<ターゲット>

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 自営業者は年が明けますと確定申告の準備に取り掛かります。僕の現在の仕事環境はお店を構えて商売をしているわけではありませんからとても楽です。商売をしていたときは毎日の売上げや経費をきちんと複式簿記で管理をしていましたからとても大変でした。また、高価な機械類や道具類や設備については減価償却の計算などもする必要がありますから面倒でした。
 ここでわざわざ「複式簿記で」と書きましたが、これには理由があります。確定申告をする際に損益計算書のほかに貸借対照表も提出しますと、青色申告特別控除が受けられるからです。その金額も65万円と決して少なくない金額です。つまり売上げから経費を引いた利益からさらにまた65万円も引くことができるのですからこの方法を選ばない手はありません。そのためには複式簿記で管理をすることが必要というわけです。
 このように複式簿記で管理をすることは大きなメリットがありますが、確かに面倒であることは間違いありません。僕は商売をやっていたときはその面倒なことをやらざるを得ませんでした。当時に比べますと、現在は月に1~2回の入金があるだけですので、あとは経費をきちんと整理しておくだけです。商売をするということはとても手間のかかることを痛感するこの時期です。
 この時期に僕のコラムを検索で訪問してくださる方で上位に入るキーワードは「青色申告の用紙がこない」です。たぶん今年もそういう方が多いと思いますので前もって説明しておきます。
 僕はここ数年、確定申告は国税庁の「確定申告作成コーナー」を利用して作成しています。昨年も書いたように思いますが、この作成コーナーは実によく工夫されておりとても便利です。画面の指示に従って書き進めていくだけで「青色申告決算書」から「確定申告書」まで自動的に作ってくれます。
 僕のようにこのコーナーを利用して提出した方には用紙は送られてきません。以前は、来年時の用紙を「送付するかしないか」を選択する欄がありましたが、現在は「作成コーナーを利用した人」は有無を言わせず送付しないようになっています。これも経費削減の一環だと思いますので皆さん納得しましょう。
 結論をいいますと、このコーナーを利用した人には確定申告の各用紙が送付されなくなっています。ただし、これに関してひとつだけデメリットを挙げるなら手引書が手元にないことです。
 最近は電子書籍用機器が注目を集めていますが、紙の本で読むときと電子書籍で読むときの違いについて議論があります。僕は紙派なのですが、手引書なども紙をめくりながら見たいページにすぐにたどり着けるほうが理解しやすいという感覚があります。ですから確定申告に関してもサイトでは疑問が起こりそうな場面で丁寧に解説したページにジャンプするように構成されていますが、それでもやはり読みづらく理解しにくく感じてしまうのです。
 しかし、この作成コーナーのターゲットは電子書籍になんの抵抗感もなく読むことができる若い人でしょうから、紙の手引書が手元になくてもなんの問題もないのかもしれません。
 商売をするときに一番大切なのはターゲットをしっかりと見極めることであり決めることです。化粧品を販売する会社のターゲットは女性です。いくら機能的にも感覚的にも素晴らしい化粧品を作ったとしても、例えば中年男性をターゲットとして販売活動や宣伝をしてもなんの効果もありません。商売に限らず、なにかをするときに一番大切なのはターゲットの決め方です。
 僕は経済の専門家ではありませんから小難しいことはさっぱりわかりません。ですから、経済や金融に関しては信頼できる人の意見を信用することにしています。実際問題として経済に関してはいろいろな有名な学者がいろいろな意見や主張を説いていますのでどれが正しいのか判断に迷います。そのような状況では経済策ではなく人としての資質で判断するしか方法はありません。つまり信頼できる人の意見や主張を信じることになります。
 その僕が信頼をおいている経済学者に野口悠紀夫氏がいますが、野口氏の主張は僕には合点がいくことが多くわかりやすい説明のしかたです。このような僕が最近の経済政策で腑に落ちないのはインフレターゲットです。
