<不動産屋さん>

pressココロ上




 先週から2週続けて更新が月曜にまで伸びてしまいました。これも一重に新店舗が決まらないことが原因です。現在の店舗の契約満期日が刻一刻と近づく中とても焦っていました。毎日のように不動産サイトを見ては希望に近い物件を探し回っていました。本当は毎日見てもあまり意味がないのですが、それでも見ずにはいられなかったのです。
 しかし、15日にやっとどうにか目処をつけることができました。これも一重に僕の努力の賜物です、と自分を褒めることをお許しください。いやぁー、それにしても本当に不動産を探すのは大変です。多分に運が左右するとは思いますが、それでも自分で動く以外に方法はありません。
 それでは僕がどのように探し、その間どのような心の動きをしたのかご報告したいと思います。現在探している方、もしくは将来探そうと思っている方に参考になれば幸いです。
 店舗を探し出したのは今年に入ってからです。今、思い返してみますと最初の頃は「探すこと」に対して軽い気持ちだったように思います。どのように探したかと言いますと、これまでにも少し書きましたが休みの日に妻と二人で自転車に乗り探していました。不動産屋さんを見つけると壁や窓ガラスに貼ってある物件の紙を見たりシャッターが降りている店舗前に行き「テナント募集」の貼り紙が「貼ってないかどうか」を確認していました。この方法はとても効率が悪い方法でした。動き回る割りに実際に役に立つ情報が得られませんでした。結局、妻と仲良くサイクリングをしたようなものでした。
 次に考えたがインターネットを利用する方法です。まず物件を紹介しているサイトを探すことから始めなければなりませんでした。つまり不動産会社のサイトなのですが、店舗情報が多く探しやすいサイトを見つけるのが効率がよい方法だと思ったからです。僕が探していた物件は小スペースで家賃が安い物件です。こうした物件情報が多く掲載されているサイトがなかなか見つかりません。時間をかけてこまめに探した結果4~5のサイトを見つけることができました。具体的に言いますと、「アットホーム」「HOMES 賃貸」「ハトマークネット」「イー店舗デザイン」「センチュリー21」でした。
 不動産サイトの中には飲食業開業サポート関連のサイトも幾つかありました。実際にそうしたサイトと連絡をとり「紹介依頼」もお願いしましたが、役に立つことがありませんでした。
 こうしたサイトはコンサルタントという肩書きであることが多いのですが、電話でお話しした印象からは「親身」という雰囲気はありません。僕の想像では、僕が探している物件が安い物件ですのであまり「身が入らない」のではないでしょうか。やはり高額物件で一度の契約でかなりの手数料が得られるお客でなければ魅力を感じないのでしょう。2つのコンサルタントサイトに電話をしましたが、対応としてはそのうちの1つから一度電話がかかってきたきり再度連絡があることはありませんでした。こうしたコンサルタントサイトは僕のような希望物件の人間には意味のないサイトでした。
 先ほど紹介しました役に立ちそうな物件情報サイトを見つけましたので、その後はそれらのサイトを日にちを変えて順番に見るようにしました。同じサイトで毎日検索しましても新しい物件が更新されていないと意味がありませんので順番に見ることにしたのです。
 最初の頃は物件情報の見方のコツがつかめず時間ばかりかかっていました。大切なのは「飲食店可」であるかどうかです。物件を探していてわかったのですが、意外と「飲食店可」の物件は少ないのです。希望に近い場所・家賃の物件があり扱っている不動産屋さんに電話をすると「飲食店は不可なんですよ」と断られることが多々ありました。
 そうした経験があまりに続きましたので「もう少し粘ってお願い」したほうがよいのではないか、と考えるようになりました。つまり「飲食不可のところをなんとかお願いできないでしょうか」などと「食い下がる」ことをやってみました。結果は芳しくなかったのですが、そうしたことであることを感じました。
 「あること」とは不動産業界の不公平さです。具体的に言いますと「不動産屋さんは家主寄りの立場」で仕事をしていることです。本音はわかりませんが、少なくとも僕にはそのように感じました。
 ある不動産屋さんに電話をしましたところ、案の定「飲食店不可」と言われました。そこで粘ってお願いしたのですが、担当者の方は
「それでは家主様にお願いしてみてもいいんですけど飲食店の立地としてどうなんでしょうね? リサーチはなさいましたか?」」
 と尋ねてきました。僕は答えました。
「細かいリサーチはまだなんですけどその前に飲食店でも貸してくれるかどうかわからないとリサーチしても意味がない、と思いまして…」
 すると担当者の方は言いました。
「リサーチを先になさってもらわないと家主様にお願いするにしても説得力がないんですよね。それに開業してすぐに廃業するようなことがあると家主様にご迷惑がかかりますから」
