<トラブル対処法>

pressココロ上




 日中関係が混迷しています。尖閣諸島に関連して対立しているのですが、小泉さんが首相だった頃にも、靖国参拝問題で険悪な関係になったことがありました。しかし、あのときはまだ「政治上の関係は冷たくとも、経済においては親密に」という姿勢で中国は臨んでいました。それに対して今回はレアアースの輸出に圧力をかけるなど、経済領域にまで冷たい関係を及ぼさせていますから、中国の反発の強さがわかろうというものです。
 しかし、専門家の意見では、今回の中国の強硬な対応も中国内の対日強硬派に対するパフォーマンスの一面もあるそうです。その真偽は僕にはわかりませんが、日本と中国は既に経済面においては、双方が深く依存し合っているのは確かです。日本のラーメンチェーン店も多数出店していますし、小売業も同様です。化粧品会社なども20年以上前から地道に活動を続けていました。また、様々の業種のたくさんの製造業も活動しています。
 このような状況の中、政府間で対立していて得なことはなに1つありません。できるだけ早く、お互いが振り上げた拳を下ろす時期、場所が見つかることを願っています。
 それにしても、なぜここまでこじれたか?
 先月の新聞投稿に僕が興味を引かれた投書が2つありました。
 今月からタバコの値上げが実施されましたが、2つともタバコに関連する投稿でした。今回の値上げは健康に配慮する要因が大きな比重を占めているようです。つまり、健康を損なわないためにできるだけタバコを吸わない社会を実現しようという目的です。僕は100%信じているわけではありませんが、「タバコを吸わない人にも煙が悪影響を与える」という学説が社会に定着している状況が根本にあります。
 1つ目の投稿は「本当に健康に悪影響ならば、喫煙を法律で禁止すればよい」という内容でした。この投稿は実に核心をついています。投稿者は喫煙者の女性でしたが、マスコミを含め社会の風潮としてあまりにタバコ有害説が大手を振っていることに苛立ちを覚えているようでした。この投稿には喫煙者の心情が凝縮されているように思います。
 2つ目の投稿は「ベランダで喫煙することの問題点」を指摘した内容でした。最近はあまり聞きませんが、一時期「ホタル族」という言葉が流行りました。マンションなど集合住宅で、タバコを家の中で吸うのではなく、ベランダに出て吸う人たちのことです。確かに家の中で喫煙しますと、室内の壁がヤニで汚れますし、煙が家族に悪影響を与えることもあります。そうしたことを避けるためのベランダ喫煙です。
 投稿者はマンションに住んでいる方のようで、隣人がベランダで吸うタバコの煙が投稿者の室内に入りこむ苦痛について投稿していました。確かに、タバコの有害性から考えますと、また実際にタバコの煙で健康被害に遭っている人にとっては耐え難い状況です。投稿者は忍耐の限度を越えたため、隣人に「ベランダでの喫煙をやめるよう」お願いに行ったそうですが、反対に「反発された」と書いていました。
 この記事については、その後特集記事が載りましたが、まだ現段階では確たる解決策はないようでした。たぶん、この問題は多くのマンションで起きているでしょう。
 この問題の核心はベランダが共有区分であることです。つまり、ベランダの所有権があいまいであることです。その意味で領土問題と似ています。自分の領土と考えているベランダ内での行動を他人からあれこれ言われるのは不愉快です。ですが、その行動が周りに悪影響を及ぼしているのは事実です。
 小売業や飲食業ではトラブルはつきものです。そして、トラブルの対応如何によってはお店の廃業にまで追い込まれることもありますから対処の仕方はとても重要です。その対処法で最も大切なことはスピードです。迅速さです。
 どんなトラブルであろうと、お客様という存在は「素早い対応」を求めています。例え、適切な対処をできないにしても「すぐに反応すること」がとても重要です。人間には、時間が経てば経つほど感情的になる特質があります。感情的になってしまったときは、必ずと言っていいほど「怒りの原因」が「最初の原因」とは違うものになっています。こうしたことを防ぐためにも「すぐに反応すること」は大切です。トラブル対策の要と言ってもいいでしょう。これを怠るなら、解決できるトラブルも解決不能となってしまいます。
 お店とお客様の関係と隣近所の関係を同一視することはできませんが、お店のトラブル対策は隣家とトラブルが生じたときの一つの目安にはなります。