 インフレターゲットを辞書を調べますと、「物価下落と不況のデフレ・スパイラルを 断ち切るために、一定の物価上昇率を目標とし、その目標を達成するまで金融を緩和 する」とあります。しかし、このように簡単に政府が意図するようなインフレが起きるのでしょうか。また、インフレが収まるのでしょうか。それが疑問です。
 そもそもインフレとはあまりよくない経済状況を指すように思います。物価が上がるのですから庶民としてはうれしいはずはありません。モノは安いほうがいいに決まっています。それをわざわざインフレにするというのですから僕が不思議に思うのもわかっていただけると思います。
 インフレを辞書で調べますと、「モノの値段が全体的に上がり、お金の価値が下がること」とあり、さらに調べますと、「市場の需要と供給のバランスが崩れて、物価(貨幣価値)が上昇(下落)する現象」とあります。この文章を読む限りインフレは結果でありターゲットにするべきものではないことがわかります。つまり景気がよくなったことでそれが行き過ぎて「需要と供給のバランスが崩れる」のです。それを結果(経済政策で需要と供給のバランスを崩すこと)を先にすることによって好景気を作り出そうとするのは主客転倒というものです。インフレは好景気が続くことが前提でなければなりません。
 かつてインフレがおき物価が上がって社会が不安になったことがありました。賃金よりも物価の上昇率のほうが高いのですから普通のサラリーマンの生活は脅かされて当然です。また、インフレにより金利が上昇し企業がその返済に窮して経営が立ち行かなくなることもありました。
 このようにインフレにはデメリットがたくさんあります。インフレターゲットを主張している政治家や学者さん方、またはその政策を支持する人たちはこれらのデメリットをどのように考えているのでしょう。それが知りたいものです。
 昨年末、僕は株式市場が年初来の高値をつけたことを、失われた10年や20年のきっかけとなったバブル崩壊の前年と似ていると書きました。そして、年が明けてから株価が下がる可能性を示唆しましたが、今のところそうした素振りは微塵もありません。しかし、株価が上昇する確たる理由がないのは変わりません。なにかのきっかけで急激に下がるリスクは今現在もあります。
 為替が円安になり輸出企業は一息ついているかもしれませんが、ガソリン価格が高値に張り付いたままになっています。円安は輸入業者にはデメリットです。野口氏の受け売りですが、円安は企業の海外からの仕入れコストを上昇させます。それを思うときなにも勢い込んで円安に誘導する必要があるのか疑問です。
 このように考えますと、円高とか円安とかインフレターゲットだとかよりももっと単純に「景気をよくする方策」をとるというふうにするのが一番わかりやすく説得力があるように思います。そうです。ターゲットはインフレではなく景気でなければいけません。
 ところで…。
 僕のサイトでは、数ヶ月前から「自動券売機の広告」が表示されることが多くなりました。僕のサイトは脱サラ・独立をしてラーメン店を開業する方々をターゲットにしていますから、ターゲットを同じにしている自動券売機の広告が出ても不思議ではありません。
 確かに、自動券売機を導入することによって注文をとり金銭のやり取りをする手間が省けますので全体的に作業の効率が上がります。ある意味では人件費の節約につながることもあります。このようにとても意義のある広告ですが、自動券売機にも弱点があります。それを読者にお伝えしなければ僕のサイトの意義がなくなっていまいます。
 ズバリ! 弱点をいいますとお金を騙される可能性があることです。よくあるのが「お釣りが少なく出てきた」というクレームです。仮に「1万円入れたのにお釣りが300円しか出てこなかった」といわれたときの対応です。暇な時間帯でしたら対応は可能ですが、ピークタイム時などですと対応も限られてきます。もし相手がプロの詐欺師ですといくらでもこちら側の弱点をついてきます。そのときはむざむざ9,000円を捨てることになるのですから簡単にあきらめきれるものではありません。
 このような弱点をわかったうえで、もしくは対処法を確立した上で導入するのなら問題はありません。安くない価格の機械ですからメリット・デメリットをわかったうえで行動に移しましょう。ターゲットの重要性を知っているのは詐欺師たちも同じです。
 じゃ、また。




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