 僕はこの答えに対して不愉快に思い「わかりました」と電話を切りました。しかし、どうして「家主様にご迷惑」なのでしょう。例え短期間で廃業したとしても家主の方には礼金が入り短期間でも家賃が入るわけです。損をすることは全くありません。損をするのは借主の側です。不動産業会の家主寄り偏重は「家主様にご迷惑」の言葉に象徴されているように思います。
 と、このような感想を妻に話しましたら
「不動産屋さんも、物件がないことには商売にならないんだから家主さんを大切にするのは仕方ないんじゃない」
 と解説しました。妻の言うことにも一理ありますが、僕としてはなんかしっくりきません…。借主はただでさえ弱い立場なのにどこまで行っても弱い立場…です。
 このような経験をしましたので、その後は最初から「飲食店可」の物件をあたるようにしました。「飲食店可」の物件を探しては扱っている不動産屋さんに電話を入れ詳しい住所を聞き休みの日に現地に行き立地環境などを見て回っていました。
 最終的に「いい物件」にめぐり合えたと今のところ思っているのですが、そこに至るまでもスムースではありませんでした。
 3月に入り「そろそろ決めないと」という気持ちが強く、休みの前日に「明日見に行く2つの物件のどちらかに余程のことがない限り決めよう」と妻と話していました。
 2つの物件のうちの1つの場所はネットで調べた段階で商店街の中にあることはわかっていました。ですので「立地環境は悪くはないだろう」と想像していました。実際に現地に行ってみますと「悪い印象」はありませんでした。それどころか「店舗の作り」が僕たちの理想に近い状態になっていました。つまりあまり手を加えないでも開業できる作りになっていたのです。妻と二人で喜びそこからすぐに不動産屋さんに連絡をし内見までさせてもらいました。あまりのうれしさに妻と二人、駐車場までの帰り道に「ここに決めよう」と話していました。それほどよい物件だったのです。
 そうなりますと、あと1つの物件を見に行く気持ちもおきません。僕は妻に言いました。
「もう1つの物件を見に行くの、やめようか?」
 妻も僕と同じような気持ちでいたようです。
「こんないい物件が見つかったんだから行っても意味ないかもね」
「そうだよ」
「でも、ちょっと見てみたい気もするけど…」
「じゃぁ、あの物件がどれだけ『いい物件』が確認するために見に行ってみようか」
 こうして僕たちは最後の物件を見に行くことにしました。
 結論を言いますと、僕たちはこの最後の物件に決めました。理由はあまりよい表現ではありませんが、「なんとなく」です。
 最後の物件の現地に行きますと、商店街ではなく駅からも少し離れていました。ただ、その近くの交差点の人の動きがとても気になったのでした。「もしかして人通りがいい」んじゃないか…。「多い」のではなく「いい」なんですけどなんとなくそう感じたのでした。
 実は、最後の物件を見たあとも先に見た物件の好印象をくつがえすほどのインパクトはありませんでした。ですので次の日に、先に見た物件の不動産屋さんに電話をし「申し込み」をしているのです。すると不動産屋さんは「申込書をFAXしますので記入しましたらFAXで送り返してください」と言いました。その時点まで僕たちは先に見た物件に決めるつもりでいました。
 仕事が終わり帰宅しますと申込書がFAXできていました。僕は申込書を読み氏名を書こうとしたのですが、そのときどうしても最後に見た物件が気になって仕方なかったのです。最後の物件は不動産屋さんに住所を聞き立地環境だけを見ただけで内見はしていません。僕はその物件の内見をしたくなりました。僕は妻に言いました。
「明日、最後の物件の内見に行ってきていい?」
 翌日、僕は一人で最後の物件の内見をしたのですが、不動産屋さんとの会話の中で不動産屋さんは「家賃の交渉に応じる」と言ってきたのです。今までたくさんの不動産屋さんと接してきましたが「家賃の交渉に応じる」と言ってきたのは初めてでした。この言葉が僕を最後の物件に引き寄せました。
 不思議です。結局、家賃は今までいろいろ探したどこよりも安く借りることができました。もし休みの日当日、先の物件を見るだけで終わっていたなら最後の物件に決まることもなかったでしょう。それはめぐり合わせとしか言いようがありません。とは、言うものの正直な気持はこの判断が「よかったのかどうか」はわかりません。結果は数ヶ月後くらいにしかわからないでしょう。まぁ、とりあえずは引越先が決まって「よかったよかった」というところです。
 それにまだまだやることはたくさんあります。内装工事や引越、それから今の店舗の撤去作業、後片付けなど難題は山ほどあります。全てが終わるまで気を緩めず頑張る所存です。
 そろそろ今週のコラムもこれで終わりにしたいと思いますが、とてもじゃないですけど忙しくてオチなど言ってる場合ではありません。
 じゃ、また。

紙.gif4コマ漫画
ジャーック!




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