』が書けるのか…。
 毎晩、ラーメン店を終え疲れた身体にムチを打ち必死に考えました。ちっちゃい『っ』が書けないと「ちっちゃい」という言葉さえ書けないんですから。ちっちゃい『ゃ』は「tya」と書けばいいのはわかるのですが、単独での『っ』がわからないのです。終いには寝るときに天井がパソコン画面に見えたものです。
 その後インターネットにも接続するようになったのですが、最初はアナログでした。それから知り合いの家でISDNを知りその速さに感動してISDNに変えました。そして「もっと早くなる」との広告に惑わされADSLに変え、2年後の今回光ファイバーに変更した次第です。
 それにしても通信における技術の進歩はすさまじいものがあります。これも元を糺せば電電公社が民営化されたことが大きな要因です。競争が技術の革新進歩を促したのです。通信に限らず技術の革新進歩は社会に役立ちます。有名な文化人の中には競争することによるデメリットを強調し競争を害悪視する方がいますが、私は「違う」と思っています。技術の革新進歩は競争によってからしか生み出されません。少なくともそのスピードは競争があるからこそなせることです。
 もし革新進歩のスピードが遅かったなら僕たちの今の社会はもっと不便なものになっていたでしょう。
 例えば洗濯機。昔の主婦は洗濯をするだけで一日のうち何時間も縛られていましたが、洗濯機のおかげでその時間を有効に使えます。例えばFAX。昔は「書いたもの」を届けるのに早くとも丸一日かかりましたが、FAXのおかげで数分で届けることができます。例えばパソコン。昔は全く身体の動かない障害者が意志を疎通することは困難でしたが、パソコンによってそれが可能になりました。このように技術の進歩は公平な社会にするために役に立ちます。大切なのは革新進歩した技術の使い方です。
 最近は格差社会と言われますが、革新進歩した技術を格差社会を是正することに役立てることが本当に意味での「革新進歩」と言えます。また、そのために社会環境を整えることが政治の役割であるはずです。
 光ファイバーに変更することに決めたあと「どこの会社にしようか」と考えながら歩いていました。
 なにげに前を見ますと、子犬を連れた若い母親らしき女性と5才くらいの女の子が歩いていました。雰囲気からすると女の子はなにやらふて腐れているようです。女の子は母親から少し遅れグデグデ歩いていました。女の子と母親の距離が5メートルくらいになったとき母親は女の子にほうに振り向き少し強めの口調で言いました。
「ヒカリ、なにやってるの。早くいらっしゃい」
 母親の呼びかけに返事もせず女の子はふて腐れ立ち止まってしまいました。すると母親は先ほどよりも大きな強い口調で怒鳴りました。
「ヒカリ!」
 するとその怒鳴り声に驚いた犬が吠えました。
「ワン!」
 僕は“光 one”に決めました。
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




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