 近隣関係のトラブルでも「素早い対応」は重要です。小売業のトラブルで書きましたように、時間が経てば経つほど感情的になるのは同じです。感情的になればなるほど解決から遠ざかってしまうのが世の常です。ベランダ喫煙問題においても菅理組合なり理事会などでできるだけ早く対策を講じる必要があります。時間が経てば経つほど、ベランダ喫煙容認派と反対派の溝が大きくなり解決までに無駄な時間を要することになります。
 トラブルを解決するには「素早い対応」が大切ですが、それと同じくらい大切なのは「最初の動き」です。いわゆる「初動」です。この選択を間違ってしまうと、せっかく「素早く対応」しても全て台無しになってしまいます。
 そうした視点で今回の日中紛争を見るとき、その対応には疑問が残ります。違う初動をとっていたなら、これほど大きな問題にはならなかったのではないでしょうか。
 では、なぜ初動対応を間違ったか?
 政権にしろ企業にしろ、ある組織が突然降ってきた障害に対して対応をするときは「誰の意見を採用するか」が大きな分かれ目となります。組織ですから様々な意見を言う人たちがいます。全く正反対の意見が注進されることもあります。それらの中でトップが正しいと判断した意見が採用されて対応が決まります。
 その意見の中には、情報の正誤やパイプの太さも含まれます。例えば、相手側の真意を知るパイプを持っていることは自らの対応を決める際に役立ちますから、情報はとても大切です。
 朝日新聞によりますと、今回の対応を主導したのは前原大臣と岡田幹事長のようですが、
その対応について検証することは大切です。これだけ問題が大きくこじれたのですから、その原因を究明する作業は必要です。間違っても、自分たちだけの価値観を正当化し押しつける姿勢は控えるべきです。外交は相手国の実状も考慮に入れなければ進展することはできません。
 あと1つ、今回の事件で問題が大きくなった背景に「党内対立」があるように思います。民主党内は大まかに、政権主流を占めている反小沢グループと親小沢グループに分かれますが、親小沢グループには中国へのパイプがあるのに対して、反小沢グループにはなかったことが「対応を間違った」、さらには「問題をこじらせた」原因のように見えます。
 もし、政権主流を占める反小沢グループが親小沢グループの力を借りることに抵抗があり、「借りを作る」ことに躊躇する感情から今回の対応をとったのであれば、それは過った対応と言わざるを得ません。外交といった国の命運がかかった状況では、プライドなど捨てて最も適切な対応を心がけるべきです。もちろん、「貸しを作る」側の小沢陣営についても然りです。
 それにしても、鳩山政権時代の沖縄米軍基地問題といい、今回の中国との尖閣問題といい、民主党が外交で躓くことが多いのは、やはり政権党としての限界を露呈しているのでしょうか…。
 ところで…。
 検察問題や中国問題が新聞で大きく取り扱われていますが、僕は新聞の片隅に載る小さな記事が気になって仕方ありません。それは臓器移植に関する記事です。
 7月より臓器移植法の改正案が施行されたのをご存知でしょうか。それまでは本人の意思を確認できる書面が必要でしたが、改正後は「家族の承諾だけで臓器提供ができる」ようになりました。そのときを境にして移植手術が増えていることが僕は気になって仕方ありません。
 正直な感想を言うなら、「本当に正式な手続きが為されているのだろうか?」という疑問、不安が頭に浮かびます。それほど、あまりに急激な移植手術件数の増加です。
 僕が不安なのは、家族の方々は本心から、心の底から「臓器提供に同意」しているのか、です。例えば、「同意せざるを得ない」雰囲気を医療関係者が作っていないでしょうか? また、臓器提供に賛成するようなマインドコントロールが為されていることはないでしょか?
 僕はそれらの疑問が拭い切れません。だって、あまりに急に増えたのですから、そこに何かしらの作用が働いている、と考えるのは自然な感覚です。
 基本的に、臓器移植手術については、マスコミも含めて世間的には「臓器を待つ側」に焦点が集まっていることが多いように感じます。ですが、僕的には、もっと「臓器を提供する側」の苦悩にも焦点を当てた情報が数多くメディアに取り上げられてほしいと願っています。
 僕は「脳死」は「ノー死」と考えているスタンスです。
 じゃ、また。




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