<ほどほど>

pressココロ上




 サッカー・ワールドカップが開幕しました。日本は緒戦を「1-2」で負けましたが、本田選手が得点を上げたようで、さすがに本田選手という感じです。まだ始まったばかりですが、印象に残るのはスペインの負けっぷりがひどかったことです。試合終盤のほうは緊張感が切れた感じがして、やはり5失点は大きすぎる感じです。どこか心に隙があったのでしょうか。
 なにで知ったのかは記憶にありませんが、サッカーなどのように「なにかに制限を課して行うスポーツ」はすべて英国が起源だそうです。サッカーは「手を使ってはいけない」という制限がありますし、ラグビーは「ボールを持っている人は前にいる人にボールを渡してはいけない」という制限があります。どこかに制限を課してするほうがゲームとして面白くなるからというのが理由ですが、真偽のほどはわかりません。
 日本に勝利したルコートジボワールのディディエ・ドログバを取り上げている報道が多いですが、先日ドログバ選手が祖国の統一を訴えている映像を見ました。サッカーで民族の融和を訴えているのですが、27歳でそのようなことを行うことに感銘しました。やはり緊張感が漂う環境で生きている人は人間として成長するのも早いのでしょうか。そんな気がします。僕が27歳のときは社会のことなどに関心がなかったですから。
 先日のニュースで今の若者が社会にどれだけ関心を持っているかを伝えていましたが、80%くらいの人が社会に無関心でした。社会への関心とは政治と同義語でもあると思いますが、僕自身がそういう若者時代を過ごしていたので批判する資格はありません。ですが、それでもやはり将来が心配です。
 僕はもう年齢的に十分に人生の折り返しを過ぎていますから問題ありませんが、今の若い人たちは下手をすると戦争への道を進むことになりかねないようで心配です。政治に無関心なのは悪いことでもないような気もしますが、無関心すぎるのも自らの生活を脅かすことになります。
 一昨年あたりからマスコミに登場している社会学者の古市憲寿氏が「若者が政治に関心のないことは悪いことではない」とラジオで話していました。僕的にも賛同できる部分があります。政治にあまり強い思い入れがあると対立ばかりが前面に出てあまりいい結果が得られないように思います。こうした考えは宗教にも当てはまるような気が僕はしています。
 「政治に100%の答えはない」と僕は思っているのですが、70%の正解であれば十分です。ですから、一見正しい選択をしているようでも、もしかしたら他の選択肢のほうが正解だった可能性もあります。ですから、あまり政治や宗教に固執しすぎるのは正しい行いではないように思います。
 ドログバ選手が祖国統一を訴えなければいけない状況になったのは民族間の対立が激しかったからです。対立が激しかったのは民族に固執しすぎていたことが根本的な原因です。なにごともほどほどが正解です。
 ワールドカップがブラジルで開催されている関連で日本にいるブラジル人の方々の報道がなされることが多いですが、群馬県の太田市や愛知県の豊田市などにはブラジル人街といわれる地域があるそうです。ブラジルから出稼ぎで日本に来ている人たちが集まった地域です。そこでも地元の人たちとの軋轢があるようです。
 僕のサイトには「する前にシリーズ」のテキストがありますが、そのテキストで最も読まれているのが「田舎暮らしをする前に」です。僕が田舎暮らしに憧れている人たちに警笛を鳴らしているのは地元住民との人間関係の難しさがあるからです。同じことが出稼ぎで日本に来ている外国人にもいえます。
 日本は人口が減少傾向にあることが将来の難問ですが、その解決策として外国人を受け入れる政策もひとつに挙げられています。しかし、その解決策には影もあります。それは人間関係です。
 生活慣習が違う外国の人たちが同じ地域で生活するのですから、違和感やストレスが溜まることが多々あるはずです。まだ、外国人の割合が少ない間はなんとか我慢できるものですが、日本人よりも外国人のほうが人数が多くなり、日本人が肩身の狭い思いをするようになるとそうはいきません。ストレスは大きくなり、その結果外国人排斥の発想につながることは容易に予想できます。
 ヨーロッパには移民を受け入れることで成長をしてきた国が幾つかありますが、それらの国では移民政策を変更する動きが出ています。こうした動きを見ていて、僕は「上から目線で見ていられる間」は我慢できても、それを越える存在になったときは反発心が芽生え移民を脅威に感じるようになるのではないかと想像しています。
 そうならないためには「ほどほど」です。外国人を受け入れる人数も「ほどほど」に、そして外国人への接し方も「ほどほど」が大切です。
 ところで…。
 最近、若い評論家の方々がメディアに登場してきていますが、文中で紹介した古市氏のほかに荻上チキ氏という方がいます。いつの時代もマスコミは新しい評論家を求めていますが、一世代前にあてはめますと、宮崎哲弥氏と宮台真司のような感じでしょうか。
 古市氏、荻上氏ともに東大大学院を卒業しているのですが、どちらがホンモノなのかなぁ…、なんてことに興味を持っている僕です。
 追伸:今日は父の日なのでかなり大人になっている娘と息子からプレゼントをもらいました。わぁ~い。
 じゃ、また。




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